Apple Silicon M4チップの凄まじさ
AppleシリコンのSOC(System on Chip)設計者の一人であるジョニーとは会ったことがある。Apple本社が完成する前だったが、一緒にお茶しながら新しく開発するチップの話を楽しそうに淡々とされたのを覚えている。
M1チップが出たとき、またMacbook Airに搭載して10万円前後という価格帯で省電力・ハイスペックを実現したときには「ああ、このことだったんだな」と思った。私はそのとき、湯布院で療養していたが取り寄せてみたM1 Macbook Airのプロダクトとしてのトータルバランスの素晴らしさに感動した。その時と同じ様な感動をApple M4Pro Mac miniは体験させてくれた。
この数日間でM4 MaxのMacbook Proを購入したが、このMac miniのスペックを実際に使ってみることで返品するに至ったほどだった。
AppleのM4チップを搭載したMac miniの性能検証から見えてきた、次世代コンピューティングの姿について解説する。
M4 Pro Mac miniでの実機検証では、OBSによるライブ配信とファイナルカットProでの動画編集・書き出し、さらにゲーム起動という高負荷な作業を同時に実行した。その結果、驚くべき電力効率が明らかになった。動画編集やライブ配信時の消費電力はわずか7.5W程度に抑えられ、さらにゲームを起動して最大負荷をかけた状態でも40W程度の消費電力で動作することが判明した。この低消費電力での高性能な処理を可能にしているのが、AppleシリコンのSOC(System on Chip)設計だ。スマートフォンと同様の設計思想を取り入れることで、12.8cm四方という極めてコンパクトなボディに電源まで内蔵することを実現している。従来のWindowsマシンでは、同等の性能を実現しようとすると本体以外に大型の電源アダプターが必要となり、Mac miniよりも大きな電源ユニットが必要となっていた。
IntelやQualcommもAppleシリコンに追随する形で同様のチップを開発しているが、現状ではWindowsのARM対応が課題となっている。多くのアプリケーションやゲームがx86向けに開発されており、ARM版への移行が進まなければ普及は難しい状況だ。この状況下でAppleは着実にイノベーションを重ねている。M3での実験的な取り組みを経て、M4では低消費電力と高性能を両立させることに成功した。特に注目すべきは、Mac miniというコンパクトな筐体で、従来のM3 Max搭載MacBook Proに匹敵する性能を実現している点だ。
今後登場が噂されるM4 Ultra搭載モデルへの期待も高まっているが、何よりも前の記事でも書いたのだが、1999$でLLM大規模言語モデルが使用できる64GBメモリとM4 Proを搭載したMac miniが手に入るというのは驚愕する。動画書き出し以外のスペックについてはM3 Maxを上回るレベルのチップということも驚きを禁じ得ない。経済的に余裕があり、移動したりする、ナノテクスチャーガラスが好きという方はどうぞM4 MaxのMacbook Proを購入すればよいと思うが、価格破壊という意味でコスパが良いのはM4 Pro Mac miniだろう。吊るしモデルが一般向け、LLMオンプレ利用者が64GBメモリ搭載したものを購入すればまず間違いはないと断言できる。iPhone 16シリーズやiPad mini、Macbook Proが発売されたが、間違いなく2024年発売のApple製品の中では逸品であろう。
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