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90秒でできる筋肉痛のケア!筋膜ローラー‼

1. はじめに

今回は筋膜ローラーの効果について話していきたいと思います。

筋膜ローラーは近年スポーツ現場やフィットネス、リハビリでも使用されています。
理由としては、道具は低価格なものやテニスボールやゴルフボールなどの代替品もあり、簡便に使用できる点で広まっています。
また、効果に関する研究も近年で増加してきており、エビデンスも着々と積みあがってきています。

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上記は筋膜ローラーの研究論文の推移ですが近年で増加しているのを示しています。
マッサージと比較されていますが、実は近年の研究(メタ分析)で、リカバリーに一番効果があるのは『マッサージ』だと示唆されています。
『マッサージ』に関しては、マッサージする人の経験やセンス、時間、強さ、場所など条件が揃いにくい中で、メタ分析で効果があると判断されたことはすごいことです。
機会があればまとめてみたいと思います。

マッサージの時間は一つの部位で15~30分などですが、筋膜ローラーは1~2の筋(部位)に90~120秒と短時間で効果が得やすくセルフで行えることが特徴的です。
筋膜ローラーはセルフケアですので経験やセンスなどは関係なく実施できるためこちらを紹介します。

2015年1月現在のストレッチポールEX(カラーバリエーション)

2. 筋膜とは

筋膜とは『筋肉などを包んでいる膜』の総称です。
つま先から頭まで全身にあり繋がっており、第2の骨格ともいわれています。
筋膜は骨や筋だけでなく内臓や脂肪にも付着しています。
内臓の働きに関与しているやボディメイクにも関連しているようです。

筋膜がなんらかの原因で一部分が固くなってしまった場合、可動域制限や痛みを引き起こします。
筋膜と筋肉の違いとして『可塑性』があります。
可塑性とは力を加えて形を変えたときに力を外してもそのままの状態を保つ力のことです。
ですので、筋肉をストレッチしても筋肉は可塑性が低いので、元に戻りやすく、逆に筋膜はストレッチされたままの状態を保ちやすいという特徴があります。

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スポーツをしない方でも、パソコンやスマホなどで猫背やストレートネックで肩や腰の筋膜が硬くなっている可能性があります。
姿勢変化にも筋膜は関連していますのでオススメです。

3. 効果

一番の効果は『筋肉痛(DOMS)』です。
もちろんパフォーマンスなどにも効果があると言われていますが、効果が曖昧であると判断されています。

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『パフォーマンス』については静的ストレッチとは違い、悪影響を与えないと述べられています。
ですので、パフォーマンス前に行っても問題はありません。

『関節可動域(ROM)』効果についてですが、制限因子が痛みであれば改善するが、真の筋-筋膜性のものでは改善されないのではないかと述べられています。

実施時間やセット数、アウトカムの評価項目などを一定にするなど『パフォーマンス』、『ROM』に関しては、更なる研究が必要であると記載されています。

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筋肉痛(DOMS)の原因は未だ解明されていません。
筋膜の損傷により、筋出力が低下していることは報告されていますが、筋膜損傷の回復と痛みの量とは相関していないためまだ謎のままです。
また筋肉痛を軽減する生理学的根拠も明確にされていません。

ただし、筋膜が筋肉痛と関連があることは間違いなさそうです。
筋膜ローラーで筋肉痛が軽減される要因として、
1つは脊髄の興奮を低下させることが考えられています。
筋肉痛がある状態では筋肉を支配している神経から脊髄へ刺激が入ります。
この流れを筋膜ローラーが抑えることで筋肉痛を軽減していると考えられています。
脊髄の興奮を抑えるため、筋膜ローラーをしていない反対側の筋活動量も軽減している(クロスオーバー効果)ことも報告されています。

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さらに自律神経の調整があります。
痛みを感じている状態では交感神経が優位です。
筋膜ローラーのゆっくりした圧刺激は副交感神経が優位になり、自律神経の調整をします。そのため痛みを司る中枢神経系の調整にも関与しているようです。
効果として、心拍数や血圧の低下などもあるようです。

4. 何秒、何セット、強さはどれくらいでやればいいか?

1つの部位に30秒×3セット、NRS(痛みの評価尺度)で7/10までの強さが提示されています。

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90~600秒は効果が認められていますが、90秒が一番効率的な時間と記されているものと90秒以上は効果が薄れると記載もあり、90秒をオススメします。

NRSで7/10までとしていますが、痛みの感じ方は人それぞれ。
『痛気持ちいい』が限界でそれ以下が良いと思います。

5. まとめ

 『筋膜ローラー』は簡単に使用し『筋肉痛』を軽減できる
 『パフォーマンス』に悪影響を与える可能性は低いのでウォームアップで実施しても良い
 『ROM』への効果は一定ではないので実施する際は効果判定が必要
 時間は一部位につき90秒がオススメ!
 自律神経を調整してくれるので、リラックスしたいときにも使用できる
 コストパフォーマンス、短時間でケアできるため使用してみてください

6. 参考文献

 Garrett A. Hughes, Leanne M. Ramer DURATION OF MYOFASCIAL ROLLING FOR OPTIMAL RECOVERY, RANGE OF MOTION, AND PERFORMANCE: A SYSTEMATIC REVIEW OF THE LITERATURE. The International Journal of Sports PhysicalTherapy.Volume14,Number6,December2019,Page845,DOI: 10.26603/ijspt20190845
 Yann Kerautret, Franck Di Rienzo, Carole Eyssautier and Aymeric Guillot. Selective Effects of Manual Massage and Foam Rolling on Perceived Recovery and Performance: Current Knowledge and Future Directions Toward Robotic Massages. Frontiers in Physiology. December 2020 ,Volume 11,Article 598898. doi: 10.3389/fphys.2020.598898
 B. Skinner et al. A systematic review and meta-analysis of the effects of foam rolling on range of motion, recovery and markers of athletic performance / Journal of Bodywork & Movement Therapies 24 (2020) 105e122 . https://doi.org/10.1016/j.jbmt.2020.01.007

理学療法士 稲吉直哉


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