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ベリーズと台湾 ベリーズを知るための60章 明石書店

 ベリーズってどこにあるんですか、という話ですが、中央アメリカに位置する国になります。外務省のHPが非常にコンパクトにわかりやすくまとめています。
ベリーズ|外務省

英領ホンジュラスと呼ばれた時期もあり、スペイン語圏ばかりの中央アメリカでは異色の国になります。ブルーホールと呼ばれる世界中のダイバーの憧れのダイビングスポットを持つ国でもあります。

ベリーズは台湾(中華民国)と国交を持つ数少ない国の一つです。2024年12月現在、台湾と国交の国はわずか12か国しかありません。
台湾基礎データ|外務省


「ひとつの中国」原則を中華人民共和国が外交政策としてずっと堅持している以上、大陸の中華人民共和国と台湾の中華民国の両方と国交を持つ国はありません。ですので台湾にとってベリーズは極めて重要なパートナー国となります。実際蔡英文総統はベリーズを在任中複数回訪問しています。

 現地住民から見て台湾をどういう存在かというと、農業分野の支援(特に米作の改良等の技術協力!どこか蓬莱米を彷彿とさせます)や教育支援を行ってきた国だそうです。

 今後ベリーズ・台湾関係はどうなっていくを考察した箇所が以下の文章です。

 ベリーズ側から見れば、世界第2位に位置する中国の経済力は魅力的である。中国に外交関係を切り替えることによって期待できる経済的恩恵に言及する者も少なくない。ベリーズから見た輸入相手国として中国は米国に次ぐ全輸入の約16%を占めている。他方、外交関係がなくても経済関係が発展するのであれば、無理に外交関係を樹立する必要はないとの見方も存在する。台湾承認国が減少する中、これまで台湾が各国に割いていた支援のための資金がベリーズに多く割り当てられる可能性に期待する声もある。

ベリーズを知るための60章 p281

 ベリーズも自分たちの利益に忠実に現実的な視点で行動していることがわかります。小国は大国の意のままに従属する他はなく、独自の路線を打ち出すことできないというわけではありません。
 
 ウクライナ侵攻以降、特にリアリズムの観点からウクライナは大国のバッファー地帯として中立化させておいたほうが良い、大国が世界政治の秩序を決めているのだからという論が出てきたことがあります。(具体的にはミアシャイマー教授らの意見、間違っていたらごめんなさい。ご指摘ください)

 ベリーズや台湾を見る限り(もちろんウクライナも)小国でもしたたかに生き残ろう、豊かになろうという懸命な強い意志を感じます。その姿勢が胸を打つのは、極めて人間的だからなのでしょう。どんな人間であろうとも弱い立場になることがあります。もちろんその立場は状況や立場によって極めて可変的ではありますが、だからこそこれらの国を見る時、自分たちを見るような気分になるからなのかもしれません。

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