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PSYCHOPATH

ノンフィクションとフィクションの中間でサイコロジカルホラーを展開したい。

※サイコパスの本来の意味はソシオパスとも呼ばれるように一般的な人の感覚が共感できず、概念で社会通念は理解しても気持ちはまるで理解出来ず、時に犯罪も犯してしまう人の意味で用いられるが、この小説ではそのような意味では使っていない。どちらかというかというと神経、精神過敏で超能力のような能力がうまれたひとという違った(誤った)意味で敢えて使っている。

筆者の知人がいわゆる大学の卒業旅行でマリブビーチに友人数人と訪れていたときの出来事である。

ビーチのコテージを借りて3泊程度の短い旅であった。それぞれ希望の就職先に就いたものが多かった反面、まだ将来が決まらない1人も交えていた。
メンバーは変に気を使わずにその友人にも接していて、彼も旅行を純粋に楽しんでいるかに見えた、最終日前日朝までは。

その日彼はビーチでひとり昼間から酒を楽しんでいた。ちょっと飲み過ぎているように感じて友人の1人(友人Aと呼ぶ)は彼を誘い片道30分くらいの散歩に誘った。彼とは学生時代は少し距離があり本音を語り合うことはなかったが、その散歩で4年間分以上にお互いのことを語った。彼は家族の中で自分の立ち位置に激しい劣等感を抱いていることが分かった。

ちょっと彼は飲み過ぎていたが、1時間程度歩き、また心のわだかまりを吐き出したようでスッキリしているようには見えた。

そして旅行最後のディナーで彼は上機嫌に振る舞い、上機嫌であるがゆえに酒が幾分進んでいるように見えた。そしてディナー終盤に彼は悪酔いをし始め、違うグループの人達も一緒に食事を楽しんでいたが、少し怖くなったのか自然解散になり、その人達は逃げるようにいなくなった。

彼の悪酔いはさらに程度を増し、暴言やそれを諌めようとする人をどつくなどどんどんエスカレートし始めた。いよいよ彼が狂乱スレスレになるや否や彼の一番の理解者の友人がいて、「ちょっとこれはまずいね。皆、各自の部屋に戻って出てこないで。」と。それぞれ個室の部屋に戻り鍵もかけた。

彼はボディビルダーのようなマッチョな男であり、暴れ出したら怪我人で済まない危険性もあった。まるでライオンの調教師のように先ほどの友人だけは彼の側でなだめることが出来たが、彼はまさに猛獣のように雄叫びのような声で不平不満を叫んでいる。
その調教師の友人によると彼は精神を病んでいて薬も飲んでいたが、旅行中は環境が変わり薬も飲まず、その日1日はかなりのアルコールを摂取し、かなり危険な精神状態になっているとのこと。その調教師の友人はそのマッチョマンの家族からもケアを頼まれていて旅行中も監視はしていたが、その日はちょっとまずいかなと日中より感じていたらしい。

本当に怪我人が出るとまずいので部屋を出ないでと各メンバーに電話等を使って伝えた。

しかしそのマッチョの彼はそのうち、メンバー1人1人の名前を呼び出てこいと雄叫びを上げる。当然皆、恐怖で硬直し返事をせず、寝たふりを決め込み嵐が過ぎるのを待っていた。

そのうちの1人昼間に一緒に散歩をした友人Aは寝たふりをしながら、それでも頭の中では昼間に彼と話したことなど頭の中で考えがグルグル錯綜していた。すると、マッチョマンはその者の名を呼び、「A、おとなしく寝ていろ、頭の中の声は全部こちらに聞こえている。」と何度もドアを叩き叫んでいた。
Aは半信半疑ではあったがいわゆる「サトラレ」的なテレパシーのようなものの存在を半ば実感した。
本当に頭の中の声を正確に拾っていたかは疑問であったが、少なくとも、Aからマッチョに向けた考えの存在は察知されているのは間違いないと実感せざるを得なかった。

オカルト映画、SF映画にはよくあるテレパシーの正体は科学的な根拠はないとはいえ実在はすると考えざるを得なかった。仮に科学的風に説明すると神経が極度に緊張した人間がアルコールの作用もあり、第6感のような能力を発揮する可能性がある、とでも言おうか。

そこにAは恐怖や驚きより、ある種冷静に、そんなことの存在を考えていると、別室の友人の1人Bが飛び出し、泣きながら、マッチョの手を取り、「君のツラさや悩みは分かるよ」と。二人で外に出ていってしまった。

二人は戻るとマッチョはアルコールも抜けたのか落ち着いていて、相当な疲労感を漂わせてすぐに自室に入り休んでしまった。

友人Bに他のメンバーが詰め寄り「大丈夫だったか?」「危ないよ、なんでBが部屋から飛び出たんだよ」

するとBは「自分でも信じられない。なんかに取りついかれたように、自分が自分でないように行動していた。ただ、これは言おうか迷っていたんだが、外に出てしばらく森の方に歩いたんだけど森から白い狼が飛び出してきて舞ったかと思うと消えた。まるで映画のワンシーンのようだ。そしたらマッチョも急におとなしくなって」と。

これは催眠的な幻覚であるのは間違いないが1人ならず、数人が幻覚やテレパシーのようなものを体感した。

これは霊的な話でも超常現象でもなくサイコロジカルな現象寄りだろう。

話がフィクションなのでは?という疑問もあるが、本文で知人から聴いた話に仕立てているが実は私も当事者としてその場にいた1人なので、一連の流れの信憑性を保証する。
シチュエーション自体は少し変えている点がフィクションであるが、話の筋はノンフィクションである。

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