再会trance meeting 会いたいという想念
いつも色々な糸を手繰り寄せていた。
その先に何があるかは知らないが
好きな色の糸を、また糸の束を、
不思議とするりと絡まずに、
動くその糸を掴み、
時に逃がして離れたが、
知らぬ間に束に。
得も知れぬうちに触れてしまう嫌悪や不快感は拒み続け、
匂いや温度に敏感に、素朴に悦に入り、あるとき私は呼吸を意識した。
その時あなたがいたような気がした。
そしてそれは気のせいだった。
糸は太く束になり、緊張して振動している。
もうすぐその繋りの正体が解るかもしれないと思った矢先、その振動が私の中を伝わり、記憶を呼び起こした。
君か
1年後の僕。
深海の奥底で眼鏡のズレを直していた僕は未来の麻婆豆腐を食べて唖然とした。
テアニンが多く含まれているじゃないか。
たちまち僕は警察署に駆け込んで事情を説明した。
「それで、それがどうしたんだい?」
冷徹な警察官が僕を睨み、けしごむをこすりだした。
その、異常とも思えるけしごむの早さの裏には、勤続15年目の外国人警察官マージ・マニコフの、故郷タンザニアへの望郷の念があった。
人気アイドルだった母がソロデビューする。応援したい。
そのとき彼の中に新たな感情が芽生えた。
靴ひもが食べたい。
中華鍋を手に、彼は全裸で走り出した。
3秒後、彼は自動ドアにはさまり、帰らぬ人となった。
その瞬間、僕は携帯をマナーモードに切り替え、必死でストレッチをした。
僕は紳士だ。マナーは守る。
同僚の警察官が混乱した様子で電話をかけている。
30分後ピザが届き、警察官が激怒した。
「君!お釣りを返しなさい!!」
ピザ屋の店員は錯乱し、
鼻糞をほじって警察官に差し出した。
翌日、僕は高島屋の化粧品売り場で
ピーマンはどこにあるかを
店員に尋ねた。
「当店でそのようなものは…」
僕は遮り、
「知っているよ。ここにピーマンはなかった。だがしかし、今、君の心の中にはピーマンの事が浮かんでいるはずだ。不思議だろう?さっきまでここには存在しなかったピーマンが、今、はっきりと君の心の中に存在しているんだ。
どうだい?これでもピーマンがないと言い切れるのかい?」
店員は錯乱して乳液をコットンに染み込ませた。
たちまち僕は取材形式でつっこんだ。
「えー、それは今何をしている所なんでしょうか?」
(2006.5/30)
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