VCでもなんでもない僕が起業家に寄り添う立場として大事にしていること。
自己紹介
原田 岳/ガク
(株)taliki CCO / (一社)Impact Hub Kyoto Maker / U35-KYOTO プロマネ
イベント事業を個人で運営した後メキシコへ留学、在メキシコ法人向け総合情報メディアの編集長に就任。同時期にJETROと共同で「写真で見る世界のライフスタイル メキシコシティスタイル」の製作を行う。帰国後、Cafe&Bar ENcounter Shibuyaの経営に携わる。2017年に株式会社アオイエCCO兼関西統括に就任後、関西へ移住し京都・大阪のアオイエ立ち上げを行う。現在は(株)talikiにてインキュベーション事業を推進するとともに、コワーキングスペース事業、クリエイティブ事業などを営む(一社)Impact Hub Kyotoの運営を行う。2025年までの京都市基本計画を広報するための冊子「U35-KYOTO タブロイド」の制作・PMなども務める。
株式会社talikiについて
VISION:誰もが生まれてよかったと思う世界へ
MISSION:社会課題の解決をエンパワーする
今日泣いている誰かが、明日「生まれてきてよかった」と思えるような社会であってほしい。社会課題がいつでも解決するような仕組みづくりを目指し、事業開発・投資・販路拡大等のサポートを行なっています。
株式会社talikiでやっていること
talikiで僕が携わっているのはインキュベーション事業部です。
ビジネスモデルとしては、企業・行政・金融機関さんのスポンサーのもと、主に若者に対するインキュベーションプログラム(起業家支援プログラム)を創り展開しています。
現在稼働しているプログラムは2つ。
京都の南西に位置するイノベーション拠点、京都リサーチパーク株式会社さんとの「COM[坤]-PJ」(参加者募集中)
神戸三ノ宮駅直結コワーキングスペース、ANCHOR KOBE(アンカー神戸)さんとの「MAST Project 序」(募集は終了しました)
私たちが軸としているのは、社会課題をビジネスで解決したいと考えている方をサポートすること。
なので、社会課題を解決するのであれば特に法人格や形態(スタートアップなど)は問わずに支援させていただいています。
寄り添う立場として大事にしていること
本題に入る前に、前提として共有しておきたいことが1つあります。
株式会社talikiのインキュベーション事業部でのサポート範囲
talikiのインキュベーション事業部でサポートする範囲は、アイデア創出からPSF(Problem Solution Fit)まで。(場合によってはそれ以降もサポート)
投資ラウンドに当てはめると、シード・プレシリーズAになります。(シリーズAの方も過去にはいました)
それでは本題に入ります。
①「起業家本人の意思」「課題を持つ当事者(ユーザー)」「理想の社会」に寄り添う。
【起業家の意思に寄り添う】
起業家支援を行う人間として一番大事にしたい部分がここにあたります。
これの理由として挙げられるのが、事業の可能性を信じるのも信じないのも、頑張るのも頑張らないのも、全ての意思決定は起業家の意思によって行われるからです。(当然かもしれませんが)
そして、私たちは「事業が成功するかどうかは市場のみが知る」という前提の元、最適な知識の供給や言語化サポートを行っています。なので、「事業が成功するかどうかわからないと言うスタンス」を共有しながら、いかに過去の事例やフレームワークを使って成功確率をあげていく作業を起業家と共に行います。
また、起業家の意思と事業形態の実現を優先して最適な手段をアドバイスさせて頂くため、法人格の是非は問わず、スタートアップ以外の選択肢も積極的に薦めていきます。(ちなみにtalikiファンドでは、株式を一切取得しない出資方法なども活用し、IPOやM&Aなどの出口戦略を持たない社会起業家の方々による資金調達も可能になっています。)
【課題を持つ当事者(ユーザー)に寄り添う】
社会課題解決事業を行なっていくにあたって大事なことは、事業のターゲットとなる課題当事者の真の課題を探っていくことです。それは往々にして当事者自身も言語化できていない潜在的な意識に眠る課題になってきます。
事業を通して、当事者の課題解決をしようと試むも十二分なヒアリングや課題の深堀りを行なっていないため、事業が徒労に終わることも少なくありません。返って、課題を転嫁したり、将来に先延ばしにしてしまうような場合もあります。
その為、私たちは起業家に寄り添うことも当然ではありますが、
常々「ユーザーに誠実であろう」と伝えています。
【理想の社会に寄り添う】
起業家の意思に寄り添うことに付随して、実現したい理想の社会を創る為に私たちが行っていることは、現在の課題を生み出している社会構造を該当事業にて変革可能かどうかを様々な視点から分析し、共に理想の社会へのステップに対する解像度を上げていく作業です。(難しく言うてますが、理想状態を事業で実現可能か的なことです)
起業家の根底の意思が「理想の社会を創ること」であれば、最優先に行うことは「事業を成功させて理想の社会との距離を縮めること」であるため、本人のモチベーションなども鑑みながら共に成長するためには何が必要なのかを思考します。
これら二つの軸を行ったり来たりしながら、本人と相談を重ねていきます。
②事業が成功するかどうかは市場のみが知る
先にも上げましたが、基本的にはこの考え方を前提にコミュニケーションをおこないます。
私たちが提供できるものは、起業ステップを体系化したもの、今までの経験から培った感覚を言語化したもの、など全て過去の情報のみになります。
未来を作るのは起業家であるので、課題や事業価値に対する違和感をできる限り共に減らしていった後に、細かく検証することで成功確率を上げていきます。
また、これから起業する方々は、そもそもどうすれば事業が進むのか、何を検証項目におけば良いのか、が不明瞭になっている場合がよくあります。
その際に、talikiの運営チームや応援してくれている関係者の方々も巻き込み、できる限りの可能性を模索しながら本人にとって現時点における最適かつ最高な情報や繋がりを提供し、事業を創っていくことを大事にしています。
③私たちは起業しているわけでも、偉いわけでもなんでもない。ただ対等に存在する。
私たちは様々なソーシャルビジネスモデルを分析したり、社会課題を調査したりしていますが、現時点で起業家ではありません。その為、起業家自身の苦労や覚悟は私たちには理解できないことを前提にコミュニケーションを取ります。
それと同時に「支援者」という立場が人間としての優劣を決める要素ではないことを常に意識しています。
ただ、想いとしてあるのは社会課題を解決してより良い社会を創る志を同じくし、さまざまなハードシングスを乗り越えていく決意をした起業家と共に、より良い社会を創っていきたい。だから、「支援」をさせていただいています。
決して驕らず、傲慢にならず、課題解決のために常にフラットな視点で、起業家に寄り添ったコミュニケーションを取る努力をしています。
むしろ「支援させてくれてありがとう」です。
以上が、私たちが寄り添う立場として大事にしていることになります。
最後に
上記はtalikiとして大事にしていることと、僕自身が大事にしていることを合わせてご紹介させていただきました。
最後に僕の起業家支援を行う中で感じたこと、考えていることを簡単にご紹介します。
社会課題解決の為に起業することは相当な覚悟が必要だと思っています。
大勢の人間が過去救われて来たとはいえ、現代の社会構造は社会課題を生み出す根源といっても過言ではないので、その構造にどんな形であったとしても立ち向かう決意をしたことは素晴らしいことだと思います。
だからこそ、僕が大事にしたいのは、
支援者としてある前に「人間としてどう在るか」です。
多少のミスは仕方がない。人間誰しもがミスを起こしてしまいます。
大人になってしまうと守るべき物事の順序を変えづらくなることは多々あります。
しかし、
人間に優劣をつける。自身の保身を考え、人によって態度を激変する。
助けてくれた人や、日々関わってくれている人の想いを踏みにじる。
こんなことが当たり前に横行している人間社会が何故良くなろうか。
SDGsや社会課題解決を謳う以前に人間として出直してこい、と日々思っています。
まぁ、そんな人間であっても切り捨てることは簡単だけど、関わり続けることは誰もができることではありません。
日々事業推進に集中する起業家は特に。
そんな時はtalikiに相談してください。
僕たちの愛すべき素敵な友人たちと共に全力で支えます。
そうして、その恩は僕たちに返さなくても大丈夫です。
その代わりにあなたが助けたい人、愛すべき人たちへその労力を使ってください。
その想いの循環がいつか世界平和につながると信じているので。