瀬戸SOLAN小学校より~地域創生の可能性、「余白」「探究」が自己の確立につながる
瀬戸SOLAN小学校の記事
愛知に住むメンバーから、私たちGAJYUMARUのslackにこの記事のシェアがありました。
すかさず、私ともう1人のメンバーから「知り合いです!」とレスがありました。こうやってみんなのアンテナが立っているのが本当に有難いことだなぁと再認識しました。
「おやつの持ち込みも可能 愛知県にできた開放的な新しい小学校」というタイトルの記事で、もちろんこれも魅力的に映る方もいらっしゃるかと思います。
ただ、GAJYUMARUとしては、違う点にも着目したいです。沖縄でもぜひ取り入れたいと感じたポイントがあったからです。
せっかくこの記事、メンバーからのシェアもあったので瀬戸SOLAN小学校から沖縄で真似られそうなポイントを紹介したいと思います。
地域創生の文脈、「地域密着の私立小中一貫校」の可能性
現在、愛知県および県内市町村では東京一極集中の是正、地方の担い手不足に対処するため、愛知県移住支援事業として、東京23区からの移住者に経済的な負担の軽減を図り、本県へのUIJターンを促進する「移住支援金制度」を実施しています。
コロナ禍でのテレワークの日常化により、仕事場所を選ばない社会人が急増しており、東京ではなく、地方での子育て環境を重視する新しい家族形態は増加しております。すでに瀬戸SOLAN小学校には県内はもとより、東京や海外からも本校通学のために瀬戸市への転居を前提とした問い合わせがあります。
瀬戸市は、せとものという伝統産業とアートという従来の魅力発信にとどまらず、「教育環境の充実」を大きなテーマとして掲げており、2020年3月17日、内閣総理大臣から「瀬戸市国際未来教育特区」という構造改革特区の認定を受けました。
その特区政策の中で、複数の学校を統廃合して1つの小中一貫校を新設するとともに、廃校になった校舎跡地活用のために、株式会社立の私立小学校で地域密着を謳う「瀬戸SOLAN小学校」をパートナーとして選定することで、特色と魅力ある教育環境を整備しています。
教育移住は、特にコロナ以降で東京一極集中が見直されて以降トピックとなっています。
記事にもある通り、瀬戸SOLAN小学校は地域創生の一要素である、教育移住の受け皿でもあるという側面を持っています。ですから、「地域密着の私立小中一貫校」(中学校も設立予定)という珍しいコンセプトとなっています。
これまで、小中一貫校はどちらかというとスポーツや進学実績で「全国スタンダード」を志向するところが多かったように思います。
そうではなく、ベクトルとして地域創生に向かっている点が瀬戸SOLAN小学校の面白い点です。沖縄は既に自然・風土などの魅力で教育移住への関心が高い現状があり、地域密着の学校をつくることで地域創生としても価値を持つことが可能です。
実際、沖縄はアメリカ文化との距離感の近さからインターナショナルスクールが県外に比べて質の高い教育を安価で提供しています。
インターナショナル以外でも、これから紹介するSOLANのような特色ある教育機関の登場が期待されます。
「余白のある」1日が子どもの能力形成につながる
GAJYUMARUのメンバーと議論していた際、よく「余白の有無」という議論になりました。
現在は社会人、子ども含めて「余白」が少ない。仕事・勉強にかかる時間が長過ぎるために自ら突き詰めたいことなどに割けず、結果として個々の能力形成にも繋がりづらいのではない現状があるのではないでしょうか?
瀬戸SOLAN小学校の1日は、「余白」が重視されていると感じました。
(太字で着眼ポイントを示しています)
My Time 8:45〜9:00
月曜日から金曜日までの朝15分の時間は、子ども自身が活動内容を考えて実行する時間です。どのような時間の過ごし方をしたいか自分と対話し、自分で決めます。運動場で体作りをしたり、アレキサンドリアで読書をしたり、教室でiPadを使って学習したりなど、さまざまなメニューが考えられます。子どもの自立を促す場づくりです。
Morning Meeting 9:00〜9:10
朝の会です。日本語と英語での朝の挨拶の後、健康観察やその日のめあてを考えます。会の進行は子どもが担当します。全学級共通の内容と学級独自のメニューとがあります。1分間スピーチをしたり、朝の歌を歌ったりするなど、一人ひとりが、一日の学校生活を気持ちよくスタートできるように、日本人教師、外国人教師と子どもで協働的に場作りをします。
Snack Time 10:45〜11:10
「Snack Time」は、おやつを食べて栄養補給をする時間です。
授業 14:30〜15:15
授業では、一人1台のiPadを駆使して、自分が調べたいテーマについて、いつでもすぐに調べることができます。
My Reflection 15:30〜15:40
一日の学校生活を振り返る時間です。Morning Meetingで決めた1日のめあてがどこまで達成できたか学級全体で話し合います。また、一人ひとりが自分と対話し、何ができて、何ができなかったのか、どう改善したらいいのかなどを考えます。日常的に振り返りを行うことは、自分自身を客観的に認知する力(メタ認知)を育成でき、子どもの自律へ向けた大切な場となります。
冒頭の記事ではSnack Timeが注目されていましたが、むしろReflection、すなわち振り返りの時間こそが重要だと考えています。
各自が自身で目標設定をし、ちゃんとその日のうちに振り返るというサイクルは、私たちがなかなか余白がなくできていないことの1つです。
私は塾講師時代、授業中に塾で配布していた手帳をいつでも広げられるように呼び掛けていました。自分が克服したいと思った点や、考え方や捉え方で重要だったポイントに気づいた瞬間にすぐ手帳に書き込み、家庭学習や日々の意識改革につなげられるようになると、学生の能力はかなり変わってきます。
そして、このサイクルを早い段階で身に付けた方は、社会に出ても自身を日々アップデートしていけるのではないかというのが当時の私の意図でした。
また、45分=通常の小学校の授業時間を自分が調べたいテーマについて扱えるのも、余白があって素晴らしいと感じました。その都度自分の中に潜在的な部分も含めて気になっていることを深められることも、子どもが自己を確立する助けになるのではないでしょうか。
探究学習が、自己の確立につながる
瀬戸SOLAN小学校は、もはや教育界においてパワーワードとなっている探究学習にも力を入れています。
「しっかりと知るー知っていることから問いを作るーその問いを追究しつづけ解を導き出す」活動に没頭し「解は一つではない、多様に存在する」という現実の世界を感じ、考える体験です。教師の教え込みは子どもが考えることを止めてしまいます。あくまで、子どもは、一人ひとりの個性を発揮できる学びの主体です。そして、教師は学びの場をデザインする支援者であり、ともに学びを創る存在です。
全学年、週2回が探究学習に充てられるようです。
探究学習については、この10年ほどでかなり多くのプレイヤーが現れています。
皆が決まったカリキュラムをこなすことは、過去の記事から言えば近代学校教育制度の「規格化」のベクトルに乗っているということになります。
しかし、これからの時代はいかに個を確立・開花させられるかの重要性が高まっています。
このような時代背景を考えると、自ら問いを立て、その問いに対して向き合い自身の「答え」を見出す探究学習も、個を確立・開花させる有効な学習手法の1つと考えることができます。
GAJYUMARUの「沖縄に生まれた子どもたち1人ひとりが、自分の生きたい人生を描くサポートをする」というビジョンとも極めて合致します。
また、既に探究学習は既に多くのプレイヤーが出ており、手法に関してもかなり再現性が高いものが書籍などで確認できる状況にまで来ています。
また、既に沖縄でも県下トップ高の開邦高校が「学術探究科」を設置しています。
この流れがより広まり、沖縄でもより探究的な学びが子どもたちの自己確立の支えになって欲しいと期待しています。
まとめ
今回は、愛知県瀬戸市の瀬戸SOLAN小学校を挙げ、沖縄でも取り入れていきたいと感じたポイントについて書きました。
・地域創生の一環として、地域の特色を生かすことで教育移住などの可能性を生むことができる
・決まったカリキュラムに忙殺されない「余白」「探究学習」が、個の確立を促す。
GAJYUMARUとして、学校教育の支援もすべきでは?というアイディアもメンバーから出ています。実行するのか、はたまたいつになるのかは分かりませんが頭には入れておきたいテーマです。
10月以降のnote運用について
8月21日から今日までで41日間、様々な角度からGAJYUMARUの理念や考えについて書いてきました。
また9月は「毎日投稿」と宣言し、無事達成することができました。
10月以降は、記事としては毎日更新はないものの、情報紹介のつぶやきなどは毎日のようにできればと考えています。
改めて、どうぞ宜しくお願いいたします。
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