見出し画像

トリマーの軌道。

Gibson J-50のブリッジ加工。
この機種は年式により仕様が様々。この個体は60年代アジャスタブル(ADJ)サドル仕様→スロットインサドルへの変更と云う案件。

ADJはサドル両端に取り付けられたボルトをマイナスドライバーで回すことで弦高調整が出来る便利な仕様。サドルの素材はセラミックで構造上サドルが宙に浮いた状態になるのも相まってサウンドも特徴的。歯切れの良い音色で人気ですね。

反面、構造上取り付けるピックアップの選択肢が限られます。今回はアンダーサドルタイプのピックアップをマウントしたいのでサドルをスロットインに変更したいと云う依頼です。

加工にはこの治具とトリマーを用います。※写真撮り忘れてギター変わってる。。

ルーティング治具

治具は大体自分で作ります。海外にはこの手の道具のサプライヤーがありますが、取り寄せて使ってみるとなんか使いにくい…とかよくあります。自分で作ると技術向上になるしジャストな物が出来上がります。なんなら改良も加えます。
話逸れますが治具は英語の“Jig”の当て字だそうです。

トリマーの軌道を決めてルーティング。

可変式のガイドを蝶ネジで固定してトリマーを走らせます。位置決めは音程にも関わるので事前に慎重に割り出してあります。トリマーの使いこなしはギターリペアに於いて結構肝かな。

上:afterスロットインサドル 下:before ADJサドル

綺麗な溝が掘れました。新しいサドルを削り出して装着。調弦して完成。加工後サウンドは変わります。スロットインに変更すると倍音が付加されてロングサスティーンが得られます。視点を変えると、ブリッジはギターの音色を決定付けるブレイシングがボディトップに飛び出した姿と云う捉え方もできます。

J-50はJames Taylorが印象深いですね。どの作品もアコギの音色が綺麗。名手。

それではまた。

いいなと思ったら応援しよう!