本日のお仕事
今日はひさびさに企業さん向けの営業のお仕事。出演者は、我々、スマイルさん、見取り図、天才ピアニストの4組。スマイルさん、見取り図の漫才は言わずもがなだが、天才ピアニストの漫才がおもしろい。
ボケのますみの『上沼さんのモノマネ』のイメージが強いと思うが、実は竹内のツッコミも良い。特に語尾の
「○○やねぇ」
がクセになる。ご覧になられる機会があれば、竹内のツッコミと、今の竹内の髪型が完全にリヴァイ兵長なので、それも合わせて見てみてください。
今年に入り、こういった営業の形も変わってきている。コロナ前だと、その企業に勤めてらっしゃる方や、そのご家族が集まっている会場に芸人が出向き、ネタを披露するのが当たり前だったが、今はリモートで漫才をし、それを各ご家庭で見ていただくという形式が多い。今日ももちろんリモート。
カメラに向かって漫才をするので、お客様のリアクションがわからない。そもそも、漫才を見ているのかさえわからない。今日の営業は19時スタート。たぶん、ご飯を食べながら見ている方も多かったのではないだろうか。
ただ、過去の企業さん向けの営業の現場を思い出すと、大体ホテルの宴会場で、円卓が並べられていて、そこに8人ずつくらいが座っている。結婚披露宴のような形式が多かった。そして、そういったパーティーは、
一番偉い人の挨拶(5分)
各部の偉い人の挨拶(5分✕4人)
次に偉い人の乾杯の挨拶(5分)
食事(30分)
漫才(15分)
抽選会(15分)
という流れで進む。こうやって見ると、非常にまとまった90分のように見えるが、そう簡単には進まない。
まず、開始時刻通りに始まらないことが多い。しかし、会社の色んな部署の方が集まっているし、色んな地域から来られている場合もあるので、それは仕方がないことだ。スタートが10分押す。そして、挨拶6連打。仮に一人1分伸びたとして6分押す。もう16分押しだ。
主催者の方は大混乱だ。
『ホテルの会場の使用時間は決まっているし、芸人も次のスケジュールがあるため、会場を出る時間も決まっている。しかし、これではせっかくの食事時間が14分になってしまう。どうしたものか。。。そうか!』
こういったとき、主催者の方が出す答えを、僕は知っている。
『食事14分+漫才15分=29分!これでいこう!』
ということで、食事の後に漫才があるように見えるが、ほとんどは食事中に登場することになる。
人間の口は、ひとつの仕事しか出来ない。この場合『食べる』か『笑う』か。この2つの選択肢が与えられたとき、僕の経験上、人は『食べる』を選ぶようだ。
我々のことを全く知らないお客様はもちろん『食べる』の一択。円卓なので、最初から最後まで食べている背中しか見えないお客様もいる。
我々のことを多少なりとも知ってくださっているお客様は、食事の手を止めて見てくださるが、ネタのフリの部分は『食べる』ので、ボケたときはもぐもぐしてらっしゃるので笑うことができない。
『食べる>笑う』
なのだ。
我々のマイクを通した声と、食器がこすれる音だけが聞こえる空間。松尾芭蕉なら、きっと一句詠んでいると思う。
ちなみに、そういったパーティーはコース料理であることが多いのだが、ホテル側の方も、そういうパーティーに慣れているのか、芸人にすごく気を使ってくださったことがあって、ネタ中は次の料理を配膳しないようにしてくださった。その結果、
前菜
スープ
サラダ
魚料理
漫才
肉料理
デザート
と、魚料理と肉料理に挟みこまれたこともある。
過去のことを思えば、カメラの向こうで、時間を気にせず、ゆったりとご家族でご飯を食べながら、漫才を見られる今の状態も良いのだろうし、こんなえげつないエピソードをもらえる、過去の営業の形にも早く戻ってきてほしいなと思う。