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『ワクワクする生き方』(2021年度弁論大会高校1位)
「24時間戦えますか」
これは、1989年に新語・流行語大賞となった、栄養ドリンクCMのキャッチフレーズです。
徹夜もなんのその、猛烈に働く人こそが理想とされていた時代をまさに象徴しています。
この時代からおよそ30年、このようないわゆる企業戦士は定年退職を迎え、趣味ややりたいことが見つからず、虚しさや孤独感を感じる人が増えてきているようです。
それでは、多様な働き方や、生き方が認められるようになってきた現代で、生涯楽しく幸せに生きるには何が必要なのでしょうか。
僕は、中高6年間で、自分から湧き起こるワクワクの赴くままに、興味関心を探究し続けてきました。
部員ゼロから立ち上げた地理部では、観光の面白さを発信するため、仲間と共に観光地を紹介する動画をYouTubeに投稿したり、獅子児祭ではARクイズアプリを開発し、多くの方々に遊んでいただき、高い評価をいただくことができました。
このような経験から、僕は現代における一つの新しい生き方を見出しました。
それは、「自分のワクワクをつきつめる」生き方です。
「ワクワク」とは、生まれながらにして誰しもが持っている原動力、飽くなき探究心で、自分が好きで好きで仕方のないものに向けるような感情のことです。
どんなものが好きで、どんなことに興味・関心を持ち、何を幸せに感じるのか。その、心の底から湧き出てくるワクワクが、その人らしさを形成するものなのです。
それでは、この、ワクワクをつきつめる生き方がこの時代を幸せに生きることができるとはどういうことなのでしょうか。
自分がワクワクする、心から好きなものは、「頑張ろう、努力しよう」と、意識的に思うよりも先に、無意識的に行動にうつすことができます。
自分の心から湧き出るワクワクに忠実に生きているから、エネルギー効率が100%になるのです。
そして、ワクワクをつきつめる人生を送り続ければ、生涯青春を楽しむことができるようになるのです。
しかし、このワクワクをつきつめる生き方は、ただの夢物語で、実現できるわけがないと思う人は多いでしょう。
確かに、これまでの時代だったら、この生き方は不可能だったかもしれません。
しかし、予想もつかない、超技術革新期の現代において、ワクワクをつきつめる生き方は不可能でないだけでなく、まさに求められる生き方なのです。
これからの時代において必要なのは、製品の性能を1から10に上げることではありません。
このような仕事は、大量のデータを瞬時に分析するAIが、全てこなしてくるようになるからです。
これからの時代でまさに必要なことは、テクノロジーやAIを活用し、0から1を生み出すこと、つまりイノベーションを起こすことなのです。
そしてそれを起こす人こそ、自分のワクワクをつきつめている人なのです。
これまでの日本の教育は、得意分野を伸ばすのではなく、不得意分野をなくすような教育で、落ちこぼれを作らない、平均的な人材育成がなされていました。
しかし、イノベーションを起こすのは、いつの時代も、常にワクワクをつきつめ、得意分野を伸ばし、極めた人たちでした。
アインシュタイン、ライト兄弟、手塚治虫、スティーブ・ジョブズ、自分のワクワクに忠実に生きた人たちは、イノベーションを起こし、社会に影響を与え、人類を前進させてきました。
これからの未来では、自分のワクワクをつきつめ、一つの分野で突き抜けているような人が協力しあい、より良い社会を作っていくのです。
30年前の人々が、手のひらサイズのコンピューターを誰もが持ち歩いているこの時代を想像できなかったように、これからの未来は誰にも予測できないのです。
僕たちが未来にできるアプローチは、自分が最高にワクワクする理想の未来をイメージすることしかないのです。
そして、理想の未来を目指し、テクノロジーを使って形にすることが、これからの時代を生きていく上で、必要不可欠になるはずです。
この誰も予想できない時代を最高にエキサイティングに生きるために、まずは自分のワクワクに耳を傾けてみませんか?
そして、自分のワクワクをつきつめ、人類を前進させるイノベーションを巻き起こしましょう。
ご清聴ありがとうございました。
受賞コメント
中学2年から毎年弁論大会に出場し、今回が3回目の優勝となりました。最後に有終の美を飾れたことがとても嬉しいです。
弁論の準備をサポートしてくれた母や友人にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
弁論大会は、自分が生きている中で得た気づきや学びといった、いわゆる実践知をもとに、自分の考えや意見を、聴衆に熱意を込めて伝える、そういうイベントだと思っています。
去年の弁論大会では『新時代の文化』と題し、自分がAppleのプログラミング世界大会で日本人で唯一入賞した経験をもとに、「これからの時代の文化の担い手は私たち一人ひとりである」という主張をしました。
一昨年は『ブラチリブから考える部活論』と題し、自分が中学1年生の頃に立ち上げた地理部が、獅子児祭の展示大賞で1位に選ばれるほどに成長した経験から、これからの部活のあり方について弁じました。
今年の弁論大会は、まさにこれらの弁論も含んだ、僕の中高6年間の集大成と呼べる内容となりました。
部活での活動、プログラミングなどのものづくりの活動、、、自分の中高6年間の活動を振り返り、自分はなぜこのような様々な活動をすることができたのか、自分の原動力は何なのか、、、それを追求して出た答えこそ、「ワクワク」だったのです。
このワクワクをつきつめる生き方の説明は、弁論本文に譲ります。
また、僕がこのワクワクをつきつめる生き方を弁論大会で披露したのは、他の誰でもない、中高生のみんなにこの話を聞いてもらい、自分の生き方を考えてほしいと思ったからです。
中高生という時期は、自分とは何者なのか、アイデンティティを探し求める大事な時期です。弁論でも述べた通り、今の時代は多様な生き方が認められるようになっています。この弁論が、みなさんに生き方を考えるきっかけを与えることができたら嬉しいです。
ところで、今回の弁論も、「5分以内」という制約にとても苦労しました。去年の弁論大会では5分を1秒オーバーしてしまったために優勝を逃したという苦い経験をしたので、今回は短めに作ろうと考えていましたが、伝えたいことが多すぎて結局ギリギリになりました。これでも結構削ったんですけどね。
その結果、言葉の言い回しにもこだわり、一文一語に意味のこもった、とても密度の高い文章を作ることができたと思っています。
最後に、今回の弁論に関連している文献や参考にした文献などを紹介します。
-マイク・マクマナス著『Source:あなたの人生の源はワクワクすることにある』
-Appleが1997年に打ち出した広告キャンペーン「Think different」
(高校3年)
Photo by Artur Voznenko on Unsplash