蒲田健の収録後記:西加奈子さん
立派な“大人”の女性に対して失礼にあたるのを承知で言わせて頂ければ、
西加奈子さんの印象は「にこやかにまっすぐ前を見つめる“文学少女”」
「サラバ!」での直木賞受賞後の初となる長編「まく子」は少年少女が
主な登場人物たち。実は「サラバ!」以前から構想して、
一度は“子供向け”に書いてみたものの、どうも違う。
原点に立ち返ったのち、自分も彼らも、根源的に抱える悩み・畏れの本質は
通底しているという気付きを得て、物語がダイナミックに動く。
分子生物学者・福岡伸一さん云うところの「動的平衡」の世界観とも
相通ずる「粒」の概念。
「まく子」たちは、何を、なぜ「まく」のか?
悪い人が全く出てこない(「変」な人は出てくる)。
そんな世界はきれいごとにすぎる夢物語の誹りを免れないかもしれない。
でも、そういう世界を確信犯的に描く作家がいてもいいじゃないか。
西さんは、確信犯的に「にこやかにまっすぐ前を見つめる“文学少女”」だ。
P.S.
味のある挿絵は全て西さんの手描き!段ボールに小学校の図工で
おなじみペンテルのクレヨンで描くそうです。
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