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森竹巳展

 近くまで行ったので、太田市美術館図書館で「森竹巳 ー造形実験の軌跡ー」を見てきた。

 チラシのデザインがスペーシーな感じだったのでどうかなと思っていたが、実際に見るとかなりポップな感じでよかった。空間の広さに対し、充実度も感じられ、展示方法も良かったのではないか。

 第一室の作品群は、ブリジット・ライリーのような感じだが、質が高く、作家に力があるのがよく分かる展示だった。一部あまり好きじゃない作品もあったが、基本的にマスキングをかけてキッチリ描かれた作品というのは自分の好みにあってるなーと思ったし。印刷で見てもあまり良さの分からないペインティングならではの実際の良さを感じた。

 通路の立体群も良い。こちらはドナルド・ジャッドとかを感じさせなくもないが、やりたい事がわかりやすく、ストレートに見られるものが多い感じだった。通路の展示のペインティング作品もよく、第一室より昔の作品だったようだが、視覚効果はこちらの方が強い感じだった。その分、よりライリーに近いのかもしれないが、こういう作品は楽しい。美しさで第一室、視覚効果で通路展示という感じか。

 第二室は「百均造形」となっている。こちらは過去に高崎市美術館でやっていて、行こうか迷って、結局、行きそびれた展示だが、作家の独自性という意味ではこれが一番ではないか。単純に作品の強度としては第一室の方が良いような気がするけど、ポップさではこちらの方が見てて楽しいような気はした。白ベースの支持体が多くキッチュな色が映えるのも巧い。展示構成的にもその前にペインティングを見てるので、ここに至る推移がかなり分かりやすかった。こういう身近なものを使っていると、作家の力量がよく分かり、仕事が丁寧で見事だなと素直に感嘆した(高崎市美術館では、より多くの展示があったようだが)

 最後の第三室は暗室になっていて、光る展示が見られる。これも百均造形の延長という感じでアイデアが素晴らしい。

 というように、全体的に力量を感じられる作品群で、かなり良かった。特に最近は質の高い作品を見る機会があまりないから、より楽しめたのかもしれない。


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