§9.9 投票による問責/ 尾崎行雄『民主政治読本』

投票による問責

 7,演説会場その他あらゆる機会をとらえて,有権者は各政党または候補者に向って,具体的な政策を明示するように要求しなければならない.できれば,米の値段はいくらぐらいにせよとか,ゼネストに賛成か反対かとか,新円成金から税をとるか取らぬかというように,具体的に質問して言質をとるがいい.そうして政党本部で発表した政策と候補者の言質を箇条書きにして,台所のかべにでもはっておき,その公約が実行せられた場合はその件の上に〇をつけ,公約にそむいた場合は,その件の上に×をつけるようにして,つねに厳重に監視していやしくも公約をうら切った政党や議員に対しては,次の選挙の時に絶対に投票してやらぬことを覚悟すれば,政党も議員も,完全に有権者によって,リードせられるようになる.
 8,議場の内外で国会の品位をけがすような行為をするもの(下等な野次や,なぐり会いをするようなものはこの部類に入れる)には投票しない.当選後,公明正大な理由もなく,選挙民の諒解もえずに党籍を変更しまたは他の政党に入党するようなものには投票しない.多数で横車を押し通した政党は,投票によってその横暴をこらしめてやるくらいの覚悟がなければならぬ.


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底本
尾崎行雄『民主政治讀本』(日本評論社、1947年)(国立国会図書館デジタルコレクション:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1438958, 2020年12月24日閲覧)

本文中には「おし」「つんぼ」「文盲」など、今日の人権意識に照らして不適切と思われる語句や表現がありますが、そのままの形で公開します。

2021年3月31日公開

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