進路選択を間違えた男【第1回】 テキトーに決めちゃって大丈夫?編
納得のいく進路を実現するためには、そもそも「何のために進学するのか?」という根本的な問題に向き合わなければなりません。今回は、その問題に立ち向かうことなく進路選択をしてしまった進路アドバイザー・鈴木のリアルな失敗談をお伝えします。
▼ プロフィール
2001年1月10日(月)成人の日。この日、私はある大きな決意を表明することになりました。それは「大学を辞める」こと。なぜそう決断したのかを語るには、高校時代の私がどのように進路選択をしたのかという話をしなければなりません。
私の高校はいわゆる進学校で、クラスのほぼ全員が「卒業後は大学に進学する」という意識を持っている環境。そんな中で、青春時代を謳歌していたわけです。
では実際に、私の進路選択の過程を、カレンダー形式(再現した表情&過去の自分へのツッコミ付き!)で振り返ってみることにしましょう。
■ 1997年10月○日(高校2年秋) 「文理選択用紙」の提出日。
ここまで特にこれといった波風も浮いた話もなかった私に訪れた最初の山場……。がしかし、理系の父親の影響もあり高校入学当初から「理系大学進学」という漠然とした進路を思い描いていた私は、「数学は苦手だけど物理は得意だから、絶対理系で大丈夫! たぶん!!」とあっさり理系に○をつけて提出しました。
ちなみに、この時点での好きな教科は、物理のほかに現代文。いわゆる国語ではなく、思想・哲学・心理学を含め様々な観点で物事を考えていく楽しみを教えてくれた高校の先生の授業が魅力的で、興奮を覚えた記憶があります。
しかしそれも、私の文理選択に影響を与えることはありませんでした。
月日は経ち、いよいよ受験生になった私。ちょうど受験勉強が波に乗り出した頃、再び進路と向き合わねばならない時がやって来ます。
■ 1998年5月×日(高校3年春) 予備校の模試当日。
さて、志望校記入欄にはどこの大学を書くか。日頃の会話から察するに、周りの友達はだいたい志望校が決まっているらしい。記入用紙を前にして、私も志望校について思いを巡らせていました。
「とりあえず有名な大学がいいなぁ。そうだ、それでいいや。細かいことは入学してから考えよう」ということで、この時点で志望校は「有名大学」に決定。
受験生になっても相変わらず進路に対する緊張感が一切ない私は、「とりあえず」の選択を重ね続けて志望校を決定してしまいます。ちなみに、学部については、とにかくわかりやすそうな理系学部名を記入したような気がします(そもそもよく覚えてない…)。
自分の将来については棚上げ状態のままですが、志望校らしきものが決まると勉強のモチベーションだけは上がっていきます。
その後、返却された模試の結果も悪くなかった私は調子に乗り、「進路とはすなわち、受験(に合格すること)である」という悟りを開いていたのです。そんな中でも、進路について再び考えなければならないイベントが訪れます。
■ 1998年6月△日(高校3年夏) 三者面談前日。
先生、さらに親を交えて志望校&志望学部を話し合わなければならない三者面談。普通なら重苦しい気分になっても不思議ではないこの日になっても、私の気持ちは軽やかでした。だってすでに志望校は決まっているし。あとは学部や学科を絞るだけ。
とはいえ、翌日までにはっきりさせておかなければなりません。そこで、またしても思いを巡らせます。手がかりはすぐに見つかりました。
当時私は、よくテレビで特集されていた「U.F.O(未確認飛行物体)」に異常な関心を持っていました。「UFOといえば宇宙でしょ!」ということで、ほとんど迷うことなく、UFOに関係のありそうな(?)物理が学べる学部を志望することに決めたのです。
懸命の思考(?)により導き出された結論をもとに、三者面談ではしっかりと志望校・志望学部を伝え、あとは受験勉強に打ち込むのみ。「受験生に夏はない!」という少し古風な掟を守りながら勉強を進めていきました。
夏休みには志望校の「オープンキャンパス」なるものも行われていたはずですが、目をくれるはずもなく……。
数学が苦手なのは相変わらずでしたがその他の科目は好調を維持。やがて夏が終わり、秋が過ぎ、冬を迎え、あっという間に受験当日がやってきます。
■ 1999年2月○日(高校3年冬) 受験当日。
緊張のためほとんど眠れなかった私は、試験会場にどれくらいの時間で着くのかもわからず、とにかく早起きして家を出ました。志望校に行くのは、なんとこの時が初めて。案の定、到着は受付ギリギリ。
初めて訪れたキャンパスを目にして、まず思ったことは「なんかイメージと違うような……?」ということ。しかし、そんなこといちいち気にしている暇もなく試験が始まり、そして終わっていったのでした。
試験はといえば、やはり数学ができない……。しかし他の科目で挽回し、志望校の「東京理科大学 理学部 応用物理学科」に無事合格。充実した受験生活を自画自賛しつつ、晴れやかな気持ちで入学を決めました。
解放感も満喫し、華の大学ライフに胸躍らせながら、意気揚々と高校を卒業したのです。
■ 今だから言える、自分のココが間違ってる!
すべて、その場しのぎの「とりあえず」を重ねた私の進路選択。
自分の将来に向き合うことを先延ばしにした結果は……次回に続く。
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