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沖縄の「幸福度」は高いのか?

日本の幸福度

「幸福度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。人々が日常的に幸福感や満足感を感じながら生活できているかどうかを、様々な指標から図るものです。

これも多くの方がご存じかもしれませんが、日本は世界の中でそう高い方と言えない現状にあります。

2019年の調査では全体58位。この結果は先進国(G7)では圧倒的最下位、経済規模を考えるともっと高くて良い筈だと考える方も多いでしょう。

日本の子どもの幸福度

そして、子どもの幸福度に絞ると、より衝撃的な結果となります。

ユニセフのレポートによると、日本の子どもの幸福度は38か国中総合20位。
さらに、

〇精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)
〇身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合)
〇スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)

精神的幸福度に限ると、ワースト2の37位でした。

その意味では、日本の子どもたちは世界的に見て経済的に恵まれている方であるにも関わらず、精神的幸福度では「不幸せ」に近い状況だと言えます。

幸福度の最重要決定要因とは、何??

なんと、ハーバード大は幸福度について75年間に渡る追跡調査をしました。

そして、結論は以下の通りでした。

「私たちの幸福と健康を高めてくれるのはいい人間関係である」

家柄、学歴、職業、家の環境、年収や老後資金の有無といったことではなく、人間の幸福度、健康と直接的に関係があったのは人間関係だったという結果になったのです。

経済的なこと以上に、幸福度の最重要決定要因は人間関係だったということです。そして、数以上に質、すなわち信頼できる人間関係のネットワークを持っているかどうかが重要とのことでした。
※ちなみに、イースタリン・パラドックスと呼ばれる研究でも、所得水準や1人あたりGDPの上昇が、必ずしも幸福度の上昇につながるわけではないとされています。

さて、ここまでは今回の前置きです。
そこで、沖縄県の幸福度は、高いと思われますでしょうか?
それとも、低いと思われますか?

沖縄の幸福度

結論から言うと、沖縄は日本で今最も幸福度の高い地域です。

幸福度

しかも、前年度の2位から断トツ。コロナ禍になって、むしろ幸福度は高まっています。

これまで、このnoteでは沖縄県の様々な課題を解決したいものとして取り上げてきました。

・最低賃金・・・ワースト1位タイ(2020年)
・県民所得・・・ワースト2位(2020年)
・非正規雇用率・・・ワースト1位(2017年)
・失業率・・・ワースト1位(2017年)
・子どもの貧困率・・・ワースト1位(2016年)

これだけ経済状況が苦しい場合、幸福度は日本の中で低いと考えられそうですが、実態は真逆でした。

なぜ、沖縄の幸福度は高いのか?

これらを考察したレポートを見つけました。

このレポートでは、沖縄の幸福度が高い理由を

①楽観的な社会であること
②他者とのつながり・支えあいを大切にする社会であること

の2点だと結論づけています。

①楽観的な社会であること

幸福度表

上の表が非常にわかりやすいと感じました。
特に経済的な客観指標では全国平均を大きく下回っていますが、主観満足度ではそれほど差がない、あるいは全国平均を上回っています

また、これは県外の方でもイメージが強い方が多いかと思いますが、沖縄には「なんくるないさぁ(=なんとかなるさ)」という楽観さを形にしたような言葉があります。
※本当はこの言葉、「まくとぅーそーけー(=人として誠実に生きていれば) なんくるないさぁ」が正しく、そんな底抜けに明るい言葉ではありません。様々な困難や歴史的事情に翻弄されようと、強く生きようとする言葉というのが本義です。

②他者とのつながり・支えあいを大切にする社会であること

これは、上記のハーバード大の研究結果と直接リンクする点です。
地域しあわせラボ(2014)」の調査では、沖縄は親戚数や友人の数などの「ネットワーク数」において第1位、また趣味やボランティアの所属コミュニティ数において全国5位であり、「他者とのつながり・支えあいを大切にする社会」と言えるようです。
この人間関係のネットワークが、うちなーんちゅの幸福度を支えていると考えられます。

また、「模合」というシステムをご存じでしょうか?

模合(もあい、琉:ムエー)とは、沖縄県や鹿児島県奄美群島において、複数の個人や法人がグループを組織して一定額の金銭を払い込み、定期的に1人ずつ順番に金銭の給付を受け取る金融の一形態である。本土における頼母子講・無尽講に相当する相互扶助システムである。沖縄ではその他、寄合(ユレー、ユーレー)とも呼ばれる。

沖縄はこういった相互扶助システムがまだまだ当然のように残っている社会でもあり、こういった点も幸福度の高さにつながっているものと思われます。

実は、「幸福度格差」も存在する

ただ、平均スコアとして全国でもNo.1の幸福度とされる沖縄でも、アンケートに「全く満足しない(スコアとして「0」)」を選ぶ人の割合が全国より多いようです。

主観満足度0点

※出典は、上記で紹介したレポートです。
平均は高かろうと、特に①家計と資産②雇用環境と賃金④仕事と生活⑥教育水準・教育環境⑧政治・行政・裁判所⑪子育てのしやすさ⑫介護のしやすさ、されやすさ⑬生活の楽しさ・面白さはかなり全国平均との開きが大きいと言えます。
すなわち、経済面やインフラ面に関して格差に苦しんでいる実態はやはり見過ごせないと考えるべきではないでしょうか。

なので、平均スコアとして全国1位の沖縄には、「幸福度格差」とでも呼ぶべきものが存在していると考えられます。
例えば、楽観的になれないほど経済的にかなり厳しいケースや、1人親(全国NO.1)や島ないちゃーなど人間関係から孤立しやすいケースがあてはまるのではないかと考えています。

まとめ

・日本は、幸福度が経済力に比して高くはない
・幸福度の最重要決定要因は、人間関係のネットワークである
・沖縄は、楽観性が高く、人間関係のネットワークも相対的に機能している
・ただ、そこからこぼれる「幸福度格差」もまた存在している


GAJYUAMARUとしては、その「風土の強み」は強みとして活かしながら、さらに沖縄の子ども(将来の大人たち)が幸せな世の中となるべく教育側から取り組んでいきたいと考えています。

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9月は極力毎日noteを書いて、GAJYUMARUについて皆さんによくご理解いただけるようにしていきたいと考えています。
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