ボードゲームでのルール説明の裏技!?
こんにちは!
愛知県名古屋市天白区塩釜口のボードゲームカフェ&バーSoLaCeスタッフの ゲシュ です!
今回は”脱”ルール説明初心者の第2回です!
前回お伝えした、人間の記憶において「視覚情報」が大事という内容に加えて、どのようにルール説明を行っていく事でルール説明初心者を脱却するかのポイントをご紹介します!
前回の記事はこちらです!
一応今回の記事はこの内容を認識できている前提で進めていきますので、ぜひこちらの記事をお先にお読みください!
という事で、早速本題へ移ります!
ルール説明での裏技!?
ルール説明はいかんせんお喋りも大事なので、初心者の頃はどう上手くお話を展開していくかに悩むものです。
頑張って説明をしている間に何を話したか混乱してぐちゃぐちゃになってしまい、頑張ってルール説明の練習してきたにも関わらずその成果が発揮できないなんてことも。。。
という事で、こんな時におすすめしたい裏技的方法があります。
「さっさと始めてしまう」
これがその裏技です。
いわゆる
「チュートリアル型ルール説明」と言える方法です。
今回私が説明するチュートリアルという言葉が指すのは、
デジタルゲームで良くあるゲーム開始時に始まる操作方法の説明のことです。
デジタルゲームには説明書が付いていますが、
ほとんどのゲームで実際にゲームを遊びながら操作方法を説明するチュートリアルが採用されています。
例えば、
「Aを押してみてね!」→ ジャンプ →「Aを押すとジャンプするよ!」
「Bを押してみてね!」→ 攻撃 →「Bを押すと剣を振って攻撃するよ!」
みたいな感じのイメージです。
つまり、
「行動をさせる」→ 現象が起こる →「その行動をするとどうなるのか説明」
の順番で説明を行なっていく手法を私が勝手に「チュートリアル型ルール説明」と呼んでいます。
自分が行った行動により発生した実際のゲームの処理が、
「視覚情報」としてルール把握を助けてくれるのです。
つまり、この手法はそのゲームを開始して遊びながらルールを説明する形となります。
今までボードゲームをたくさん遊んできた方々で、
色々とルール説明が終わった後に
「まあ実際にやってみないと難しいからとりあえずやってみよう」
と言ったり言われたりした経験はありませんか?
このようになってしまうゲームこそ、
この「チュートリアル型ルール説明」が適切です!
なんといっても実際にやってみながらルールを説明していきますので!
・練習として実際にやってみながら、並行してルール説明を行う。
・全てのルール説明と練習が一通り終わったら、
もう一度準備をやり直して最初からスタートする
という形が「チュートリアル型ルール説明」となります。
この方法だと、5分で説明が終わる内容も、10分かかってしまう事もあります。
だとしても、実際にゲームをプレイしながらなので、時間が多くかかったという認識には陥りにくいですし、何よりも分かりやすい・覚えやすい事の方が大事です。
また、口でうまく説明できなかったとしても、実際にやってみることで察しの良い説明を受けている側が勝手に理解してくれる可能性があるのも「チュートリアル型ルール説明」の魅力です!「こういうことで良いんだよね?」と助け舟が来ることもあります。
それほどに「実際にやってみる」というのは、
ルール説明初心者にとって強力なルール説明の手法なのです。
という事で、ニムトを持ってきました。
このゲームは典型的な「チュートリアル型ルール説明」をすべきゲームです。
では、例として紹介していきます。
ニムトをご存知ない方は少々置いてけぼりになってしまいますが、雰囲気だけ感じてください。
ニムトは本来手札を全員に手札を10枚配って行うゲームです。
このチュートリアルでは少人数なら5枚、大人数なら4枚を配って実際にゲームを遊んでみます。
「ルールは後で説明するんでとりあえずやり方から覚えましょう!」
↑これが「チュートリアル型ルール説明」の合言葉です!
手札を少なく配り、場札を用意して、
「1〜104の数字カードを使います!」
「手札から1枚”これだ!”ってやつを決めて伏せてください!」
「全員のカードが出揃ったらせーの!でオープンです!」
「という事で、一番低いカードを出した人から順番に場に並べていきます」
「場にはカードを並べる場所が4列有ります」
「それぞれの列は数字が大きくなっていく様に並べていきます」
「じゃあ2回目です!せーの!」
「この場札なのですが、実は各列5枚までしか並びません!」
「6枚目を出してしまった人は、その列に並んでいた5枚のカードを獲得します!」
「この獲得したカードが・・・・・マイナス点です!!!」
てな感じで、実際にゲームの流れに沿って進めながらルール説明をしていきます。
「カードを出す」→ カードが場に並んでいく →「ルールの説明」
みたいなイメージです。
行動をした結果に、ルール説明を刷り込んでいきます。
ゲームのルールというものは、
「遊ぶ為のルール」と「勝つ為のルール」に段階が分かれます。
「ニムト」を遊ぶ為のルールは、
実は「手札からカードを1枚選んで伏せて、一斉に公開する」だけです。
これさえ教えればとりあえずやってみるが可能になります。
「ニムト」の勝つ為のルールである、
「6枚目を出してしまったらカードを引き取る」だとか、「取ったカードがマイナス点だから取らないようにする」だとか「低い数字を出したらどこか一列を選んで引き取る」だとかは、実際に遊び始めてそのシーンが訪れてから説明すれば良いんです。
このようにやりながらルールを説明しながら練習をしていき説明が終わる頃には、「”勝つ為のルールを考慮して”手札からカードを1枚選んで伏せて、一斉に公開する」に変わっているでしょう。
「言葉だけで説明する」よりも、「自分1人でデモンストレーションを見せながら説明する」よりも、
「全員で一旦やってみながら説明を補足する」の方が、説明をする側も楽だし説明を受ける側も楽です。
また、「チュートリアル型ルール説明」」なら、
しっかりと順序立てられた分かりやすい説明も、
みんなを盛り上げる巧みな話術も、
ぶっちゃけ必要ないです。
なぜならゲームを実際にやっているから。
ゲームを順番にやっていって説明が必要になるタイミングで説明を挟むだけで良いし、盛り上がるワクワク感もゲームが勝手に演出してくれます。
楽をするのは悪い事ではありません。
ルール説明に自信がないという方は、「さっそくやりながら説明していきます!」を合言葉に「チュートリアル型ルール説明」にチャレンジしてみる事をオススメします!
もちろん、このやり方を基準に作戦を考えて練習していけばより良いルール説明へとランクアップしていきます。
この方法で場数を経験して慣れていって、よりゲームを楽しそうに思わせることができる様なルール説明を目指していきましょう!
「実際にやってみる」の効果
ゲームの流れに沿って実際にやってみながらルール説明を進める「チュートリアル型ルール説明」ですが、
ルールを覚えるという点において明確にメリットがあります。
人間には「やって覚える」という記憶のシステムが搭載されています。
小学校の時に漢字ドリル,計算ドリルなどなどいっぱいやらされましたね?
あれも実際にやってみて覚えている訳です。
物を覚える際に、
能動的に行動を起こす(書く、話す、動かす)ことで、その行動に覚えたい情報が紐付けされてより印象強く脳内に記憶する、というようなシステムです。
音読をしたり、メモを取ったり、ノートを書いたりと学校の教育現場でも活用されている方法です。
そのためボードゲームのルール説明でも、
そのやって覚えるという記憶システムを有効活用できた方が、もちろん覚えやすいルール説明と言えるのです。
この点でも、ノートなどを持っていないボードゲームの現場において、
ただ説明を実演するのを見せるだけのルール説明よりも、
実際に体験しながらルールを覚える「チュートリアル型ルール説明」にはメリットがあるのです。
人間の記憶システムをルール説明に利用する
人間が物を覚える方法は、
A. 聞いて覚える
B. 見て覚える
C. やって覚える
の3種がメインです。
これらの方法は、C > B > A の順で記憶の効果が高いとされています。
記憶の効果というのは、覚えやすく忘れにくいという意味です。
皆さんも身に覚えがありませんか?
電話を聞くだけだと覚えにくいのでメモを書く事で覚えるなど、日常のシーンでも何か行動を起こすことによって記憶を定着させています。
繰り返しますが C > B > A の順で記憶の効果が高いんです。
つまり新しい物を教えるというシチュエーションにおいて、聞かせ方(A)がどれだけ上達しようと、だからといって人間がそれにより覚えやすくなるかと言われると実はそこまで効果がありません。もちろん多少は効果があるとは思いますけどね。
最も分かりやすさ・覚えやすさ向上の期待値が大きいのが、
Cの「実際にやって覚える」の部分を頑張ることなのです。
Cの手法を使おうとしないことは、わざわざ物を教える難易度を高くしまっているんです。より完璧な説明が必要となります。
とはいえ、お気付きの方も多いと思いますが、
実際のところAだけ、Bだけ、Cだけで教えることは無いですよね?
A & B & Cで物を教えているはずです。
学校を例に挙げると、
A 先生が説明をしながら
B 教科書や黒板を見ながら
C ノートに書いたり練習問題をやったりしながら
新しい知識を覚えています。
つまり人間が人間に物を教える時に大事なのは、
A : B : C の比率です。
前回の記事に書いた通り、
人間は聞いて覚えるという行為は苦手です。
よって、このA : B : C の比率の内、
Aが占める割合をどれだけ減らすことができるか
B,Cが占める割合をどれだけ増やす事ができるかが鍵となります。
物を覚えさせるプロとも言える学校の授業の比率を、
A : B : C = 3 : 3 : 4 とします。
それに対して、ボードゲームのルール説明の比率は、
何も意識できていない場合、
A : B : C = 7 : 3 : 0
くらいの比率になってしまいがちです。
これくらいに口頭で頑張って頑張って分かりやすく分かりやすく説明しようとする人が多い印象です。
ただ、残念なことに人間という生き物は聞いて覚えるのは苦手です。話す側がどれだけ分かりやすい説明文を考えようが、華麗な語り口を習得しようが、聞いている側が覚えやすいかどうかにはあまり関係ないです。
分かりやすい・覚えやすいルール説明において大事なのは、
どれだけBとCの比率を増していけるかどうかです!
極論ですが、
口頭の説明が「これをシュッとしてあれをダンってしたらズバン!ってなります!」だったとしても、BとCでしっかりと説明できてさえいれば、ちゃんとルールを教えることは可能です。
それほどにルール説明における喋りの部分は重要度は低いです。
なのでこの 7 : 3 : 0 の比率を、5 : 4 : 1 へ、さらに 4 : 4 : 2 へと、
徐々に徐々に喋りの割合を減らしていくイメージが重要です。
ボードゲームの現場は、学校とは違い生徒がノート・筆記用具を持っていません。この手ぶら状態でいかにCを働かせる事ができるかが鍵となってきて、その為に有効に作用するのが「チュートリアル型ルール説明」です。
喋りに自信がなくてルール説明が苦手だと思っている方も安心してください。
喋りなんて上手じゃなくたって、分かりやすいルール説明はできます!
ルール説明の熟練度において喋りを磨くのは最後で良いんです。
ルール説明を上達したい!と思っている方は、
まずは今回の「チュートリアル型ルール説明」から始めてみてください。
何回もルール説明の経験を積んでいけば慣れていけるでしょう。
まとめ
という事で、今回はここまでです!
この第2回では、
「実際にやりながら覚える」が最重要テーマでした。
第1回の「見て覚える」
第2回の「やって覚える」
この2点をどれだけ意識した説明ができるかが、
”脱”ルール説明初心者のコツです!
これは人間の記憶システムの課題なので、説明する相手が初心者だろうが経験者だろうが変わりません。どんなシチュエーションだろうとこの2点が人間の記憶に良い作用を及ぼすのは絶対です。
ルール説明の初心者と中級者の差は、
ただシンプルにこの2点を認識できているかいないかです。
この前提条件を認識できた人がやっと上級者への階段を登り始めます。
ここら辺からは細部を詰めていく作業になっていくので、
説明の順序であったり、言葉遣いであったり、盛り上げ方だったりというところを研究していけば大丈夫です。
そこら辺はルール説明初心者のうちは考えすぎなくても大丈夫です。
チュートリアル型ルール説明ならばそこら辺は誤魔化せます。
最初のうちは誤魔化しながらで大丈夫です!
徐々に経験を積んでその他の部分を磨き上げていきましょう!
”脱”ルール説明初心者を目指す用の裏技であるかのように「チュートリアル型ルール説明」を紹介させていただきましたが、
この手法はルール説明中級者、上級者になってからもバリバリ現役です!
いかんせん「チュートリアル型ルール説明」が説明する側にとって簡単で、説明される側にとって分かりやすいので、
”脱”初心者できたからといってこれを卒業する理由がありません。
本当にやりやすいルール説明方法なので、1人でも多くのルール説明が苦手な方だと言う認識の方にこの文章が届き、楽しいボードゲームのひと時を過ごせる事を祈っています!
今回も読んでいただきありがとうございました!