鳥取の旅③
2日目は気を取り直し、まずは今回の旅の本命の場所へ。
鳥取駅からは車で2時間ほどなので、7時にホテルを出て9時に到着。
その場所へは険しい山を登っていかなければなりません。
あくまで修行場であり、道は整備されていません。死傷者が出ることもあるので、一人で登るのは禁止です。
基本的にソロプレイヤーの自分にとっては何とも厳しいルールです。
入り口で待っていると、千葉県から来たという老夫婦にご同行させてもらえることになりました。
急な崖。木の根っこをはしご代わりに登っていきます。
半分くらいまで来ました。90度近い崖を鎖で登っていきます。「力抜いたら死ぬなぁ」と本気で思い、緊張感が高まります。
一つ目のお堂です。
この日は結構暑く、軽い熱中症気味だったので長めの休憩。
下は崖(ひえぇ)。
人一人分の崖の端っこを通っていきます。
二つ目のお堂。この下は谷底です。とてもじゃないですが、写真に写っている人のように奥に行こうとは思いません。
岩の上を歩いていきます。苔が生えていて、とても滑りやすくなっています。滑ってしまい、ちょっとずり落ちて死ぬかと思いました。
さあ、目的地まであと少し。
このお堂を、後ろの岩山の隙間から回り込むと……。
ついに到着しました!国宝の三仏寺投入堂です!
7世紀後半に実在した人物で、修験道の開祖とされる役小角(えんのおづぬ)が法力によってこの岩山にお堂を投げ込んだという伝説がその名の由来となっています。
実際には、平安時代後期に建てられたと考えられるもので、平安時代の密教建築の数少ない残存例です。
昔の人はあそこまで崖を登って修行したそうですから、よほどの覚悟がなければいけません。
そして何より、今からおよそ1000年前の人々が、このような場所にどうやってお堂を立てたのか。不思議と言うほかありません。
帰り道はあの急斜面をそのまま戻るわけでして、何度か滑って崖から滑落しそうになりましたが、何とか無事に下山できました。
高瀬 邦彦(たかせ くにひこ・地歴公民科)