無情報の話

決して言い訳では無い。
ここ最近の月曜日は1日舞台の稽古をしているのだ。
中々エッセイを書く時間が無い。
決して、言い訳では無い。

無情報(読み:ノーインフォメ―ション)の6本目となる本公演『そこまでだ悪いやつ!』の本番まで1ヶ月を切り、様々な準備が進んでいる。
前売りチケットはもう完売している。
急遽ではあるがオンライン配信も決まった。
何ということだ。
これが本当に無情報なのか?
結成して7年目となる無情報としては、かつて辛酸を嘗めてきたのだ。
5人芝居に対して客席が5人だった事もあった位だ。
信じられない程に喜んでいる。

そんな僕がよく聞かれる質問がある。
『無情報を作ったのはガクさんなんですか?』
答えはNOだ。
僕が作った劇団では無い。
僕が作っていたらもうちょっとイカした名前のハズだ。
その辺で察してほしい。

では無情報は如何にして今日に至るのか。
たまにはそんな昔話を書いてみようと思う。


遡る事8年前。2013年の事だ。
当時大学生だった僕は、生まれて始めて『小劇場』を借りて舞台公演を作る事になった。それまで一度も『小劇場』に足を踏み入れた事など無かったのにだ。なんと無礼な。

キャストの殆どが大学の同期で構成されていたのだが、たった2人だけ同期では無い人間が居た。それが後輩の橋詰龍、そして先輩の岸本学であったのだ。

全体的に仲のいい座組ではあったが、やはり同期の繋がりは強く、『じゃない方』同士の2人は自然と仲良くなっていった。そこに更に、演出助手として参加していた僕の高校時代の後輩も加わり、3人で次第に『自分達も劇団を作りたい』という声があがりだしたそうだ。
そうだ、というのも当時の僕はそんな事を知らないからだ。知らない間に無情報の小さな種が撒かれていたのだ。

公演は無事成功した。様々なトラブルもあったが、それはまた別の機会に。
とにかく、その時の作品を観に来てくれたプロデューサーの方が、岸本の演技を大変評価し、自劇団にオファーしてくれた。そしてそのオファー先で共演したのが、前川昂哉なのだ。

この2人もまたすぐに意気投合をした。
そして、前述の3人に前川を含めた4人で『無情報』が結成され
翌年の2014年に大学のホールを使った旗揚げ公演が執り行われる事になった。

何とも奇妙な運命なのは、この旗揚げ公演を僕も、そして芳賀勇も観客として観に行っているという事だ。

そこから、僕の高校の後輩が世界一周旅行に出る為に無情報を卒業。残ったメンバーで、レストランを使ったコント公演等を披露していた。

その時、この僕にコントの台本依頼が来たのだ。

2回の公演を経てすっかり意気投合し、翌年には神社を使った舞台公演を敢行。
そこに出演していた芳賀勇が、この作品の打ち上げでメンバーとなったのだ。

これが、今の無情報5人である。

出会いも、境遇も、年齢も、好きな物も全員バラバラ。
共通点はただ1つ、無情報であるという事だけ。

そんな5人に力を貸してくれる素晴らしいキャスト、スタッフに支えられながら、間もなく新作の幕が開く。

無情報ってガクさんの劇団なんですか?
答えはNOだ。
天才キャストと最強スタッフの劇団だ。

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