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HDMIもワイヤレス伝送だ!ムービング撮影の強い味方「EZCast Pocket」登場。



はじめに


ご無沙汰しております。スーです。
本日は最近買った商品の紹介になります。なんとHDMIを無線伝送してしまうという製品なのですが、このジャンルの商品を購入するにまでには紆余曲折がありました。

HDMIを無線で飛ばすハードル

踊ってみたってムービング撮影流行ってますよね

なぜHDMIを無線で飛ばす必要があるのか、ケーブルでいいじゃん。
確かにその通りなのですが、現在踊ってみたに限らず、ダンス動画の撮影として一般的となった技法として「ムービング撮影」というものがあります。
カメラを三脚に固定することなく、移動撮影をする技法です。
昨今では手ブレを抑制するために、「スタビライザー」と呼ばれる撮影補助機器を用いることで、安定した撮影が行えるようになりました。
スタビライザーは「ジンバル」とも呼ばれています。超便利。

こういうのがジンバル


被写体の重視したいポイントを動的に動かしながら撮影を行うため、事前にどう撮って欲しいかの打ち合わせが非常に大事であり、カメラマンの画角の作り方によっても観え方がかなり変化します。
そのため、撮影したあとのプレビュー作業というものは、通常の三脚撮影の時よりも重要な作業となります。

ムービング撮影のプレビュー方法

まず、どのような要素をプレビュー時に確認したら良いか、を考えてみましょう。

  • 画角の中に被写体が収まっているかを確認したい。

  • フォーカスが合っているかを確認したい。

  • 音に合わせて振付を早取り・遅取りしていないかを確認したい。

この3要素を

  • カメラマン

  • 踊り手(複数人の場合も)

  • 撮影スタッフや関係者(当然いない場合も)

この方達で確認する必要があります。そうなりますと、複数人が画面を覗きますから、カメラに搭載されている小さなモニターで対処するのは難しくなります。

みんなで大画面のモニターを見たいが…

カメラのモニターでは対処が難しいということになりますと、なんらかの方法で大画面のモニターに映し出す必要が出てきます。モニターが大きければ複数人での確認も、フォーカスがあっているかの確認も行えますね。
しかし、三脚固定撮影であれば、カメラの隣にモニターを置いておけば接続可能ですが、ムービング撮影の場合、そうはいきません。
毎回毎回撮影後にモニターの前に行き、HDMI端子をつないでプレビューすることも可能ではあるのですが、ジンバルのバランスが崩れたり、HDMI端子の耐久性(抜き差し耐性は5000回~1万回程度)を考えると、あまり抜き差しはしたくない事になります。

じゃあ、ワイヤレス伝送で!となるんです。

ここまでの話で、ムービング撮影を大画面で映し出す必要があることが理解できたのではと思います。では、カメラの映像をワイヤレスに転送する為には、どんな方法があるでしょうか。例を挙げると

  1. スマホ向けカメラ制御アプリを使って、スマホ(タブレット)で確認。

  2. ジンバル純正のトランスミッターを使って、スマホ(タブレット)で確認

  3. HDMIを無線伝送する機器をつなげて、モニターで確認。

この3点を考えていきましょう。

なぜ、スマホ向けカメラ制御アプリではいけないのか

例えば、私が使っているLUMIXでは、「LUMIX Sync」というスマホアプリがあり、Wi-FiとBluetoothを利用してカメラ内の画像や動画をスマホに取り込む機能があります。
この機能を利用して、撮影のたびにスマホに動画を伝送して、確認することは不可能ではありません。ありませんが、私が撮影している動画のフォーマットが非常に大きな情報量を持っているため、30秒程度の動画であっても2分以上の転送時間がかかります。とても待ってはいられない状況のため、この選択肢は現実的ではありません。

ジンバル純正の画像伝送機能は音が出ない!

私が使っているジンバル「DJI RSC2」では、「DJI Ronin 映像トランスミッター」と呼ばれる機器を搭載することができます。
この機器は、カメラのHDMI端子に接続することにより、Wi-Fi経由で、「DJI RONIN」アプリを利用して、カメラから出力される映像をモニターすることができます。一見すると、これでいいんです。いいんですが、残念なことにこの映像トランスミッターは、音を伝送する機能がありません。
音が出なければ、早取り・遅取りしているかの確認を行うことができません。

なお、一部のLUMIXカメラ(LUMIX GH6 , LUMIX S5II/S5IIX , G9ProII)やソニーα7SⅢ等では、HDMI出力中もカメラ本体から音声出力が可能です。

出典:ワイ調べ

HDMIを無線伝送する機器は、プロ機材だけあってお値段もプロ級なんです

ようやく、ムービング撮影を楽に行うためにはHDMIを無線伝送する機器を用意しなければならい。この結論に達することができました。
では、代表的なHDMI送信・受信機にはどんな物があるでしょうか。

だいたいこの2社の製品を使っていることが多いようです。
プロフェッショナルが利用する機材ということもあって、お値段もプロ級です。とても個人で買えたもんじゃないな…。
そう思っていた矢先に、今回紹介する「EZcast Pocket」が登場してくるわけです。

無線で飛ばすハードルを下げた伝説の機材、それがEZcast Pocketなのです。

出典:プリンストン株式会社

本製品はプレゼンテーション用に開発された機器です

この製品、Webサイトをご確認いただければ分かる通り、プレゼンテーション用に開発された製品のようです。おそらくメーカーも含めて、誰もカメラで利用する事を想定していなかったと思います。しかし、なぜこの商品がカメラで使えるのか。メリットを列挙します。

  1. 送信機・受信機ともに消費電力が低い

  2. 電源ONから映像が出てくるまでのレスポンスが早い

  3. 十分な高画質(FHD対応!)

  4. 圧倒的な価格

モニター・ジンバルから電源供給ができちゃう、5V/1A給電

このEZcast Pocket、動作には送信機・受信機ともにUSB電源から電源を供給する必要があります。EZcast Pocketは電力として5V/1Aを消費するので、特別な電源を用意することなく、そのへんのUSB電源アダプターで動作してしまいます。(iPhoneに付属してたUSB電源アダプターなんかでも大丈夫)
それどころか、DJI RSC2にあるUSB端子から電源を供給することができるため、ジンバルに搭載する場合にも、特別な電源を搭載する必要がありません。※当然、ジンバルのバッテリーは少しだけ消費します。

ジンバルから電源供給できます。


また、受信機側でも、私が利用しているモニター「BlackmagicVideo Assist 12G HDR」にはUSB端子がありますので、そちらに接続することで動作します。

SSDを挿すUSB端子から電源供給できちゃう。

もちろん、モバイルバッテリーでも動作します。
特別な電源を用意する必要がないわけです。ロケでも安心!

プレゼン用途で培われたレスポンスの良さ

この製品は送信機と受信機のセット販売なので、出荷時にペアリングされています。箱から明けてすぐに利用可能な点が素晴らしいところです。
また、実際に映像が出るまでの時間もかなり早く、

電源ONから1分程度で映像が出力されているのがわかるかと思います。
一度電源を入れてしまえば、スタンバイ復帰時には一瞬で接続します。

画質は十分

実際に見ていただいたほうがよいと思うのですが、1080pで送信される画質は、フォーカスの確認に十分使える画質がありました。

踊ってみたのプレビューには十分。

上のプロ機材を見た後だとびっくりする圧倒的な価格

販売メーカーのプリンストンダイレクト楽天市場店では1万4千800円で販売されています。さっき紹介した送信機の値段をみてしまうと、圧倒的な価格なのがわかると思います。

もちろんデメリットもあるよ

EZcast Pocketはプレゼン用途に開発されていることから、撮影現場で利用されていることを想定していません。いくつか注意すべき点を紹介します。

  • Wi-Fiを利用するので、屋内専用

  • 遅延は大きめ

  • それなりに発熱する

5.2GHzのWi-Fiを利用して送信しているので、基本的に屋内専用

メーカーのホームページで仕様を確認すると、この製品はWi-Fi(IEEE802.11n)を利用して映像を送信していることがわかります。
また、総務省 電波利用のホームページより、送信機の利用している周波数を確認すると、5180~5240MHzを利用していることがわかります。
この帯域は、W52と言われており、(基本的には)屋内でのみ使用が許されているようです。屋外で使っちゃだめみたいです。ご注意ください。
なお、上で紹介したMARS400Sなどは、DFS機能を搭載することにより、屋外での利用を可能としています。この辺に差がどうしても出ますね。

遅延は大きめ

だいたい0.1秒ぐらいの遅延が発生するので、ライブ配信の用途には向かないです。カメラで撮影した映像を確認する用途には全く問題がありません。

発熱はそれなりにある

3時間ほど使っていると、それなりに筐体が熱くなる事を確認しました。
そのため、空調管理はしっかりしたほうが良さそうです。
※そもそも、真夏の炎天下でなんか撮影できません。

まとめ

もともと、用途違いでの利用であるので、過激な使い方は避けるべきですが、気軽にHDMIの無線伝送を始められる金額である点は、とても評価できると思います。久しぶりに文句なしに勧められる製品ですので、ぜひ買ってみてください。

なお、よく売れているようで、次回の入荷は11月との事…。


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