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詐欺師を特定し、逮捕、回収した話

Xからの依頼だった。
1年ほど前に詐欺師に騙されて1億ほどの被害に遭われた方Zさんは男性に言葉巧みに騙されて、仮想通貨を買い、それを相手のウォレットへ送金してしまった。

そういえば詐欺事件で昨日だったか、フィリピンから帰国した地面師が逮捕されたと報道があった。Netflixでも話題だった「地面師たち」であ、ピエール瀧の役ねって言われるとすぐに分かる人も多いだろう。「もうええでしょう」の人。

地面師のような関わる人が大人数の組織的犯罪だと警察も捜査二課の人員を割いて数年がかりで捜査したりするのだが、基本的には人員不足と捜査員の頭脳不足で捜査が行き届かないのが現実だ。特に題材にされた地面師たちのモデルである積水ハウス地面師詐欺事件は不起訴の人間が3-4人ほどいる。20人以上が関与していたこと、50億円を超える被害額、など全てが普通の犯罪ではないレベルなので捜査は根気強く行われ、ジャーナリストや記者たちも取材をよくしていた事件だと記憶している。
ハリソン山中は劇中では殺人を躊躇しない感じであるが、実際の地面師や巨額の詐欺事件に絡むような人間は絶対に殺人をしない。それは彼らが捕まること前提で年収計算しているからだ。

つまり、数億円の詐欺を行う。→詐欺事件で起訴、実刑でも10年未満になる。詐欺被害額÷服役年数 という計算式で彼らは動いている。
なので10億円で10年なら1年あたり無税で1億円が手に入る、そういう計算式で彼らは動いているのだ。
ここに殺人をしてしまうと20年以上の実刑が追加されてしまうので彼らは絶対にそれをしない。その資金はすぐに海外へ送金し、プールするのが常だ。そういうプロの犯行だと捜査も長引くのだが、前提として被害額が数億円、数百億円単位でなければ大掛かりな捜査はされないし、特定の法人や警察庁OB、政治家などからの口利きを優先して捜査することも多い。これは東京検察庁の検事長から聞いた話だ。

今回のケースで警察署、弁護士に既に依頼していたらしいがどちらもあまり詳しくない人間が出てきて対応していたようで、専門のところに依頼するようにまず指示をして、弁護士を紹介した。元検事の人間を紹介して、詐欺事件の対応をよくしてきた人間に警察署へ何度も捜査依頼をさせ、特定の手がかりをしつこく提示していった。

被害にあったZさんは1億円弱だったのだが、LINEや携帯番号、その他情報があったので、まずはそういうものを一式揃えて貰い、私が犯人を特定できる材料があるかを探ってもらい、こちらでも確認し、警察署へ提出。
そうしていくと、本人確認書類や携帯番号、その他情報が出てきて、彼が複数人の犯行の可能性、プロの犯行ではない素人レベル、携帯番号が現在も使われている、本人確認書類は本物でウォレットも本人もしくは家族のものであることが分かった。このあたり出てくるか、出てこないかでプロの犯行かどうか分かる。

幾つかやり方はあるのだが、携帯番号・SIMカードがネットワーク圏内、国内にあれば場所を特定することはできる。私が使った方法などはここでは省くが、それらの情報提供を警察へ弁護士を通して報告してもらった。


そこからは早くて、実際に犯人を特定し、示談に持ち込む条件でお金を8割型回収、残りを時間をかけて返すという不法行為に基づく公正証書の作成までさせることに成功した。これによって自己破産も意味を成さないし、日本の財産は強制執行がいつでもできる状態になった。

そんな感じで別に私はそれが職業なわけではないのだが、詐欺被害に遭われた方を時には無料で、時には成功報酬で債権回収に協力したりする。彼らを個人的にIT分野であれば特定することはできるし、友人の探偵や弁護士を紹介したりもする。今までそうやって詐欺被害に遭った経営者を少なくとも5人は解決させて、資金を回収できるようにさせた。

そういう意味でその後に感謝されてうまくビジネスができたり、関係性が強化されたり良いこともあるのだが、そういう打算的な意味でやっているわけではなく、私個人的にも2億円以上の詐欺に24歳のときに遭っているので彼らのことを忘れないためにしているのかもしれない・・。

もし読者の方で警察や捜査機関で難しいという方はメンバーシップで質問や依頼をしてくれれば協力できることはしたいと考えている。何か解決できるかもしれないし、それ以外の解決方法を提示できるかもしれないので。


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