現代妖怪談
先日行ってきた信州戸隠のもののけ祭りの余韻を引きずりながらこの2週間余りを過ごし、
もののけ祭りの際に友人が貸してくれた妖怪学の本などを読みながら、世の妖(あやかし)、物の怪について僕はしばし考えを巡らせていた。
僕にとって妖怪といった類の存在はそれほどファンタジーの彼方にいる架空の存在とも言い難いのは、
その正体は全く分からないものの、何度かそれらしきものに遭遇してしまった経験がある為だ。
一般的に有名な一反もめんや塗り壁や子泣き爺や河童といった日本のステレオタイプ的なものに出会った事はないものの、明らかにこの世の者とは思えない存在には数回遭遇してしまった事がある。
他の奇妙な経験も同じなのだが、
いったん自分事として経験してしまうと、それを受け入れるか、あれは一体何だったのかという解を見つけて納得したくなるものだが、見間違い、思い込み、幻覚といったセンでは無いとなると、ますます奇妙である。
あれは妖怪だったのでは無いかという僕の見た存在らは、一般的に言う幽霊とも違った存在感を持っていた。
妙にリアルで、服装や装身具などもいかにもといった感じなので、それが何処かの気狂いの変人の全力のコスプレだったのかも分からない。
1番インパクトが強かったのを
記憶を頼りに思い出して絵に描いてみたのは
渋谷駅の山手線のホームに白昼現れた気味の悪い婆さんの妖怪(?)である。
笑っちゃうくらいにいかにもなボロ布風の変な衣装に、草間彌生を思わせるようなドット柄の服も合わせ、変なヘッドアクセに、メイクもやり過ぎの不気味さで、口が大きく裂けたメイクをして、いかにも奇怪なポーズをしてニターっとこちらに笑いかけてきたので、
(何だこの気狂いの婆さんは…)とドン引きして目を合わせないようにし、
ちょっと離れたところからチラチラ見て、写真に撮ろうとも思ったが刺激するのが怖いのと、アレは本当に他の人達にも見えているのだろうかというくらい注目を浴びておらず、皆無視しているかのように普通に電車を待っていた。
渋谷といえども、勿論ハロウィンの時期では無い。
妖怪みたいなヤベー婆さんが渋谷の山手線ホームにいる…という事を特徴と共にiphoneに
メモり、しばし視界を画面に移し、
次に婆さんの方を見た時にはもう姿が無かった…。
いつの間にどこへ行った…。
アレは人間では無かったのか…?
こうなると、コレを人に話して騒ぎ立てたところで証拠も抑えて無いし、気狂いは君の方だろうと言うことにもなり兼ねない。
似たような婆さんを見た人はいるのだろうか…。
他に遭遇したヤツらもそうだが、写真にうまく撮れた試しがない。
しかしあの婆さんが妖怪だったとしても、明らかに気味の悪さを自分で分かってやっていて脅かしている感があり、妖怪とはそういった悪趣味変態な一面があるのだろうか…。
伝承されている妖怪の中にも、
変態な人間がいかにもなコスプレをして人を脅かして怪談になったものがあるかもしれないし、
ちょっと違う次元に違う存在がいるのかも分からない。
いずれにせよ、ミステリアスすぎる謎の存在である…。
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