移り変わる空の色を何色と言えるか
移り変わる空の色を何色と言えるだろうか。
時刻や天気によって変わるそれは何色でもあり、また何色でもない。
日々対面する有象無象な問題についてもそれと同じ。
経験や状況を考慮して
また人の言葉に耳を傾けて
絞り出した答えが
正解のように思えてしまう
けれどもそれはきっと
ちぎって、くっつけて、ノリで貼って、継ぎ接ぎで
消して、線を引いて、壁で覆い隠した
考えが根底にある。
尊敬を集める立派な人の正解も
よくよく聞いてみれば、
曖昧模糊な上に立つ。
遠くの山に積もる雪が冷たいと想像して近寄らず、
蜘蛛が部屋に入れば気味悪がって追い払う。
労力を費やして手に入れた正解ならば、
余計に違う回答を認めない。
記憶の中にある過去も想像する未来も今の気分に基づいた作り物にすぎないが、
それら靄の類に現在の感情を投影し、膨れ上がった何かに夢中になる。
移り変わる空の色は何色をも孕み、また何色でもなく、
正解と思えばなんでも正解で、
正解なんてあるようなないような、
そんな釈然としない答えを飲み込み消化すればこそ、
地に足がつくといえる。