TOEIC980が教えるTOEICでサクッと結果を出す方法

こんにちは、井上です。またまたTOEICの話をしていきます。

で、これはTOEICに限らず全てのテストにいえるのですが、テストで結果をサクッと出すために必要なのは、努力!ではなく、相手が何をテストしようとしているのかを理解することです。なぜかというと、そもそも英語を使う人の状況により必要とされる英語力は違うし、加えて、テストを実施するために利用可能なリソースのには限りがあるので、全ての英語力を測定することはできません。

このテストを実施するために利用可能なリソースを踏まえてテストを構築することを、テスティング(第二言語習得理論の一分野でよりよいテストを作るための研究)では実用性といいます。具体的な形でテストの実用性を実感するための一つの基準がテストの値段が挙げられるでしょう。

例えば、英検やTOEICは1万円を切った値段で受けられますが、TOEFLやIELTSなどは値段が1万円を優に超えます。これは、TOEICはリーディングとリスニングのみ、英検ではライティングは一次にあるけど、二次でしかスピーキングが課されないというふうに、テストの試験科目を制限しているからです。なので、4技能全てをテストするIELTSやTOEFLに比べるとテスト実施に必要なリソースが少なくなるので、値段も安くなると。

このリソースという概念は先ほどの「使う人の状況により必要とされる英語力は違う」ということとも関わってきており、英語の先生ならまだしも、普通の人は自分のやるべきことがあり、その上で英語を学ぶので英語を学ぶことに全てのリソースを注ぐわけにはいけません。だから、その人がどのような場面で英語を使うかを考え、その上でその状況で必要とされる能力を抽出し、その上でそれを正確に測定するような試験を構築することになるわけです。

言い換えれば、英語の試験というのは、英語全体の部分集合になるわけです。よくある、TOEIC〜点/英検〜級でも英語が使えないというのは、試験が英語全体の部分集合であることから起こることなのですが、今回はそのことは話さず続きます(元画像はこちら)。

こうした理由から、テストをする上では最初に「何が英語力か?」という構成概念を定義し、その上でその構成概念の一つ一つの要素を考えていくことが必要なわけです。なので、テストをサクッと攻略するためにはこの「構成概念をテスト出題者側がどう定義しているか」というのが一番のスタートポイントになります。

これがよくいう「過去問をやれ」とかそういうアドバイスにつながっていくわけですし、それは確かに重要なのですが、昨日話したようにテストが熟達度テスト、つまり英語の知識を活用して実際に必要とされるパフォーマンスを測定するタイプのテストになればなるほど、何がそのテストにおける英語の構成概念かを理解するのが難しくなります。

なぜかというと、あるカリキュラムや教材の内容をどれくらい身に付けたかを測定する到達度テスト(学校の中間試験をイメージするとわかりやすいかもしれません)とは異なり、熟達度テストでは純粋に言語の使用能力を測定しようとするからです。ですので、英検のように一番は単語と熟語と文法のようにテスト内容も項目別に分かれていないから、試験で何が問われていて、自分が何をマスターしてないかに気が付きにくい。

こうした理由から、TOEICでは、構成概念の一つである中高レベルの英文法を身につけていないせいで上達しないことが理解しにくく、わかりやすいTOEIC対策である「速読、過去問対策、ボキャブラリーの暗記」のみ勉強してうまくいかない人が多いと。

先生に習うとうまくいく理由もここで、その先生が明示的に理解しているかどうかは別として、だいたい先生は何がテストにおける構成概念化を理解しているので、伸びやすいと。逆に、自習すると、自分の持っている英語観がテスト作成者の構成概念に一致していないと、自分は正しいと思う、けどテスト作成者からするとトンチンカンな対策だけしてうまくいかないわけです。

長くなったのでこの辺で。
では!

井上大輔


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外国語怨念解消note
高度な外国語力を身につけたい人、テストで結果を出したい人に向けて役立つ情報をつぶやき中。TOEIC980点。早稲田英文→早稲田仏文修士→上智外国語学部修士→上智大学博士課程在学中。英語・仏語・西語・伊語の参考書&翻訳書も出版。著書一覧→http://amzn.to/jzUDtr