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ウルトラセブン49話を見終えて

ウルトラセブン全49話を見終わってしまった。
見終わって"しまった"とは言い方がどうにかならないのかと思うが
要するに名残惜しいのである。

具体的に何がどう面白かったかの言語化は毎回難しいと思いながらも試みたいと思う。(本編のネタバレが含まれるのでご了承ください)

①意思疎通が可能な敵との戦い

ウルトラセブンの大きな特徴として、純粋に怪獣と戦う回は体感で全体の1~2割ほどで、話のほとんどは侵略してくる外星人との戦いが占めている。
ウルトラマン(シン・ウルトラマン)を見ていても思ったことだが、怪獣との戦いもそれ自体がダイナミックで見ごたえや迫力は十分だったが、
敵が外星人となると、政府の中枢にまで言葉巧みに入り込んで篭絡したり、
ウルトラマンを拉致したり、隊員に化けて基地に潜入してくるなど戦略面での多彩さや手ごわさを感じることが多かった。

そして敵が抱える事情や悲哀など、初代ではジャミラ回などでも見られたが、ついにジャミラと対話することは叶わないままだった。
セブンでは、元々地球に住んでいて人類に海底に追いやられたノンマルトや、観測ロケットを侵略行為だと勘違いして地球を制圧しようとしたペダン星人など、各々の事情を抱えている敵と、和解はできなかったものの対話ができた。それが物語に深みや広がりを与えていることは間違いないだろう。

※ものすごく余談だが、ノンマルトの設定を見てFF14の古代人もこの辺からインスピレーションを受けたりしてないだろうかと思ったりしたが、たぶん偶然の一致というかかぶりやすいモチーフだったのかもしれない。

②ヒューマンドラマ性の強化

前回の初代ウルトラマンの記事では、怪獣が単なるキャラを引き立たせる舞台装置でなくメインとして描かれている点が魅力と書いたが、
異なるアプローチもまた有効であることがわかった。
初代よりもどちらかというと現代の戦隊やライダーに近い、ウルトラ警備隊メンバーの個々のキャラクター性を際立たせるようなエピソードが多かったように思う。かと言って敵が背景になってしまうわけではなく、毎回手ごわい戦略を取ってくる敵に対してどう立ち回るかという点では全くワンパターンになっておらず、テイストとしてはシンゴジラに近い気がした。物語の傾向も、子供向けという枠を感じさせないシリアスな話が多く、ウルトラQの続編的性質がより強まっているように思った。

セブンは人間と融合していた初代ウルトラマンと違い、人間に擬態している100%外星人であることがなんと17話でようやく判明する。
それがわかってからモロボシ・ダンの行動を見ると、時々少し間が抜けていたり、後述する「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ…」という名ゼリフがあったりと、初代と比較すると主人公のキャラ付けがより強固になっているのを感じた。

③ディティール面の強化

まず私がセブン一話を見て驚いたのは、ウルトラ警備隊の基地に300名隊員がいるというセリフや、実際に通信担当やメンテ担当の名もなきスタッフが基地内を歩いているシーンである。
これの何が驚きなのかと思われるかもしれないが、初代の基地内で見かけるのは科特隊のメンバーとたまに出てくる博士と星野少年くらいで、他に働いているスタッフを見ることはほとんどなかったのである。
見始めた当初は、ムードメーカーのイデ隊員がいなくてこんなちゃんとした組織でこれからどうなるんだろう…となぜか戦々恐々としていたのを思い出す。初代のヒットで予算がついたのかわからないが、ウルトラホークやハイドランチャーなどメカの発進シーンもミニチュアできちんと再現されており、かっこいいなあと思った。

そして、一話でカプセル怪獣を見て、これってもしかしてポケモンのネタ元!?と驚いた。そして現代の販促で様々なアイテムを使い分けるニチアサヒーローのことを思い出したりした。
戻り方も見慣れた光になってカプセルに戻る演出で、なるほどセブンでカプセル怪獣が出なかったらポケモンは生まれなかったのかもしれないのか…と思うとポケモンで育った世代としては感慨深いものがあった。さながらモルカーのご先祖様のモルモットに会ったような気持ちである。
脱線が続くが、ウルトラサンムーンのウルトラ調査隊の制服も、ネーミングといいウルトラ警備隊の制服のオマージュでは…?と思った。(蛇腹の部分とかが…)

④魅力的なBGM

今となっては見慣れた演出と言えば、ほぼ勝利が決まったシーンで流れ出すオープニングテーマ、これは初代にはなかったがセブンで登場したものだ。
正直他の特撮作品に疎いのでセブンが初出かは私にはわからないのだが、
この演出は王道かつ強力だった。毎回この曲が流れたら勝ったな!という流れになるのはやはり実に爽快である。シリーズ後半からは途中から劣勢になってBGMが止まったり、追いBGMがかかったりする変化球も見られた。
妙に耳に残る都会的でかっこいいBGM(サントラ曲名はULTRA SEVEN)、メカ発進時によく聞くウルトラ警備隊の歌など、つい口ずさんでしまうような良いBGMが多かったのでサントラを購入した。


ここからは私の好きなエピソードをセブンにちなんで7個紹介したいと思う。


第8話「狙われた街」

最初から刑事ドラマのようなシリアスな空気が漂い、人が発狂して銃撃事件が起こるなど深刻な事態が発生し、本当にこれウルトラセブンだったっけ…という気持ちになってくる回。終盤の昭和のボロアパートが驚きの変貌を遂げるシーンの衝撃が忘れられない。最後のアイロニカルなナレーションも心に残る。

第9話「アンドロイド0指令」

人の良さそうなおもちゃ屋のおじいさんが実は…。おもちゃの戦車や戦闘機が本物になってしまい、ミニチュアの戦車や戦闘機が爆撃してくるシーンはうわっと思うような迫力があった。

第17話「地底GO!GO!GO!」

一話から出自が不明なまま戦い続けてきたセブンのことがようやくわかる回。一話からどうも地球人ではないなということだけはわかったが、どうしてこの姿になってウルトラ警備隊に入っているのかという大事なルーツの部分が明らかになる。げっ歯類好きとしては、欲を言えばチュウ吉も助かってほしかった…と思う。

第22話「人間牧場」

不気味なタイトル通り、怪奇要素が全開、この題材で映画一本撮れるんじゃないかという回。アンヌ隊員の危機に、セブンとウルトラ警備隊の連携プレーが見られるアツい場面もあり手に汗握る。

第26話「超兵器R-1号」

激動の世界情勢の今だからこそ見ると考えさせられる話。
セブンを見たことがない方も、もしかしたら聞いたことがあるかもしれない例の名言、「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ…」が出る回。

第28話「700キロを突っ走れ!」

セブンにしては珍しくシリアスな笑いやツッコミどころがもりだくさんのスピーディな回。冒頭の巨大せんべいに始まり、700キロラリーに紛れつつ爆弾を輸送するという奇想天外な作戦や、アマギ隊員のキャラの掘り下げ、旅行客に扮した警備隊メンバーのコスプレ、恐竜戦車とのバトルなど見所満載。誰も一切ふざけていないのが個人的にポイントが高い。今Twitterで実況したらTLが大変盛り上がるのではないだろうか。

第49話「史上最大の侵略(後編)」

綺麗にまとまった最終回としてこの回を推したい。名場面は多いが、瀕死のダンが医者に診察されて外星人だとバレることを恐れて、助けてくれた子供に「僕は注射が嫌いなんだよ」と言うシーンが個人的にかなり好き。

7個までと言ったが、フルハシ隊員回の「北へ帰れ!」や冒頭からダンの名ゼリフが飛び出す「勇気ある戦い」も入れるか迷った。

今は本編を見終わってしまったロスのまま平成セブンシリーズを見ているが、当時のオープニングやBGMをそのまま使っているのと、本編のキャストが最終回以降の世界観を引き継いでそのまま出演していて、こういう続編が見たかったんだよ…と感動している。

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