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【外苑前野球ジム】動作解析プランから紐解く投球動作~肩関節外転角度 実践編~

前回のnoteでは、投球動作のおける肩関節外転角度の理論に関してお話ししました。

そこで今回は、その理論を踏まえて弊ジムの動作解析プランでどのようにアプローチし、改善しようとしているのか紹介していきたいと思います。


📝動作解析プランの流れ

  1. 動作解析プランでは、十分なウォーミングアップを行ってもらったのちに3球投球してもらいます。この3球の投球のうち、最も球速の速かった試技を対象にフィードバックを即時に行います。

  2. フィードバックで見つけられた課題をもとに、それを改善させるためのトレーニング指導を実施します。

  3. トレーニング後に、再度投球動作を3球測定し、トレーニングによる即時的な効果を見ます。(人によっては再測定を行わず、時間いっぱいトレーニングを行う場合もあります。)


🖋肩関節外転角度が課題となった実例 

肩関節外転角度

上記グラフはある選手の投球時の肩関節外転角度を示したものです。
赤のラインがステップ脚着地時点で,青のラインがリリース時点を表しています。
この選手の場合は、ステップ脚を着地した時点(SFC)では 83.3°ですが、リリース時点(REL)では 91.3°であり、ステップ脚を着地してからリリースにかけて肩関節外転角度が 変位しています。

前回のnoteに記載したとおり、肩関節外転角度は SFC から REL にかけて約90°の状態を維持することが望ましいと考えております。
しかし、この選手の場合は SFC から REL までの間に 8°外転が増加しています。
このような状態は、体幹から腕へエネルギーを効率よく伝達することができておらず、球速の低下や投球障害を引き起こしやすくしている可能性があります。

このような肩関節外転角度に課題が生じた場合に、どのようにトレーニングして改善していくのかをここから紹介していきたいと思います。

トレーニングによる課題改善

SFC から REL にかけての区間で肩関節外転角度に変位が生じた場合、考えられる要因として主に肩関節の動的安定性の不足が考えられます。

一概に肩関節の動的安定性の不足といっても、以下の2種類があります。

  1. 肩甲骨の安定性の不足

  2. 肩甲上腕関節の安定性の不足

上記のように肩関節外転とは、肩甲骨の上方回旋 + 肩甲上腕関節の外転 で成り立っています。
しかし、動作解析では肩甲骨の角度と肩甲上腕関節の角度の内訳を詳細に把握することはできません。
そのため、どちらの機能不全が原因となっているかはトレーニングを見ながら判断しています。
また、実際の測定の際には、安定性だけでなく可動性や柔軟性をチェックしながら選手に合わせたトレーニングメニューを作成します。
ここでは、代表的なトレーニングをいくつかご紹介いたします。

2.肩関節の安定性を高めるためのトレーニング

2.1 ウェイターウォーク

ケトルベルという重みのあるものを把持して、肩関節外転角度を90°に保ち歩行します。
まずは歩行という運動速度が遅く、体幹の動揺が小さい動作の中で、重いものを安定させることで、至適な肩関節外転角度に対する知覚機能を高めます。
これをケトルベルの重さを変えながら複数回実施することで、ある特定の重さに対しての学習を避け、肩関節外転角度を

2.2 ウィンドミル

ケトルベルを把持し、その位置を変えないようにしながら体幹を屈曲させ、つま先を触ります。
ウエイターウォークに比べ、体幹の動作が大きくなることから、肩関節外転角度を保った状態で体幹の回旋が生じる投球動作により近づいたトレーニングとなります。

2.3 ピポットピックスロー

「トップ」の位置から身体の回転を用いて、重さの異なるボールを投球します。
ウエイターウォークやウィンドミルで獲得した肩関節の動的な安定性を投球動作に落とし込むトレーニングになります。
通常の投球と比較してトップの位置から、身体の回転運動による投球を行うことで肩を随意的に動かさずに投げる感覚も養います。

このようなトレーニングを行い、肩関節の動的な安定性を養うことで投球中の肩関節外転角度の変位を防ぎます。
ここで紹介したトレーニングは数ある中の一例ですので、その他のトレーニングや、可動性や柔軟性の獲得を目的としたトレーニングに関しては、以下の弊ジムが運営するオンラインサロン「おんたま」で確認できるので気になる方は是非ご覧ください!

トレーニング後の結果

それでは、上記のトレーニングを実施して即時的にどのような変化があったのか見ていきましょう。

トレーニング後の肩関節外転角度

SFCは 81.8°、RELは 86.9°であり、その間の変位は 5.1°になりました。
トレーニング前は変位が 8°だったので、約 3°の動揺が減少していることが分かります。


最後に

意識の仕方を変えることで動作をすぐに修正してパフォーマンスを向上させることは可能です。
しかし、投球動作の上肢のような高速でダイナミクスな運動に関しては意識的な変化で修正することは困難です。
そこで、意識しなくても結果的に修正できているように、簡単な動作から徐々に修正することが必要であり、それをトレーニングで実施しています。
また、意識して動かしている動作でないためその修正にも時間はかかります。
プラン内で行える時間は限りがあるため、すぐに結果に反映されないこともあります。
しかし、課題を明確にし、長期的にトレーニングに励むことで投球動作の修正が望まれます。

このように、モーションキャプチャーを用いて動作の修正点を確認し、トレーニングを通じて投球パフォーマンスを向上させたい方は是非以下からお申し込みください!
また、お問合せもお気軽にご連絡ください!


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