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眩しすぎるよ、少年たち。

11月某日。
いつものように同じ時間帯、同じコースを散歩していた。

私の近所にはローカル線が走っており、駅も近い。
しかもその駅は終点⇄始発駅であった為電車が停まっているのを見かける機会が多い。

ワンマンで基本一両で走っている、ファンも多いレトロなローカル線だ。

ところがその日は二両で走ってきて駅に停車した。

「ふーん、そういうときもあるのね〜。」

と思いながらなんとなく眺めていた。

「今日は珍しいね!二両編成だよ!」

近所の方だと思われる紳士がカメラを構えながら話しかけてきた。

「ええ、そうですね〜。
(そうか、やっぱり珍しいのかぁ。)」

などと、さも興味があるふうに答えながら、
そろそろお腹空いたし疲れたな。
よし!帰ろう!

と腹のうちで帰路に向かおうと決めたその時、
ヘルメットをきちんと被り自転車に乗った少年2人が近くに停まった。

やってくるなり少年たちは目を輝かせて、

「おい、二両連結してるぜ?!めっちゃ珍しいんだけど!」

「ほんとだ!え、俺たちめっちゃ運良くね?こんなの初めて見た!」

と興奮した大きな声で喜び出した。

純粋に感動して
そのままの気持ちを言葉にしている少年たちをみて、
正直泣きそうになった。

なんて心の綺麗な子らなんだろう…
おばさん、心が曇ってたわ。

しばらくやり取りを聴いてみることにした。

「…お前のおかげだわー。」

「いや、たまたまこっち来ようと思っただけだし。へへ。」

などと褒め始めたのだから、
聴いているこっちが恥ずかしく…なるはずもなく、
本心で言っている言葉とそれをそのまま額縁どおり受け取っているやり取りがなんとも清々しくて、こちらも晴れやかな気分になってきた。

若葉とか草原の風とか、
そんな言葉がぴったりな二人の友情模様を垣間見させてもらった。


私はいつからこんなに、物事に感動しなくなってしまったんだろう…。
関心がなくなったというか。
まあ、大人になると皆んなこんなものよね。
と自分に言い聞かせようとした。


電車からワラワラと客が降りてきて、
連結部分を写真に収めたり、
切り離し作業を固唾を飲んで見守っていた。


…いや、待てよ、
前の職場の上司は違ったぞ。

と思い出した。
いつも小さなことであろうとウキウキしていて、
一緒に話していると女子高生かと思ってしまうほどの人だった。

やっぱりそういう人が近くにいると
影響されるのか、
私自身も今よりずっとウキウキしていたように思う。
小ちゃな事でも、一緒に共有してくれた相手には惜しみなく感謝の言葉を言っていた。
(少年たちと違うのは、私は「意識して」言うようにしていたが。)


切り離された車両は駅より後方の待機場まで走っていき、やがて停車した。もう一方は折り返し出発ため、次の乗客たちが乗り込んで来るのをその場で待っていた。


…はぁ。どうやら大人だからとかではなく、自分が変わってしまっただけだったんだなぁ…。
まさかこんなに少年たちのやり取りで感動させられるとは。
純粋さほど破壊力のあるものは無いな…。
大人になっても毎日キラキラして見えた子供の心を残していかなきゃ。
私の場合、取り戻したい…の方か…。


出発のため、一両になった電車が元気に「ポッ‼︎」と警笛を鳴らした。
いつも通りの姿に戻れて嬉しそうにも見えた。


次の世代の子供たちだけでなく、
大人になってしまった私たちこそ、
この子たちのような心をずっと持ち続けなければ。

本当にそう思った出来事だった。


「俺、今日、これ見れて良かったわ…!」

「うん、俺も今日のこと忘れないと思うよ!」

…まぶしっ。

いやいや。こちらこそ、そっくりその言葉を君たちに送りたいよ。

良いもの見せてくれてありがとうな…!少年たちよ!


自分はまだ童心を忘れていないぞ!と思っていたけれど、どうやら違っていたと実感させられた出来事でした。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました😊

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