今話題の「入学金」問題について
こんにちは。
今回は今ニュースでも話されている、入学金の返還を求める大学生の声について、取り上げて自分自身の考えもお伝えしていきたいなと考えています。
ニュースの経緯
まず今回の問題についてのニュースの経緯をお伝えします。
一般受験を行う学生にはよく知られた話ではありますが、入学金の納入制度というものがあります。
これは受験に合格すると、平均の2週間以内に一定額(10万円~30万円)を納入しなければ、その合格の枠が保持されないというもの。
またこれは別の大学に進学を決めた場合でも返還されません。
現在の一般受験の日程上、二月頭に滑り止めの大学をうけると、早稲田やMARCHといった一般的に発表の遅い大学の結果を待つとこの納入期限に間に合わず、先に納入することで合格枠を保持しなければならないのです。
彼らの言い分は以下の通りです。
「入学金の支払い猶予(納入期限)を3月末にしてほしい」
「入学しない大学に払ったお金が変換されないのは不当だ」
2020年には一人あたり平均で30万円の支払ったというデータもあるようだ。
事実自分自身も受験時にMARCHの一校に入学金を振込んだ経験があります。これはよくある話で、現在バイトとして働く先でも多くの生徒が振込むことになる人がいます。
問題の所在
さて今回の話題の問題の所在はどこだろうか。
私が考えるに大きく3点ある。
1. そもそも支払期限が短い
2. 返還をされない
3. 仮に返還されるようになったとして大学の財政状態はどうなるのか
私見
まず私が考えるにこの問題にあげられる入学金の制度(?)は必要であろう。
これについて、二者の視点から考える必要がある。
まず大学側としてはこれがなければ大学の財政はかなりひっ迫するだろうし、ある種これが受験における各大学のポジションを決めているといっても過言ではない。
支払い期限が短い大学はある種そこそこのランクであり、抑えとしてそれなりの地位をもつからこそ、多めに合格を出して短いスパンで納入期限を設定することで、一定度の収入を得ることができるだろう。
受験生側にしても、もし仮に、この二重払いが難しい場合には大きく二つの戦略が考えられる。一つ目がAOや推薦、指定校といった形の入試選択を行うこと。二つ目が納入期限内で、別の合格を勝ち取ることで、保持し続けた状態で本命大学の合格発表を待つ(または本命の合格を待つことのできる試験校を選択する)である。
これがある意味大学生のいう、”選択肢を狭める”ものなのであれば、それは私立という利潤をある程度求める必要のある大学の入試なのだから当然といえるだろう。
実際、予備校の進路相談にて行われる会話のある一定度はこの納入期限について話し合われる。この辺の情報と経験を分けてもらえることがある意味予備校に通う一つのメリットになりえるだろう。
なくなることによるデメリットは何があるだろうか。
入学金がなぜ必要か
では入学金が返還されることによるデメリットを上げることで、必要性を考えてみたい
まず最初には大学の財政上の困窮があるだろう。
これは今回の議論においては、ただの入学金ではなく、進学しない大学に対して支払われる入学金に関する話であるから、下位(この表現がただしいかはさておき)の大学に特に顕著に表れるだろう。
少子化によって受験者数が減る昨今において、いかに受験者を増やし、学生数を増やすかが大切な中でこれは大きな問題だろう。
今回の学生の議論においては仮にそれによる財政的な不利が生じるのであれば国からの支出によって賄うことを想定されていたが、先述の少子化の中で、税収が将来的に減少する中で国としても財政支出を抑えたいことに加え、大学全入時代(大学全体の定員>学生数)において、財政的に厳しい大学を抱えるほど余裕のある時代ではない。
そもそもだからこそ、受験生に負担をかけてでもこのような納入期限を設けているのである。
入学金がないと大学に受かりづらくなる
また二点目として、大学に受かりづらくなる。
これはあまり考えられない論点かもしれない。
これを考える上で大学の定員について知る必要がある。
大学には文科省に届けた既定の人数がある。この人数に沿って学生を集めてその一部を一般試験にて募っている。
学生側が主張していた3月末まで待とうとすると、なかなか学生の数が定まらず仮に思い切った合格者数を出すとあふれたり、逆も然りである。
だからこそ、一定の期限を設けることで合格者のうち入学する意思のある学生の数を把握し、空いた枠を後の試験で募ったり、追加合格・補欠合格によって埋め、定員数に限りなく近づける作業をする。
上に書いた通り、入学金にはその役割があり、滑り止めの大学でよく見られるが、ウォーミングアップで安全圏かつ入学意思のない大学を受ける受験生と滑り止めとして受ける受験生を見分けるのである。
この入学金の制度によって一定の負担を強いることでむやみに合格枠を埋める受験生がでないようにしているのである。
先にも書いた通り、仮にこれが無くなるとあふれたり、学生の減少を嫌がる大学側はそもそも一般受験による入試選抜なくしたり、少なくとも数を減らすことが考えらえる。
リスクをとることを求められていると考えるのが素直だろう。
タダのワガママなのか?
ではこの文章をここまで読んで頂くと以下のように思われるかもしれない。今回の訴えはただのワガママだと言いたいのか・・・と
念のためこれについては否定したい。
私が今回書いたのは法人体としての大学側の話であり、感情的に同意できるところも多々ある。
今回のこれを機にこの制度について考えるいいきっかけにはなっただろう。
ここまでお読みになっていただきありがとうございました。
不勉強で間違えや意見の相違等ありましたら、ぜひコメント欄でご教示いただければ幸いです。