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松岡 正剛「編集工学的読書術」
松岡 正剛(まつおか・せいごう)――編集工学研究所所長・イシス編集学校校長
雑誌「遊」編集長、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を経て、現在、編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。『知の編集工学』、「千夜千冊エディション」シリーズなど著書多数。
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読書は交際である。いろいろな交際だ。律儀な交際もあれば危うい交際もある。めったに出会えない相手との交際もあるし、のべつ顔を突きあわせたい仲間うちの繰り言を聞くような読書もある。本は「人」なのだ。出来がいいとはかぎらない。千差万別である。
だから気楽にいろいろな本と付き合ってみることをお勧めするが、他方、そういう本のなかには磨き抜かれた本、陶冶されつくした本、才能が漲る本、歴史の渦中でしか生まれなかったような本が、ゴマンと輝いてもきた。「とびきり本」である。その内容は小説から学問まで、政界から裏社会まで、細菌から宇宙まで、慈愛から惨殺までを扱って余すところがなかった。本の歴史は「とびきり」をつくりだしてきたのだ。
なぜ本は「とびきり」を世に送り出せてきたのだろうか。私はそこに編集工学的世界観がかかわってきたからだとみなしてきた。その話をしておきたい。
―『學鐙』2024年秋号 特集「“読む”の諸相」より―
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