2021年の話。

今年の漢字は「金」だそうだ。
わかる。何も言うな。僕だってどうかとは思うが、そうなってるのだから仕方がない。

では僕にとってのこの一年を漢字一文字で書くと何だろうか。考えてみる。

舞台は相変わらずの「ご時世」と戦いつつ、4本を作る事が出来た。
一つ目はビッグツリーシアターで上演した「どうせ死ぬなら強火がいい」。
コメディでありながら「自殺」をテーマに、あまり普段やった事のない描き方をした。演出を担当したのは長年無情報で照明を担当してくれているこーだい。
若々しく座組みに年を感じたのを覚えている。
だからこそ負けまいと、少し張り切ってしまった。
主にウチの芳賀が。

毎年恒例のACTHOUSEは「大赤字に進路をとれ」というも物語を作った。オンライン演劇で絶対に赤字を出さなければならない弱小劇団の葛藤の物語だ。
過去最大に年齢層が幅広かった今年は、その作品の厚みも凄かった。作った僕の方が作品からエールを貰ったような気がした。観に来てくれたお客さんからも嬉しい言葉を沢山もらった。
主にウチの芳賀から。

無情報では「そこまでだ悪いやつ!」を上演した。
5人戦隊のスーパーヒーローと、それに毎度負けなければならない怪人の苦悩を描いた。
いつもの無情報のように見えるだろうが、実はここ最近で1番、自分の感情を込めて書いた作品かも知れない。
それを受け取ってか、劇団員含め出演者の芝居も日に日に加速していった。なんというか、雪だるま式という言葉がぴったりな現場だったと思う。
主にウチの芳賀を見てると。

東京・大阪の2都市で上演できた「ひょんひょん」は、豪華な出演者を連れた男5人芝居だ。
はじめましてのキャストも多くどうなる事かと心配したが、蓋を開ければこれ以上ない5人だった。
中学時代の同級生が10年以上ぶりに再開するという設定なのだが、まるで彼らが本当に同級生の様に見えてくるから不思議だ。何より全員顔がいい。恐ろしいほどのイケメンだ。是非爪の垢を煎じて飲ませたい。
主にウチの芳賀に。

まだ公開は来年だが映画の脚本も執筆した。
YouTubeでの連ドラも3作品ほど作った。
テレビも相変わらずで有難い。
相変わらず自分が何屋か全くわからない生活だが、心のどこかでそんな生活に満足している自分がいる。
何屋か解らない飲み屋に限って肴が美味い。
ここまで来たら、一生何屋か解らないままでいようとすら思う。
そう、ウチの芳賀の様に。

私生活で言えば引っ越しをしたのも大きい。
生活環境はがらりと変わり、良さを噛み締めつつ悪さも時に味わっている。自分が最高に満足する「終の住処」に出会える様な事は今後あるのだろうかとすら思う。
その頃にはもうすっかりオジサンになってるかも知れない。
そう、ウチの芳賀の様に。

様々なお仕事、有り難う御座いました。
全ての作品を観たという稀有なお客様、いらっしゃいましたらご一報下さい。粗品でも送ろうという気持ちになります。あくまで気持ちに。
また来年も沢山の物作りを企んでおります。
僕の笑い噺で良ければ、ぜひ観に来て下さい。
皆様、良いお年を。
そして来年もより一層のご贔屓を。


あ、今年の漢字ですか?
当然「勇」だったみたいですね。


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