麻雀初心者が渋川式麻雀通信の動画を見て思ったことを書く
こちらの動画を見て、僕が思ったことを書きます。それ以上でも以下でもない記事です。
【注意事項】
・思ったこと書いてるだけなので動画の真意とは異なることも言ってると思います。(そもそも動画の真意がわからん)
・大きな枠では同じ意見ですが完全に同調してるわけでもお金もらってもいせん。(くれるならもらいますが)
はじめに
結論から言うと「そのままでいい」と思ってます。具体的に言うと「長考する人がいてもいい」ってことです。ちょっと小泉進次郎っぽくなったかもしれません。大事なことなので2回言いました。
(文中は敬称略、略してない場合はうっかりです)
長考は個性?
僕がMリーグを見るようになったのはここ1~2年の話です。それ以前は麻雀の配信対局を見ることはほぼありませんでした。ただ1年以上見ているとMリーグに出てきている人は大体わかります。
長考派の雀士として僕がまず思い浮かぶのは多井隆晴(ABEMAS)と村上淳(ドリブンズ)です。この2人はちょいちょい長考しているイメージがあります。近藤誠一(セガサミー)も印象に残る長考は多いですが、頻度としてはそこまで多くありません。私見ですが近藤の長考はやや芝居がかっている気がします。演出して魅せようって感じですかね。実は多井に負けず劣らずの目立ちたがり屋なんじゃないでしょうか。オープンスケベとムッツリスケベみたいな感じですね。
一方であまり長考をしない雀士といえば小林剛(Pirates)と滝沢和典(格闘倶楽部)でしょうか。この2人は本当に"淡々と"という形容詞が似合います。一定のリズムでキビキビと牌をツモり、捨てていく。見ていて気持ちがいいのは間違いありません。あとなんと言っても忘れてはいけないのが佐々木寿人(格闘倶楽部)。スイッチャーが追いつかないくらい早く、2秒止まればそれは寿人にとっては長考の域です。Mリーグのスイッチャーがもし急病などで代役が来たときには寿人を登板させないよう格闘倶楽部には配慮を求めたいですね。
僕はここで「どっちがいいか」なんて話をしたいわけじゃないんです。大事なのはMリーグという麻雀界で最も注目を浴びるであろう場所にいろんな人がいる、個性があることです。これがもし、みんなが小林・滝沢のように打っていたらどうなるでしょう。もしかしたら、それが本来"あるべき姿"なのかもしれません。でも、誰も印象に残らない気がします。一定のリズムで刻まれたいたツモと打牌の音をせき止める長考。長考するから印象に残る人もいるし、そういう人がいるからこそリズムを乱さない人も印象に残ると思います。
たとえ麻雀が分からなくても、多井が映れば「顔しかめて長考する人だ」って思うようになるでしょうし、寿人が映れば「チャッチャチャッチャと打つ人だ」って思うようになるでしょう。こういう麻雀(その競技)が分からなくても分かる個性って良い入り口になると思うんですよね。野球見てて「めっちゃ速い球投げる人だ」とかサッカーで「めっちゃ足が速い人だ」みたいな。
「分からなくても分かる」と「分かるともっと分かる」
逆に村上がノータイムで立直を打てば「迷う必要がない場面なんだ!」と思うでしょう。滝沢の打牌が止まれば「なにか困っているのだろうか?」と思うでしょう。2019シーズンの最終戦を見ていた人は思い出してください。魚谷侑未(セガサミー)の立直を受け、普段は冷静で麻雀サイボーグと呼ばれたあの小林剛が手を止めた局面を。安牌がなくて困っていることは分からなくても、緊迫した場面であることは伝わるのではないでしょうか?
この「分からなくても分かる」って普及を考える上でけっこう大事だと思うんですよ。分かる人にだけ分かっても競技人口って減っていくだけです。それって結局自分の首を絞めるだけだと思うんですよね。無闇矢鱈と長考するのが良いとは決して思いませんが、"長考とそれに付随して生まれる個性"がその文化の入口の一つになっていくんじゃないかと思います。
余談ですが、この「分からなくても分かる」を一番やってくれた漫画が「ヒカルの碁」なんじゃないかと思います。僕は20年くらい前からヒカ碁を読んでいて、20年くらい前から好きで、でも囲碁のルールがわかってません。でもヒカ碁は面白いし、きっと囲碁も面白いんだろうなって思います。ルールわかんないけど。
一方でたいていの競技・文化は「分かるともっと分かる」ものです。何言ってんだ当たり前だろまた小泉進次郎になったのかと思われるでしょうが、ここって意外と軽視されてると思います。「分からなくても分かる」で取り込んだことに満足してアフターケアを怠りがちです。
また漫画の話で恐縮ですが「3月のライオン」という漫画があります。この漫画の主人公は将棋のプロ棋士なので将棋のシーンがけっこう出てきます。作中で、あるキャラクターが実戦で現れなかった手を「美しかったのに……」と評するシーンがあります。実は僕もちょっとだけ将棋をやっていたのですが、この手はマジで美しいです。たぶん将棋が分かんない人でも、作者(※羽海野チカさん 「ハチミツとクローバー」の作者。個人的にはハチクロのほうが好き)の圧倒的表現力によってこの手がとても美しいことは伝わっていると思うのですが、分かるともっと分かります。
冒頭の動画をアップしているのはMリーグ公式解説者である渋川難波なんですが、実況・解説の役割ってまさにここだと思うんですよね。分かんない人に対して「分からなくても分かる」ように伝えて「分かるともっと分かる」ことを味わわせる。日吉辰哉の実況なんて「分からなくても分かる」の典型で卓を見てなくても面白いです。よーく聞いてると卓上のこと話してなかったりするのでそれも当たり前かもしれません。
「早く打て」派を無視していいのか?
そうして無事(?)分かるようになった人にはどうすればいいんでしょうか? これは個人的な意見ですが、分かるようになった人にはもう何もしなくていいと思います。分かる人はこちらが提供しなくても自分で楽しめる人、自分で楽しみ方を見いだせる人だからです。
そもそもなんで"分かる人"が「早く打て早く打て」ってうるs……よく言うかわかります? 「早く打て」って言いながら見てるからですよ。一旦沼に浸かった人間はどうせ文句言いながら見るんだから放っておけばいいんです。そもそも麻雀における"長考"なんてせいぜい1~2分ですよ? カップヌードルもできないくらいなのに待てないってちょっと生き急ぎすぎてません? その1~2分でできることなんてたかが知れてるでしょ、藤田晋じゃないんだから。
「分かる人」だけの世界を作り上げていって門を狭めるのは絶対によくないです。ここからはただの愚痴ですが、十数年前の将棋界がまさにそんな感じだった気がします。今でこそ藤井聡太というスターが現れて将棋ブームみたいになってますけど、あれは橋本崇載・佐藤紳哉みたいなお笑い担当が門を広げて、遠山雄亮を始めとするモバイル部隊が土台を地道に作り上げたおかげですよ。スターがいればいいだけなら羽生善治の時代からもっと将棋はブームになってたはずです。僕が子どもの頃は羽生七冠の時代でしたけど「将棋なんて年寄りが縁側でやるもんだろ」って感じでしたからね。
まとめ
・長考する人はいてもいい(多様性を認めよう)
・「分からなくても分かる」を大事にしよう
・ヒカ碁はマジで面白い
・「早く打て」? うるせえカップ麺でも作って待ってろ
・意外と簡単に小泉進次郎構文になっちゃうので気をつけよう
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