【人生劇場#46】ゲスト:五十島麟信さん
「島前高2年の五十島麟信です。17歳です。好きな食べ物はおいしいもので、嫌いな食べ物はあったかいはずなのに冷めちゃったものです。よろしくお願いします。」
りんとさん今日調子よいぞ、と思った。
五十島麟信という面持ちが、たまにとっても羨ましくなることがある。
どうも、イソジマリントですと名乗りたくなる。
それで、ほほ笑みを、ささやかにたたえながら、たのしいことをしゃべって、静かに去りたくなる。
3月10日の人生劇場のゲストは、島前高二年生の五十島 麟信(りんと)さん。後期の生徒会長をつとめ、ほんで、来年は休学をしてデンマークに行ったりするそう。
遠くに行ってしまう前に、1回じっくり話を聞きたい!ということでゲストをお願いしたんだって。
五十島麟信的五十島麟信(漢字多)、をみんなで考えた。
かわいい女の子、と答えた人が居た。そのことば自体よりも、それを発したその人のかわいらしさというか、かわいらしさが残った。
わたしから見てりんとさんの右隣に座っていた、保護者みたいな人はりんちゃんは求めるものが変わったよねえ、という話をした。
株のゲームに明け暮れ、どうやったらお金が手に入るかな、という話をし、いつも答えを欲しがっていたというりんちゃんは、理論的に自分で立てた仮説に対して、これは正しいのか、正しくないのか見きわめようとする、もっとフラットなりんちゃんになった、と言った。
りんとさんもまた、将来の夢は何かと聞かれたときに、以前は「お金持ち」だったけれど、今はお金はそんなになしで、「民族みたいな生活」をしたい、と言った。わたしの、最初の最初のりんとさんの印象が「富豪」とか「なにやらヤバンな人」だっただけに、それはわたしにとって、ほう、と思う話であった。
わたしは、その場ではすこし焦っていて、シュークリームにアスパラが2本刺さったやつ、と答えてしまったが、それもあながちまちがいではないと思う。脚長いし。
冷静に、今考えて、エアコンでなんとなく「ゆらぎ」ボタンを押してみる、あの機嫌のよい感じが、なんか合わせてみたけど、結構おいしい。のあの塩チョコの感じが、りんとさんであると、わたしは思う。
「たのしい」、「自由」という言葉にすらとらわれていない、どこか羨ましい感じが、りんとさんだと思う。
「りんとさんって、結婚願望あるんですか?」
ぶっこまれたような、それ以前にそういう文脈があったような、そんな感じの質問。この質問でみんなの目線がりんとさんに、ぽろぽろと向かっていったな、という覚え。りんとさんは、結婚すると定住するというイメージだけど、いっしょに放浪してくれる人ならしたい、定住はしたくない、と言った。
「生涯をかけてパートナーはほしい?」と聞かれて、りんとさんは少し静止してから、居たほうが楽しそうだ、としゃべる。
「一人が意外と居心地がわるい」というのは、わたしにはあまりない感覚だったのでへーとなった。
「一人で居たいときは一人で居たい。悩んでいるとかじゃなくても、ゆっくりしたいときとかは一人で居たい。でもふたりでゆっくりできるなら、ふたりでもいい。」
ちゃんととらわれていなくて(そうわたしは感じた)、話しながらもそれが本当か見きわめている感じがして、でもおだやかな、そういうのであった。
自己紹介を聞いて、今日はりんとさんは調子がよいのだ、とばかり思っていたが、とってもとっても緊張しているらしいことが途中でわかり、あらぁと思った。
(文:池田茉生)