しんこく
僕は今、Adobe Dimensionというツールを使って作品を作っている。
使い始めてもうすぐ1ヶ月が経とうとしていたくらい。
操作方法も慣れてきて、「よーし大きな作品ちゃお」と思って作成をしていた。その時、MacBookが肉が焼けるくらい熱くなったのだ。
「あちい」
そう口からもれるくらい熱かった。それもそうだ。小さなノートパソコンで大きな作品を作ろうとしているのだ。小さなコップにたくさん水を入れようとする。当然溢れる。そんな事を無理やりMacBookにさせていたのだ。
かわいそう。猫だったら抱きしめたい。猫だったら。
そんな中作業を進めていると、とうとうエラーが起き真暗の画面がいっぱいに映しだれた。
僕の心と同じだ。真暗。光がない。
データが飛んでしまっていた。悲しい。猫いないかな。
噂でどうやら充電が多い時は処理速度が速いらしい。
そんな短距離走の体力の使い方なのかと疑いつつも、充電器を探した。
ない。見当たらない。覚えもない。
残念だがこのまま作業を進めるしかない。取ってくるというのは自分が許せなかった。処理できないMacBookが悪い。僕悪無い。
熱いMacBookを触りながら、進めていると急に画面が真暗になった。
5分ぶり2回目。甲子園常連校もびっくりのスピードシャットダウンだ。
この時、もし充電器があって充電できていたらこうはなっていない。はず。
もし充電器があればデータが飛ばす作品ができていた。
もし充電器があればその作品が何らかの賞を取っていたかもしれない。
もし充電器があれば。もし充電器があれば。
この人生充電器があればもっと良く過ごせたのかもしれない。
充電器があったら困っている人をたくさん助けられたかもしれない。
充電器があったら出会いがあったかもしれない。
充電器が欲しい。
僕はこれから行ってきますの時に、財布、携帯、充電器を確認する確認くんになることにした。
充電器を持って外に行こう。
「見上げてみたらさ小鳥たちも陽気に歌っているの」