【実話怪談】止まれ
これは私の友人から聞いた話なんですが…
友人の同僚のAさんと、Aさんの友達のBさんが二人で
関西で有名な心霊スポットのトンネルに行った時のこと…
幽霊が出るという噂があるそのトンネルですが、
古めかしい入り口は車一台通れるかどうかという大きさで、
昼間でもいかにも不気味な雰囲気が漂っていました。
運転手のAさんは、せっかく来たんだしトンネルの中で車を止めてみないかと提案したのですが、こんな明かりもない古いトンネルの中で停止するのは
さすがに怖すぎるとBさんから猛反対され、しぶしぶそのままトンネルを通り抜けることにしました。
トンネルを抜け、
「特に何も起こらなかったね…」
「そうだね…」
と話していると、急に車が止まってしまいました。
「え?…エンジンがかからない…」
「冗談やめてよ…」
どういうわけか、Aさんが何回試してもエンジンがかからなくなってしまったのです。
トンネルの近くで立往生してしまったAさんたちは、業者に連絡して修理を手配することにしました。
「これって祟りってやつなのかな…」
「運が悪かったっていうか偶然でしょ」
しばらくして修理業者が到着し、ボンネットを開けて中の様子を見ていたのですが、どうやらあまりいい状況ではないらしく、困った顔をしながらAさんを呼びに来ました。
「こんな壊れ方ありえないですよ…」
「どういうことですか?」
聞くと、エンジンを作動させるための回路が丸ごと脱落してなくなってしまっているらしく、こんな壊れ方は普通ありえないし、ここで修理するのは無理ということになり、Aさんの車はレッカー移動されることになってしまいました。
Aさんは手配してもらった代車を運転しながら、
ここが交通量が少ない山奥だったからよかったものの、
もし後ろに車がいる時にエンジンが止まっていたら…
という現実的な嫌な想像や、
幽霊がここに引き留めようとしていたのかもしれない…
という考えが頭から離れなかったそうです。