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フランスは4月の魚。

4月1日は「Poisson d'avril(4月の魚)」の日。日本では「エイプリルフール」と言うけれど、フランスでは「4月の魚」と言います。嘘やいたずらをし合うのはここも同じだけれど、それに加えて、子どもたちは魚の絵を紙に描き、それをこっそりと誰かの背中に張っては、からかったりもします。

なぜ魚なの?というのは、諸説あるようなので、Google先生に聞いてみてくださいね。

さて、今週は子どもたちはママン宅にいる週なのだけれど、会わないと(パパが)さみしい、ということで、水曜日の午後だけ、子どもたちも一緒に4人で過ごすことになりました。もともと、水曜日は学校がお休みの日。子どもたちは自由に遊んで、いち日を過ごします。マキシムとイチコが通常業務をしている間、テレビを見たり、お絵かきをしたり、(イチコは少しお仕事休憩をして)一緒にティラミスを作ったり。そして忘れてはいけない、いたずらも…

そう、Poisson d'avril(4月の魚)というやつですから。背中にこそっと、魚の絵を貼り付けようとするわけです。

まず最初に、ふらっと不自然に私のデスクにやってきたのは、マキシム。え、予想外。と思ったけれど口には出さず「どしたん?」と聞くイチコ。「いや〜そこにあるおもちゃの山をどうしたものかと思って。それだけだよ、仕事続けてよ」と、背中に何かを持って左から近づいてくるマキシム。

「うん」と、イチコ。そこに魚がいるとわかっていながら、さすが大人のなせる技、気づかぬうちに1匹目の4月の魚を授けられました。

次に、ふらっと不自然にやってきたのは、リリー。ほらきた。と思ったけれど口には出さず「どしたん?」と聞くイチコ。「えっとね、そこのおもちゃの様子を見にきただけー。お仕事続けてね」と、背中に何かを持って左から近づいてくるリリー。アプローチの仕方、パパと全く一緒やん。と、突っ込みたくなる衝動を、そら親子やもんなぁ、と抑え込む。

「うん」と、イチコが言ったか言わないタイミングで背中に、そぉ…っとゆっくり時間をかけて触れられるのを感じ、2匹目の4月の魚を授けられました。

さて、3匹目は。

待てども来ず、時は夕方、晩ごはんの時間となりました。「今日の晩ごはんはパパんちで食べてきてもいいよー。でも遅くなりすぎないでね」というママンのおゆるしが出たようで、食卓につくイチコら4人。ふと、エマの背中を見ると、カラフルで小さな魚がふわふわと張り付いていました。絵柄からすると、犯人はリリー。

エマはもうすぐ11歳。Poisson d'avril(4月の魚)をやるお年頃ではなくなったのですね。4月の魚には何食わぬ様子で、友だちとグループでビデオ通話をした時の話をしていました(学校で会えない分、親の携帯にかけあって、頻繁にビデオ通話をしているようです)。クラスメイトのひとりに「えー自分の携帯にWhatsAppもSnapshotも入ってないのーダサーイ!」と言われたのだそう。それに対してエマは「そんな高機能の携帯を持っていることの方がおかしい!」とご立腹。確かに、それらSNSアプリには通常、年齢制限もある。まだ11歳にも満たない彼女らには、まだちょっと早い気がする。エマ自身もそのように考えているようで、イチコは「さすがエマさん、おっしゃる通りです」と、思うのでありました。

そして食事は終わり、食器の片付けをしていると、ハタと、あるものに気づいたイチコ。われらの背中に付いていた4月の魚たちが、食卓の床に無残にも落ちているではありませんか。1匹、2匹、3匹、4匹…。日本製のように粘着力の強くない、こちらフランスのセロハンテープ。みんな力尽きて、食事中、ああだこうだと動いている間に、床に落ちてしまったようです。

子どもたちがママン宅へ戻らんと玄関を出る時、「背中を見せて!」とイチコに後ろを向かせるやいなや、「あれ〜?」と悲しそうな顔をするリリー。イチコは「あーそいえば!」と、床に散らばっている4月の魚たちを拾い、どうしたらいいのかわからないまま、とりあえず「ジャジャーン!」と、リリーにそれらを見せてみる。

するとリリーは「それそれ私のー!」と、機嫌よく自作した4月の魚たちを手に握って、笑顔でママン宅へと戻っていきました。

「背中に魚付いてるよーへへへ」「あー知らない間に付けられちゃったーふふふ」なんていう、やりとりができなかったリリー(とマキシム)でしたが、そんなのは対して大事ではなかったようです。

さて、来週はついにパパのお誕生日がやってきます。子どもたちはそれに向けて、影でこそこそなにやら計画中なのですが…。

それはまた、つぎのおはなし。


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