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見て笑って、またはビビってやってください。
それでいいので。

武蔵野美術大学の芸術祭で展示してたデカい顔の話です。



変顔って面白い。シンプルに。

笑いを取る手段としてはひどく原始的だ。個人レベルで言えば、物心つく前から「いないいないばあ」や「べろべろばあ」をされて喜んだり、友達や家族と「にらめっこ」をして遊んだのがその源流と思われるが、これが未だに笑えるのだからすごい。科学的な原理は知らないけど、とにかく笑えてしまう。

ただ変顔の面白さって、「不意打ちで来るから面白い」って類のものだと思う。突発的で、あくまで一過性のものだから笑える。一瞬の隙をついてガードを崩されて、「不覚にも笑ってしまった」というのが変顔の面白さの本質だと自分は考えている。通り魔みたいなもん。
だから、変顔をした一瞬一瞬を切り取って、大量に集めたらそれだけ面白くなるかと言えば、全然そんなことはない。

むしろ不気味に見える。

みんな一度、Googleで「変顔」と画像検索してずらーっと見てみてほしい。けっこう怖いので。

不自然な表情で固定された人間の顔、顔、顔。生きた文脈から離れて並べられたそれらはむしろおぞましくて、この中に断末魔の叫びをあげたまま事切れた顔が混じっていても、たぶん違和感はない。人の遺体の顔は、一見間の抜けた表情に見えるものもあるから。



死って面白い。場合によっては。

もちろん基本的には悼むべきもので、悲しいものだ。でも、ギャグやコメディの文脈で使われる「死」は時々どうしようもなく笑いをもたらしてくれる。

突然だが、最近個人的にホットなYouTubeチャンネル「オモコロチャンネル」の動画を例に挙げてみる。

オモコロチャンネルのメンバー5人が、思い思いの「カリスマ」になりきってインタビューを受けるという動画。
9:30くらいから、永田さん扮する永田さん(合ってる)が、ゆったりとした会話の途中で突然顔を引きつらせて、今にも事切れそうになるというシーンがある。現実だったらシャレにならない状況だが、私はこの動画を初めて見た時、信じられないくらい爆笑してしまった。自分が死ぬかと思った。
ちなみにこの動画は普通にめちゃオモロいので皆さん見てください。

要は、「突然の死」って面白いんだと思う。あくまでギャグの文脈において、だけども。

例えばzoomで会議なり授業なりをしている時に、画面共有からの復帰やブレイクアウトルーム(参加者を少人数のグループに分割する機能)に移動する時などの僅かな間に、さっきまで平常通りだった人が部屋の後ろの壁に血まみれで磔にされていたら、めちゃくちゃ笑ってしまうと思う。「えぇ!?えええ!?嘘ぉ!?なんで!?www」と噴き出してしまわない自信がない。

また別の例で言うと、『スローターハウス5』という小説を原作にした映画がある。作中で主人公ビリー・ピルグリムは第二次世界大戦中にドイツ兵に捕らえられ、捕虜として代用監獄に収容される。そこで、ビリーが食事中に現地の軍人に説教されている途中で、突然ぶっ倒れて顔面から皿に突っ込むシーンがある。これも最高に面白い。実際に死んだわけではないのだが、「突然の死」に類するギャグとして自分は理解した。

へ(^o^)へ
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<( ^o^)>
 三) )三
< ̄ ̄>

Σ ( ^o^)
 <) )>グキッ
< ̄ ̄>


_人人 人人_
> 突然の死 <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄

突然の死とは (トツゼンノシとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
https://dic.nicovideo.jp/a/%E7%AA%81%E7%84%B6%E3%81%AE%E6%AD%BB

こんなネットミームもあるくらいだし、「突然の死」が面白いという感覚はそれなりの層に共通するものだと思われる。

「死」を使ったオモシロには「不謹慎ジョーク」もある。例を挙げると……いや、止しておく。それはそれで私も好きだが、「突然の死」のオモシロとはまた違う気がする。突然の死は「不条理なものの面白さ」であり、よりダイレクトに「『死』なるもの」を扱った不謹慎ジョークとはまた異なる、というのが私の解釈。

ことほどさように、死と笑いは存外近い所にあったりする。そう私は思っている。

「笑い死に - Wikipedia」より引用

「笑い死に」のWikipediaの一節も、この通りスゲー面白い。

本当に、あくまでギャグの文脈で済む範囲での「死」の話だけど。繰り返しになりますが、死とは基本的につらく悲しいものです。笑いごとではないことです。



翻って、自分の絵の話。

おもしろと恐怖、笑いと死、相反するものが互いにひっくり返る瞬間に興味を向けて作ったのが今回の作品だった。
「笑いごとではないこと」を笑ってしまう、面白いと思ってしまう。そういう越境は、誰でもしうるものだと自分は考えている。それをつついてみたかった、というのが今回の動機のひとつ。

まあ、そのテーマならもっとやりようはあったと思うけれど。もっと丁寧に描き込むとか、もう少し小さいサイズで大量生産するとか。「純変顔」をいっぱい並べた中に「ガチ死の顔」を混ぜてみるとか。反省点はいろいろあるけど、「直球でぶん投げる」ことが1回できたので、いいかな。今回はこれで。

彼らが生きているのか死んでいるのか、私だって知らない。どちらでもいいと思う。
自分の渾身の変顔自撮りと、実際の事故死体と首吊り死体の顔を、同時に参考にして描いた。それだけ。
これを見て笑っていいし、怖がってもいい。これを初めて見た時に心がどちらに傾いたか、もう一度思い返してみてほしい。そして、その感想をずっと大切にしていてほしい。変える必要はないので。


おしまい。





余談:友人の弟さんが、私の絵の隣で表情をマネしている写真を見せてもらったけど、めちゃくちゃ最高だと思った。そのまままっすぐ育ってほしい。


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