オカンパワーがこれからの世界には必要
私が子供の頃、うちの母は時々こんなことを言いました。
「気をつけないと風邪ひくよ」。
そして、子供の私が当然気をつけることもなく、
私は予告通り風邪をひきました。
何で分かるの?魔女か?
本気で不思議に思っていました。
そして、娘が生まれてから私は娘に同じことを
言うようになりました。
娘は「なんでママ分かるの?こわ」と言います。
分かるんですよね、なぜか。
子供の体調、近頃の気温、睡眠時間などなど、
日頃から何となく気をつけていれば
あ、これは風邪引きそうな予兆があるなと
分かるだけのことなんです。
そして母親は子供の命を守るために、
子供が元気でいるために、
そんなアンテナを張り巡らして生きています。
今日はそんな「オカン力」
(おかんりょく、です。おかんか、ではない)
について書いてみようと思います。
コロナ対策で奏功している国々
Forbes Japan の記事に
女性リーダーのいる国はコロナ対策がうまくいっている
ということが書かれていました。
私はこの投稿で女性を賞賛したいのではなく、
これは彼女たちの持つ「オカン力」が
源になっているのではないかと
伝えたいのです。
今、人々は未知なるウィルスに怯え、
外国から聞こえてくる惨憺たる状況に
明日は我が身と震え、
医療崩壊の危機に恐怖を感じています。
そりゃ怖いよ。
私が感染したらどうしようとか、
もしかしたら私も感染していて
誰かを感染させてしまっていないかとか、
考えてしまいますよね。
買い物に行けば空っぽになった棚を見て
これからの暮らしが大きく変わるのではないかと
不安になることもあるでしょう。
ネットの世界を覗けば
誰かを責める言葉の洪水に打ちのめされたり、
自己中心的な行動に走る人の行動に
鬱々とした思いになったりもします。
極論を言います。
リーダーは国を正しい方向に導き、
国が健やかに成長していく舵取りをする存在。
これって、子供を正しい方向に導き、
子供が健やかに成長していく舵取りをする
親と同じような立ち位置だと思うのです
(政治的な駆け引きとか、
外交の複雑さとかは、さておき)。
子供が病気になったり、怪我をしたりしたら
「ママー」って泣くのと同じで、
今、世界の国々が病に倒れ、
病におびえて泣いている状態なのかなと
思ったのです。
そこでオカン力が必要なのだ!と感じたのです。
現実力・包容力・守護力・共感力
ドイツのメルケル首相はまさにドイツのおっかさん。
彼女から感じたオカン力は、
ドーンと構えて、現実を直視する
強い、賢いオカン像を彷彿とさせます。
国民にとってショックかもしれない
今後の感染拡大の予測をきちんと説明し、
速やかに検査を始め、
情報をきちんと伝えました。
あなたたちは現実を知るべきだ。
現実を知れば、きっと対応できるという
ドイツ国民への信頼に根ざした思いが
感じられました。
オカンがそこまで言うなら、
私ら頑張るわ!と思わせる現実的なメッセージが
いち早く伝わったのだと思います。
ニュージーランドのアーダーン首相は
産休&育休を取ったことも記憶に新しいですが、
その赤ちゃんを寝かしつけてから、
コロナウィルスで不安になる国民の質問に
応えるべく、自宅から部屋着姿で
動画配信を行ったりしました。
それ以外にも、とても易しい言葉で
現状を説明し、人々の不安解消と
結束に役立っています。
この動画、私もいくつか拝見しましたが、
笑顔いっぱいで、柔らかい雰囲気で
お話ししている様子が印象的です。
まるで幼稚園の先生のようだと思いました。
この人の言葉に嘘はない、
この人の言うことを信じて行動しようと
思わせてくれる、強さと優しさが
あふれていました。
アーダーン首相は、ニュージランドで
コロナによる死者が1人も出ていないうちに
ロックダウンを決めました。
この決断にも、
何があっても私があなたを守る!という
強い意志が感じられました。
ノルウェーのソルベルグ首相も、
ノルウェーのお母ちゃん!って感じの
雰囲気満点な方ですね。
彼女はコロナについて
子供向けの記者会見をしました。
「コロナを怖がってもいいんだよ、
でも、私たちには優秀な医師や看護師が
ついているからね」。
「たくさんのお友達と遊ぶのは今はやめましょう。
1〜3人くらいのお友達と遊ぶなら
出来るだけ相手との距離を取りましょう」
などといったコロナウィルス対策への
基礎知識も含めて、
これからのこと、健康を保つことなど、
真摯に質問に答えてくれました。
さらには、「私の子供達も家で退屈そうに
しています」という共感を伝えることも
ソルベルグ首相は忘れませんでした。
大人に向けても、
「完璧な親になろうとしないで」、
「仕事も育児もいつも通りしっかりやろうとしないで」、
「ネットの情報で誰かと比べたりしないで」、など
同じ親としての目線で、
不安を和らげる言葉を発していました。
あぁ、なんて素敵なんだろう。
こういう人と、お茶を飲みながら
子育ての愚痴や笑い話ができたら
きっと楽しいのだろうなと思えるような
暖かさを感じました。
性別は関係ないのだ、愛なのだ
だからと言って女性万歳!と言いたいのではなく、
オカン力万歳!なのです。
つまり、もっと言えば性別はどうでもいいのです。
オカン力は女性に限ったことではありません。
私の友人の男性にも自称
「おばちゃんみたいなおっさん」という人がいます。
彼が目指すのは、
みんなが健やかに生き延びられる世界。
これですよ、これ。
彼にはオカン力が備わっているなぁと
常々思っています。
翻って、日本の政治家を見てみます。
女性政治家もおられますが、
その大半が、肩に力の入った男性に負けないぞ
というスタイルの方々。
私も仕事を始めた頃、
女だからと馬鹿にされないようにと思って
必死に肩肘張って頑張っていました。
そういう要素も必要なのはとても理解できます。
でも、今はオカン力が欲しいのです。
この人なら、守ってくれる。
分かってくれる。
助けてくれる。
信じられる。
これが世界を救う鍵なのではないかと
感じています。
現実を直視して、
速やかに決断をして、
命を守るという一点からブレずに、
優しさを持って、
同じ目線に立って、
接することができる。
これって、愛ですよね。愛。