イラストは金が掛からないという話
前回、「イラストは金が掛からなくて良い!」という
話をした。嘘。したかった。
という訳で、今回は改めてちゃんとその話をしようと思う。
私の使用機材は
大学ノート(5~6枚)→
激安ノートPCと板タブ(3年)→
wacomのcintiq16(5年)
…という変遷を辿っている。
大学ノート(5~6枚)を含めるのってどうなんだ。
一応、コピックとかGペンとか手を出したが、
買うのがめんどくさくて秒で挫折したこともある。
絵を5~6枚Pixivに上げると、ありがたいことに反応を貰えた。
当然、いいねが何百もつくとか、まして万バズとかいう話ではない。
いいねがひとつとかふたつとか、その程度の話だ。
それでも私は「え、超嬉しい!」と思った。
幸せの尺度は人によって違うだろうが、
人生ではじめて彼女ができたとか
第一志望企業から内定が出たこととかなんかが
比にならないほど、よっぽど嬉しかった。
考えてみれば当然で、彼女とか内定とかいう話は
「レールの上の出来事」であるからだ。
「周りがやっているから、なんとなく俺もやった方がいいかも」という
強迫観念のもとに起こる出来事であって、
自分の内側から出る欲求ではない。
(私は働きたくないしひとりで引きこもっていたい)
対して、絵を描いて発表するというのは純粋に
俺の俺による俺のためだけのオ〇ニーでしかないのである。
それが楽しいのは当然。あまりにも必然。エナニー。
で、板タブを買った。速攻買った。
家電屋で5000円くらいだったと思う。
「しかたねーなぁ…俺の絵、そんなに見たい?じゃあ見せたらぁ!」
気分はいっぱしの漫画家、イラストレーター、画家…その類である。
それまでにしたことがある一番高い買い物と言えば
iPodにつなぐ2000円の粗悪な謎ヘッドホンが限界の
クソケチな私からすれば、デジタルイラストを始めるための
5000円は、大きな決断だった。
ちょっとケチすぎて参考にならないかも。
それから3年ほど、カビかけの和室の中で
13.3インチのノートパソコン画面に向かって板タブで
ゴミゴミ描き続けた。狂ったように描き続けた。
どれくらい狂気的に描き続けたかと言えば、
3日に1枚のペースでpixivに投稿し続けた。
ルックバック読んだ?美大生だとか本職だとか、
そういった天才や努力家と比べなければ描いてる方でしょ。
月に一冊本を読めば上位30%の読書家を名乗れる現代なんだから、
これくらいは誇張表現ではない。多分。
そして、3年ほど経った頃。思い切って液タブを購入した。
ここでようやく登場するのが、wacomの「cintiq16」だ!!
おせーよ馬鹿!!なんと驚き、メルカリ価格で55000円!!
ドケチな私にとってあまりにも高すぎる買い物である。
Youtuberの「買ってよかったものランキング」とか見てると
感覚ぶっ壊れてくるけど、信じるべきは世間やインフルエンサーの
金銭感覚でなく、てめぇの稼ぎとてめぇの興味のふたつだけである。
2020年以前の話ではあるが、液タブと言えば
20~30万円が当たり前…というようなイメージがあった。
まだXPPENとかHUIONとかが知られていない頃。
「中華製品は使い物にならない」という認識が
「中華製品は(製品ジャンルによっては)安くて高品質」という認識へと
移り変わっていく過渡期だったように思う。
そこに登場!55000円のcintiq16!お、お値打ちすぎる!!!!
メーカーの希望小売価格はあえて書かない。
椅子や白物家電のように、どうせ壊れないものは
中古で買うのがベストだからだ。
更に言えば、液タブは「興味あって手を出してみたけど、
うまく使いこなせないから売っちゃお」という人が
いまなお大量に出品しているジャンルだ。中古オヌヌメ。
しかも流石埼玉県のメーカー、5年前に中古で買った液タブでも
ばっちりサポートしてくれる。流石埼玉。
家電量販店で何十万もする液タブを見てビビっている人は安心してくれ。
メルカリでいい。いや、メルカリがいいんだ。
事実、私のcintiqちゃんは2025年の今も元気に動いてくれている。
愛おしい。
私「…そろそろWQHDや20インチ↑のに買い替えようかなー?」
16「…」
私「うそうそ!いじわる言ってごめんね。cintiq16ちゃんが一番だよ❤」cintiq16を買えばこんなやり取りも可能だ!
だからどうした。壁とでもしゃべってろ。
だけども、ネックと言えば本当に
「買い替えたくてもあまりに壊れなさすぎる」
というくらいだ。あと配線が三つ又ケーブルでクソ。
ようやく本題といこう。ここまでで1800字。
読むほうは1分だけど書く方はこんな駄文でも30分とか
掛かってる。推敲なんてやってられるか。脊髄だけで書いてる。
さて、「イラストに金が掛からない」というのは事実か、否か。
それを具体的な数字を以て検証していこう。
数字は見やすいように端数を切り捨てたり切り上げたりしている。
まず、私のデジタルイラスト環境について
・デスクトップパソコン
ryzen7700/RTX4070super/16GB×2/1TBSSD…25万円
・液タブ
wacom cintiq16…55000円
・Clipstudio(買い切り版)…6000円
また、学習には当然金が掛かる。
・書籍費…およそ2万円/月
・お絵描き講座Palmie(12か月プラン)…8000円/月
さらに、絵を描くとpsd形式で閲覧できるとなにかと便利だ。
・adobe creativecloud…8000円/月
それに、使いたいブラシやフォントなどの素材があれば+α…
といった具合だ。
合計31万円の初期費用に、維持費が36000円/月、ということになる。
…当然、こんな高いはずがない。たかだか絵を描くくらいで
こんなに掛かってたまるか。絵はもっと自由だ。
だからStable Diffusionに逃げる前にもうちょっとだけ話を聞いてほしい。
まず・パソコン…25万円について。
こんな高いのいらない。
APEXやパルワールドと違って、クリスタは
「パソコンの性能が快適さに直結する」という類のものではない。
・2016年製3万円のノートPC
・2020年製15万円のデスクトップPC
・最近買った25万円のデスクトップPC
正直どれもクリスタの動作は変わらない。
もちろんオートアクションとか書き出し速度、ブラシの描画とか
細かいところまで全くいっしょという訳ではないが、
「描けないレベルで動かない」ことはまず無い。
Youtuberどもはすぐに高スぺPCをすすめてきやがるし、
「クリスタ専用に組まれた、人気のVTuberとコラボした
クリエイティブPC★」とかすぐ抜かしよるが、
案件に踊らされていては金が逃げていくばかりだ。
…とはいえ、パソコンは安すぎても困るので、
概ね8万円くらいの予算があれば最初は十分だろう。
これは画材の話というよりパソコンの話になるので省略するが、
予算があれば一番安いグラボをつけるとかは
イラストを描く上でそこまで悪い投資じゃない。
一方、無料で使えるStable Diffusionをマネタイズできるレベルで
本格運用するには20万円くらいのPCが欲しい。恐れおののけ。
更に言えば、そもそもパソコンは生活家電。
絵を描かなくても生活に必要なものなのでもうノーカンでしょ。
というわけで、
・パソコン…0円(どうせ必要なので)
こうなる。
次に液タブだが、私は中古55000円で購入。
2025年現在のメルカリの相場が48000円程度と考えれば、
たったの7000円。ゲロ安い。
5年で割れば月々116円。つまりこうだ。
・液タブ…116円/月
さて、ソフトについて…買い切り版のクリスタが6000円。
ここも、MedibangPaint(無料)でいい。
とにかく、続けられるかどうかわからない内は、無料のものを使い倒す方が
無駄な投資をせずに済む。実際、MedibangPaintには
無料とは思えないくらい十分な機能が備わっている。
ここは、ネット上に落ちている情報=学習効率を考えると
ゆくゆくはクリスタにしていきたいところではあるが、
最初はむしろ機能が少なく扱いやすいメディバンの方が適している。
という訳でここも0円。勿論、メディバンをずっと使い続けてもいい。
次に、adobe税…8000円/月だが…
プロならともかく、アマチュアがとても払えるような金額ではない。
フォトショの機能の多くはクリスタで代用がきく。
そこでおすすめしたいのがAffinity Photo。
psdファイルをそのまま開いて確認できるので、
これがあると納品の時に便利だ。
だいたいセールしていて5000円で買える。
いかにadobeがぼっているかがわかる。
ここまでを総括すると
・パソコン…0円
・液タブ…166円/月
・Medibang Paint…0円
・Clip Studio…6000円(任意)
・Affinity Photo…5000円(任意)
ほら、タダじゃん。
もうひとつ補足しておくと、株式会社セルシスの株を
200株以上保有していると、半年ごとに最新のクリスタが半年間使える
コードが発行される。株主優待というやつ。
2025年1月時点のセルシス株価が1235円なので、
約25万円あれば(株主優待の改悪がなければ)一生クリスタ三昧。
でも株は現金を変えているだけなので実質0円。
クリスタを長く使いたいという人は覚えておいて損はないはずだ。
※実際、もともと100株の保有で済んでいたところが200株の保有が
必要ということになった。株の購入は慎重にタイミングを選ぶ方がベター。
株買って損しても責任は取らない。
最後に教材費用について。
Youtubeでさいとうなおき先生を見ろ。古い順から全部見ろ。タダ。
あと好きな漫画家やイラストレーターがYoutuberやってたら登録しとこう。
Twitterもフォローだ。美大やイラスト講座の食い扶持を我が物顔で
奪っているというところに抗議したいという訳でなければ、
利用した方が得だ。実際善意でやってると思う。
また、絵に興味があるということは好きな漫画やイラスト集を
既に持っているだろう。それを使って模写とか、参考にすればよい。
私は趣味で教材を買っているが、読んだ試しがない。
典型的な「テキストを買って満足するタイプ」の人間だ。
うんち野郎だと思うが、この世の人間の半分くらいは
コレに該当すると思う。
あと、FANZ…とかも非常に参考になる。
世の中の人間の多くはアダルト産業に従事する人をよく思わないだろうが、
彼らは「人体をどうすればよりエロく見せられるか」に
精通しているプロ中のプロだ。
市場調査をして売れ線は何かを日々研究し続けている。
最大公約数的なエロを学ぶのにこんなに素晴らしい先生はいない。
そんな彼らが人員を割き時間を掛けて練り上げるのがジャケットだ。
購入せずとも、ジャケットやサンプルなら無料で見られる。
ありがたく使わせてもらおう。
そして出来れば作品を購入し、事業の継続を応援しよう。
もっと言えば、所謂普通に利用するような大手サイトは避けて、
公式HPから買うと良い。販売手数料が抜かれない分、
正当な報酬が正当なところに還元され、社会が円滑に回る。
お金の流れを歪めたり、不当な規制がまかり通るような社会では
結果的に法の監視をすり抜けて活動する違法な業者が跋扈し、
秩序が保たれない。過度な規制はかえって社会不安を招く。
借金から望まない出演を強要されたり、騙されて…
みたいなのは漫画やドラマの演出の話である。
きちんと届け出を出して名前を出して適法に運営しているメーカーは
まずそんなことはしない。安心して購入してほしい。
話が逸れた。思想が強すぎて怒られそう。逸れすぎ。
大事なのは「学ぶ気さえあればこの世のすべてが教材になりうる」
ということだ。
道を歩けば草木が芽吹き鳥が歌う、素晴らしい風景がそこにある。
道行く人のファッションや、ありふれた人の
ふとした仕草すらインスピレーションの元になりうる。
外の世界に目を向けずとも、ネットの広大な世界にも
人体の構造や魅力的なポーズなどの情報は無限に落ちている。
著作権や肖像権に十分な配慮が必要なのは言うに及ばないことだが、
間違っても「お金が無いから絵が描けない」なんてことは無い。
もし君が絵を描きたいけれど迷っているというなら。
遠慮なくイラストの世界に飛び込んでほしい。
途中でやめてもまるで構わない。きっとまた描きたくなる。
それほど、イラストの世界はたまらなく楽しく、奥が深い。
この駄文、掛け値無しの糞駄文が
イラストを始めたい誰かの背中を押す力となってくれること…
AVやエロ同人の購入を促しアダルト産業の発展と
適切な性教育、自由な表現の場の礎と
なってくれることを切に願うことを、この文章の結びとしたい。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。