「保護者面談あるある」から見た、家庭内教育の難しさ②~認知バイアスへの対処法
前回の概要
前回の「『保護者面談あるある』から見た、家庭内教育の難しさ①~『認知バイアスの衝突』問題」では、認知バイアスという切り口で、家庭で起こりやすい様々な認識の不一致をご紹介しました。
前回の概要はこちら
・バイアスは進化の過程で備わったので、全員に備わっていて逃れることは難しい
・特に教育・子育ては親子間、夫婦間、祖父母と夫婦/子ども間など様々なバイアスの衝突が起こりやすい
・確証バイアスまでを踏まえると、一致を見るのはそんなに簡単なことではない
※認知バイアスは、170種以上もあると言われています。代表的な認知バイアスを以下に挙げておきます。日常の判断すべてに介在するので、知っておくと色んなタイミングで役立つかもしれません。
認知バイアスへの捉え方
認知バイアスは進化の過程で身に付けたので、我々に元々セットされた思考様式です。
従って結論から言ってしまうと、認知バイアスから完全に自由になることは不可能と言えます。また認知バイアスは無意識に作動する「癖」ですから、事前に完璧に防ぐことはできません。
ですから、判断をする際に防ぐ仕組みをつくるか、事後的にチェックをかける仕組みづくりが有効(あるいはそれしかない)と考えられます。
ですから以下は、どうやって認知バイアスに対処するかをこれまで見てきた事例も交えて考えていきます。
★ざっくり言ってしまうと、認知バイアスは「自身(自集団)の先入観」です。完璧に防ぐことは難しいので、「緩和するにはどうする?」を考えます。
認知バイアスへの対処法①価値観のアップデートで、自身の物差しにアプローチする
人生に於ける「成功観」、「良い仕事」観、結婚観、学歴観など、あらゆる点で世代間の認識ギャップは大きいです。
上記は、自分の経験した世代での「常識」が様々な形でバイアス化してしまっていると見ることができます。
私であれば、1983年に生まれた世代として経験した中で得たものがバイアス化しやすく、「Z世代の集中力は8秒!?なんて集中力のない世代なんだ!」とか思ってしまう危険性があります(私は思ってません笑)。これをリンクの通り「コンテンツを見極める高速の審美眼」と捉えるかどうかで相手への対応は全く異なります。
従って、世代間でどうしても発生しやすいバイアス間衝突を避けるには、保護者世代の認識のアップデートが有効です。
たとえば、
・「人生100年時代」と言われ、働き方・生き方が多様化する
┗「定年」の消滅
┗パラレルキャリア(複数のキャリアを並行する)が当然
┗キャリアの二毛作、三毛作(2回、3回と業界を超えてまで働く)が当然
は、私のような子育て世代が子どもの頃には全くなかった次世代の「常識」です。この価値観のアップデートの有無によって、子どもの人生をどうバックアップしていくのかの判断は変わっていくのではないでしょうか?
ただ、この価値観のアップデートには、「経済格差が情報格差・機会格差を生み出す」という壁が立ちはだかります。
経済的に裕福な人ほど、新しい情報に触れやすい(たとえば有料のニュースアプリ会員)。実際、この「アップデートスピード格差」はテクノロジーの進化により拡がっている可能性が高いと考えています。
ですから、GAJYUMARUとしては所得の多寡にほぼ関係なく多くの人が価値観のアップデートを可能にするサービスを提供したいです。
具体的には、このnoteを使った情報発信です。
私は「選択肢の可視化」という表現をよく使いますが、たとえば教育や進路などの新たな選択肢がこのnoteで可視化されることは、皆さんのお役に立つと考えています。
また、沖縄にも様々な教育的価値を持つ組織・団体・個人がいます。また、教育者として優秀な方も多くいれば、教育に関わりたいと思っている方も多くいらっしゃいます。そういった方をご紹介して、(潜在的に含め)求めている方々とおつなぎすることもこのnoteの使命だと考えています。
GAJYUMARUだけでできることには間違いなく限界があります。だからこそ、多くの方々と手を組み、相乗効果を生み出していきます。
認知バイアスへの対処法②家庭内での対話
家庭内の大人間のバイアス同士の衝突には、当然対話が欠かせません。
しかし、ここでの「保護者面談あるある」は、対話すら並行線を辿るということです。「対話」だけでは、ほとんど答えになっていません。
これはお互いが個々のバイアスを基準に判断している以上当然です。両者が「自身を基準にしている」ことそのものから脱却することが必要です。
※多くは片方が折れて妥協点を見出しているのが保護者と接している中での実感です。
私の知っているご家庭での有効な対処法を紹介します。
月に1度、お互いが教育方針を共有するための「会議」が行われます。それまでに子どもの意識や興味・関心が向かう先を注視したり新たな学びを蓄積しておく。
また、信頼できるアドバイザーを家庭外にも置いています。その人からのアドバイスを含めて、今後どういう風に子どもをバックアップしようかが決定されます。
・夫婦で一致を見る
・外からの客観的意見(本やニュース記事、アドバイザー)を取り入れる
・定期的にアップデートの機会を設ける
・子どもへの注視からスタートしている
辺りが、個々の認知バイアスへの対処として非常に有効だと感じました。
実際、お子さんは幸せそうにすくすくと育っている印象を受けます。
実際、お宅に伺う度に子どもへのバックアップの仕方が変わるのでお部屋のレイアウトなども様変わりしています。
これは具体的な対処法として参考になるのではないでしょうか。
全てに共通する「謙虚さ」
全てに共通するのは、「謙虚さが欠かせない」ということです。
例えば、対子どもだと私は子どもが「未来」だと考えています。事実として私より後に生まれていますし、彼らの方が最先端の意識だと思ってそこから学ぶという意識で接しています。
身も蓋もないですが、バイアスは自身(自集団)に必然的に宿るものなので、自身の価値観や判断を絶対化した先に突破口はありません。
目の前の子ども、これからの時代、他者、異なる環境に属する人たち…すべてに自身の価値判断がハマるとは限りません。むしろ、認知バイアスを考えるとハマらない可能性の方が高いかもしれません。
※…ここまで書いてくると、もはや”Diversity&Inclusion”(「多様性の受容」)に近い議論になってきました。そういうことなのだろうと思います。
以下、まとめです。
・認知バイアスから自由になることは原理的に不可能
・だからこそ、出来ることは自身が「認知バイアスに囚われていないか」をチェックするための「謙虚さ」と、実際の対処策
・また、個人レベルだと上記の通り情報格差問題が壁となります。だからこそ、支援する環境づくりも必須
今回は認知バイアスという切り口から子育てを考えてみました。
この切り口、子育てに限らず職場での人材育成や個人のスキルアップなどでも活きます。幅広い意味で参考になれば幸いです。
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