コスパの良い推し活とガチャのカラクリ

0. 始めに

以前より推し活関係の話題を取り上げようと思っており、今回は第1回目なので、あらゆる業界に共通する話題について取り上げることにした。

推し活とは、もともとAKB48や乃木坂46に代表されるような、歌って踊るアイドルを応援することだと認識されていたが、現在ではアニメやストリップ、場合によってはプロ野球や競馬にまで当てはまるというのが、世間の共通認識となっている。

個人的には、心の支えになる彼女というか妻というか細君というか、そういった存在がいれば事足りるのではないかと思いつつ、「推しがいないと生きてゆけない」「推し活こそ生きがい」「彼女と推しは別」と主張する人も数多くいる。

筆者自身は約2年半で、演劇業界やストリップ業界を始め、グラビア業界、楽器演奏系ライバー界隈などジャンルに縛られず、あらゆる推し活を経験してきた(メジャーアイドル(演劇関係除く)や地下アイドル(楽器演奏系除く)、二次元などは未経験)。経験上システムはどの業界でも大体一緒なので、推し活をやっている人なら理解しやすい内容に構成している。情報は筆者が現地で収集した内容も多いので、必ずしもこの限りではないということを予め理解していただきたい。

1. コスパの良い推し活とは何か

前提として、与えられたシステムの中でいかに少ない投資で自分を満足させられるか、推し自身に貢献できるかの2点にフォーカスしている。メジャーアイドルは一対一で話すハードルが高過ぎるから地下に潜った方がいいとか、手紙やリプライに力を入れようとか、そういうことは一切話すつもりがない(手紙とかリプライって自然と湧き出てくるものだよね)。

結論から言うと、コスパの良い推し活とは、①推しのメイン活動を生で体感すること、②推しと深く交流すること、③推しの売り上げが明確化されている(又は推しへの還元率が高い)グッズに課金することの3つだと考えている。

2. コスパの良い推し活(イベント参加編①)

この章では1章で明言した、「①推しのメイン活動を生で体感すること」について深掘りする。4章で③について紹介するが、はっきり言って、個人的にはこちらの①と②の方が優先順位は高い。

①はそれぞれ人の欲求によって重要度が異なると思うが、メイン活動を生で体感することによって、いわゆる”推しがい”が生まれてくるかもしれないし、“尊敬”という感情が生まれてくるかもしれないし、直接会った時の話のタネになるかもしれない。個人的には芸術が好きで、舞台から芸術的な刺激を受けるときもある(エンタメ要素の強い舞台も存在する)。メイン活動を生で体感することが主目的の人もいれば、副次的なものとして捉える人もいると思う。しかし機会があれば、まずは1回体感してみることが良いと思う(テレビで観たことある、SNSで良いなと思ったという理由で入ってみると、意外と新たな門が開かれるかも)。“夢を追いかけている”推しにとっては、これが何よりも嬉しいことだと、筆者が代弁しておく。

3. コスパの良い推し活(イベント参加編②)

この章では1章で明言した、「②推しと深く交流すること」について深掘りする。
②は推しの対象によって、全くない・メイン活動に付属している・広く展開されているなど、様々な場合があると思うが、これを望んでいないファンはあまりいないと思う。今回は想定される基本的な3つの事象について紹介していく。

まずはチェキ会。一般的なチェキの相場は筆者調べで1000円~1500円、最低価格は500円、最高価格は3500円を体験したことがある(これはワンショット又はツーショットの価格で、スリーショット以上になると価格が倍程度になる場合が多い)。オタクほど、このチェキの原価を知らないと思うが、最もスタンダードで小さなinstax mini 20枚入りが公式価格で1,534円(税込み)、Amazonだと3個セットで6,198円(税込み、令和6年1月24日現在)となっている。現在品薄状態が続いているため、Amazon価格を採用することが適当だろうと考えると、1枚100円程度になる。
チェキ会は基本、撮影1枚あたりの話せる時間が決まっており、ファンによっては話す時間を延ばすため、複数枚購入する人もいる(アイドル業界は基本延びると考えてよいが、業界によっては必ずしも延びる訳ではない)。また、サインあり・なしは価格帯に関係なく存在するが、3枚以上撮影すると1枚にサインを書くという場合も存在する(筆者が見た中では5枚以上のところもあった)。
チェキ会はメインの活動や何かのイベントに付属しており、単体で開催されることは少ない。一対一で会って話せる機会が少ない推しは、チェキ会を狙って参戦することがおすすめである。また、チェキは世界で1枚しかない推しグッズであり、現地に行った良い思い出になるので、機会があれば是非撮りに行った方が良い。

続いて飲み会イベント(=オフ会)。相場は事前予約制で飲み放題1~2時間1万円だが、ふらっと入れてチャージ料・ドリンク代を請求されるイベントもある。一度に最低10人は同席するので、値段の割に一対一で話せる時間は少ないと感じるかもしれないが、SNS上では書けない話を聞けたり、長い時間顔を合わせることにより顔を覚えてくれやすかったりするので、たまに参加することはおすすめである。

最後に撮影会。前述の2つと比べ設定されていない場合も多く、グラビアアイドルやコスプレイヤー、舞台女優、AV女優の一部で開催されているイメージが強い。相場は業界や人によって大きく異なり、目安としては1時間15,000円程度である。個別撮影会なら少なくとも1万円を超えるが、団体撮影会(5名から10名程度で1分ごとに交代しながら撮影するイメージ)ならそれ以下で参加できる場合もある(プール撮影会のように参加費さえ払えば時間内に様々な人を撮れるイベントもある)一方で、人気AV女優だと6万円を超えるケースも見たことがある。ちなみに筆者がよく参加するのは、舞台女優Aさんの個別撮影会40分~50分13,000円、人気グラビアアイドルBさんの個別撮影会1時間30,000円・団体撮影会(5,6人)1時間15,000円である。
撮影場所はスタジオ貸し切りの場合が多いが、街に出て撮影する場合も結構ある(推し活をする前は写真集の撮影でもしてるのかと思っていた…)。チェキ券を大量消費するタイプの会社の先輩に個別撮影会の話をしたら、「デートじゃん。」と羨ましがられたが、まさにそのような感じで、一対一でゆっくりとお話しでき、屋外なら妄想上はデートそのものである。
撮影会、特に個別撮影会はコスパ云々関係なく、極めておすすめである。カメラがないから参戦できないという人も、会場でレンタルできる場合やレンタルカメラショップで借りられる場合がある(レンタルカメラショップで前日予約・当日予約を試みたが、いずれも予約いっぱいで借りられなかった経験がある)。ちなみに筆者は、ハードオフでデジタル一眼カメラを24,000円で買った。1回のレンタルで安くとも2,000〜3,000円かかるとすれば、10回程度で元は取れ、何より借りられないかもしれないという心配が減る。

4. コスパの良い推し活(グッズ購入編)

この章では「③推しの売り上げが明確化されている(又は推しへの還元率が高い)グッズに課金すること」について深掘りする。①や②に一部含まれる内容もあるが、イベントに参加することとは別の角度で捉えている。

推しがその業界で活動するには、ある程度の数字が必要である。もちろん推しが健康で文化的な生活をしていく上で、”又は”として括弧書きした”還元率”も重要だが、例え販売数に応じた還元がなかったとしても、推しの売り上げが明確化されているグッズが売れることは意味が大きい。なぜなら、この人を起用すればある程度の収入が見込めるとなれば、クライアントや運営側もまたその推しを起用し、仕事が増えるからである。

推しの売り上げが明確化されているグッズとは、一般的にチェキ・ブロマイド、推し単体の顔や名前が印刷されたグッズ、推し扱いのチケット(又は指名料など)が該当する。そして推しの売り上げが明確化されていないグッズとは、一般的に入場料、イベントに関連したパンフレットやDVD等のグッズ、グループ全体のグッズ、そしてガチャ(=ガチャガチャ、ガチャポン)である。

ちなみに筆者が舞台を観劇するときは、推し扱いのチケット・応援ビジュアル(公演中の劇場内に掲示され後日発送されるサイン&メッセージ付きポスター又はタペストリー)・ツーショットチェキ・ブロマイド(1種類)・アクスタに加え、DVD(推し扱いで限定ブロマイドがついてくる場合がある)・公演パンフレット・公演台本を購入するようにしている。買いすぎだろと思う方もいるかもしれないが、公演の規模によってラインナップ数はまちまちであり、正直チケット・ツーショットチェキ・(高いからたまに躊躇するけれど)応援ビジュアルがあれば十分だと考えている。

5. ガチャの期待値と運営の設置意図

前章に関連して、今回の記事のもう一つのタイトルである、ガチャについて取り上げていきたい。
多くはないが、会場内にガチャが設置されているのがちらほら散見される。筆者が実際に確認したのは、とある団体の舞台と全国2つのストリップ劇場、某楽器演奏系アイドルのライブ会場である(プロ野球の球場外でもピンバッジなどのガチャがあるのは承知しているが、今回は除外して考えている)。どれもカプセルの中に缶バッジ・アクスタ・アクキー・ラババンなどが入っているもので、料金は1回500円~1000円となっている。
また、ランダムブロマイドを販売している舞台、くじ引きを実施している生誕祭などガチャと似たシステムが採用されている事例も確認している。予想では、アイドル業界に多いと考えている。

前章の課金事例から想像できると思うが、基本的に筆者は強い意志でガチャには一切課金していない。なぜなら期待値があまりに低すぎるからである(期待値1の生誕祭だけは試行回数を重ね特賞を当てた)。
例えば12人分のアクスタのガチャが1回1,000円で回せたとして、推しが1人なら期待値0.083(厳密に言うと回した分だけ当たりやすくなるので期待値は多少上がる)。期待値が1になるには12,000円の課金が必要になり、それで済むとも限らない。アクスタの相場はガチャサイズからそれより少し大きいものでも2,000円~3500円程度と認識しているので、正直話にならないほど高額である。

では、そんなに高いのに回している人は頭がおかしいのかと言うと全くそんなことはない。なぜなら、同じ業界(又はグループ)内で推しが分散している人、業界歴が長く交換相手を見つけやすい人は、期待値が高いからだ。私の場合は基本的に推しと一対一の関係なので、他のお客さんに自分からは声をかけないし、声をかけてくださった方も結局同担になるので、期待値0.083で戦うしかない(Twitterや会場で反応してくださっている皆様いつもありがとうございます)。
まぁ、太いファンにお願いすれば3,000~5,000円くらいで入手してきてくれる気もするが、私は断固として、期待値1で入手させようとしない運営に抵抗する(宝くじみたいにはずれが全て空カプセルだったら回してもいいかもしれない)。それに集めだしたらきりがないし、活用方法がわからないし(推し飯としてTwitterに写真を投稿するタイプの人間じゃない)、何よりチケット代(又は入場料)やチェキ代、A2~A1サイズのポスターに絞ったほうが満足度は高いと考えているからである。長い人生を考えると、グッズは記念かおまけで良い。

「そんなことならガチャなど設置するなよ」とファン目線では思ってしまうが、運営側のメリットはある。まずは、推し以外のグッズを手に入れさせて、他の人にも興味を持ってもらい、推しがいなくなっても引き続き箱推ししてもらおうということ。そして、余分なグッズをファン同士が自主的に交換するというコミュニケーションを促すことによって、ファン同士のつながり(=居場所)を作ること。筆者はそのように考える。

6. 最後に

今回の記事は決して、こうあるべきだと他を批判するものではなく、ちょっと変わった一個人の感想、又は推し活の相場感の参考程度に読んでいただけたら幸いである。

また、この記事を読んで筆者のことをコスパ重視のドケチ人間と思うかもしれないが(確かに交通費はなるべく削る)、プレゼントや差し入れはコスパゼロでも推奨しているということを最後に伝えたい。なぜなら、見返りはなくても、還元率100%で自分の推しの手に渡り、喜んでくれるかもしれないから。

普段はもっと引用文献を記載しているのだが、今回は経験談ベースで書き記す、個人的には珍しい記事となった。良ければ普段の他の記事も読んでもらえるとありがたい。


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