発注企業に対する外資ベンチャーの本音
長年B2Bのサービスを提供する外資ITベンチャーで仕事をしてきて、顧客企業と付き合う中で「この人たちは外資ベンチャーの内情知らないんだな」と思うことがよくあります。
今回はとても面と向かっては言えない外資ベンチャー企業の本音について書いてみます。
「御社は中途入社の人もいらっしゃるのですか?」
もちろんそうですよ。と言うか全員そうなんですけど。
今どきは大学卒業していきなり外資ベンチャーに就職する人もいるとは思いますが、珍しいと思います。それに日本法人立ち上げ当初はヘッドカウントも少ないので、少数精鋭、経験・実績のある人たちだけで仕事を回すのです。新卒の社員を教育する余裕はありません。
「日本語の製品マニュアル欲しいんですけど」
You wish! オンラインで英語のマニュアルが提供されているので頑張って読んでください。最近は翻訳ツールの性能が上がってるので英語が得意ではなくても十分読めるでしょう。
製品が新しくて日々進化しているとマニュアルの内容も日々更新されていきます。その日本語訳を常に最新化するのはベンチャー企業としてはとても無理な話。学校で何年間も英語習ってきたのだからマニュアル読むくらい拒否反応を示すのはやめてください。
「日本語サポートは24x7で提供されますか?」
いや、無理です、勘弁してください。24x7でサポートのシフト組めるほどサポートの人員いませんので。夜間や週末の緊急時は英語でお願いします。
日本法人が立ち上がったばかりだと営業の人員しかいないので、サポートもその人たちで何とかしている場合もあります。わかる範囲ではその場で対応できるでしょうが、裏側では本社のサポートチームに訊くしかないので、問い合わせを翻訳して取り次ぐだけになります。
「我が社向けに〇〇の機能を追加してください」
いやー、特有の要件の開発を約束できるほど御社の契約大きくないんで。一応プロダクトマネージメントに言ってはみますが、期待しないでください。
よほど契約の額が大きくて解約されると本社としても痛手、のような場合には、要望が通る可能性はありますが、それも日本法人の社長の力量次第というところはあります。本当はその顧客でしか使われないであろう機能なのに、いかにも「今後は日本では他の顧客でもこの機能が必要になる」「これによって$XXの売り上げが上乗せできる」かのようにゴリ押しする関係を本社と築けているかどうか。「社長」と言っても本社から見たら日本という「一つの地域」を担当している営業責任者でしかないので、営業的な観点から本社に訴えるしかないのです。
「サービスのアップタイムは99.999%ですよね」
Googleみたいに巨大なデータセンターで何重にも冗長化された高可用性のシステムじゃないのでそれは期待しないでください。そもそも電話や電気みたいなライフラインを提供するサービスじゃないですよね?
まとめ
ベンチャー企業と付き合うといろいろと不満も出てくるかもしれませんが、ベンチャーの尖った製品・最先端のテクノロジーを採用することによってビジネス上の優位性を獲得している、と思って少し不自由な点を我慢しても関係を継続する価値はあると思います。マイ〇〇ソフトとかオ〇〇ルとか、巨大IT企業と同じレベルのサービスを期待するのは無理な話なのです。それを理解した上で付き合っていきましょう。