とりあえずラーメンって美味しいですよね(「Ramen is God」レビュー)

Ramen is God
(composer:Ramen bot a.k.a Ice vs Masahiro “Godspeed” aoki)
※ レビューを読む前に聴くことをおすすめします

タイトルにもある通り、ラーメンはおいしい。そして”神”である。私はラーメン通というわけではないのだが、好きな食べ物の中では上位に入るし、最低でも人並みには好きである。

さて今回紹介するのは「Ramen is God」という曲で、台湾にあるRayarkという会社が提供しているcytus2及びVOEZに収録されている曲である。この曲はある界隈では有名で、Rayarkに勤める香港人のIce氏と株式会社vivix代表であり、作曲家兼ギタリストである青木正洋氏の2人が手がけた楽曲である。これはかなり重要なことなのだがIce氏は「超」がつくほどのラーメン好きである。

この曲が作られるにあたっての経緯を話すと、とある雑談配信でIce氏が青木正洋氏と対談中、「合作しよ、テーマはラーメンで。」という話になり、ある日cytus2 の大会で使う楽曲を制作してくれとプロデューサーに言われ、制作が始まったらしい。

そろそろ曲の話をしよう。できればというか必ず聴いてから見てほしい。まずは、本人たちの解釈を引用しよう。

(以下soundcloudより)
「ラーメンは神というこの世の真理にIceさんと共に触れることになりました。ラーメンを食べるというのは神聖な時間であり、救済の瞬間であり、また一方で食べ終わってしまう絶望を受け入れるためのカウントダウンでもあります。ラーメンとは喜びと哀しみを内包しているのです。故にこの曲もその2つが同居したものでなければならず、シンフォニックメタルに辿り着いたのは自然過ぎるほど自然なことでした。ラーメンと対面した際の湯気のようなイントロから始まり、スープの最初の一口をすすった時のようなパンチのあるTutti、一心不乱に麺をかきこむ変則的なリフ、魂で味わうバイオリンとギターのユニゾン、太麺の縮れを想起させる細かなトリルの入り混じったギターのメロディ、高菜やお酢、ラー油を投入し味を変える後半戦、勢いのまま貪った結果訪れるラーメンとの突然の別れ、と畳み掛けるように展開していきます。あなたにはどんなラーメンが感じられましたか?もし今すぐラーメン屋に行くことが出来なくても安心して下さい。カップ麺にお湯を注いでこの曲を1度聴けば大体食べ頃になっているはずですから。」

最後の方にあるどんなラーメンを感じたかという問いに対して、中々ラーメンを感じたという人はいないと思う。僕は何回か曲を聴いた後にこの文章を読んだが、無論初めて聴いたときには何もラーメン要素は感じなかった。だが何箇所も納得できる場所はある。確かにラーメンを食べている時は楽しいし、食べ終わると少し寂しい気持ちになるような気もする。

それでは私なりにこの曲の分析をしていく。大体の解釈は書いてある通り、「ラーメンは神」というのはこの世の真理で、ラーメンには喜びと悲しみが内包されていると。
自分なりの解釈として最も本人たちとずれているのは、イントロ部分であろう。私はこの部分は《待ち時間》だと思っている。お店で食べるラーメンにしろ、カップラーメンにしろ、目の前に来るまでは待たなければならない。イントロが低速なのも含めて、私はこう考えた。その後はbpm145にも関わらず、かなり疾走感のある曲調が続く。また、この曲は1:40ごろからまた再び低速に入るのだが、おそらくこのタイミングでラーメンにラー油やら何やらトッピングを追加しているのだろう。そしてそのまま高速になるのでまた一心不乱にラーメンを最後まですすっているのだろう。(そして汁まで飲み干すのかな…)
また全体的に高速なところはラーメンの持つ喜び、低速部はトッピングを除けば悲しみを表していると考えて良いのかもしれない。

当たり前と言えば当たり前なのだが、*この曲は社会批評等何かを訴えている曲ではない。むしろ、そういった社会批評よりも「みんなラーメン食べようぜ、だってラーメンは神じゃん」的な曲だと思っている。
さて、その上でもう一回この曲を聴いてみよう。この曲は天才的な曲だと気づくはずだ。ちなみに私はラーメンが食べたくってその後cytus2 をプレイしていました。

以下注
tutti  全部(イタリア語)、音楽では全員で演奏するところの意
リフ コード進行などの楽曲の基礎や伴奏として成立するもの
ユニゾン 同じ高さの音、旋律を複数の楽器で奏でること

*Iceさんによると、友人と制作した「Telegraph : 1344 7609 2575」という楽曲にはモールス信号で「香港人加油(香港人頑張れ)」と言うメッセージが隠されており、中国国内で炎上したため勤めていたRayarkを退社したとのこと。この旨が、7月18日にTwitter及びFacebookに投稿されました。
今回レビューした楽曲は、この炎上の前であり、青木正洋氏との合作でもあるため、このようなことはないと思いますが、もし政治的なコンテンツを含むのであればこれは誤りです。
しかし、Iceさんはこれからも音楽の道を続けるとのことなので、一緒に応援お願いします。

(高校2年生)

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