9月の花・植物の俳句(季節を味わう#0077)
「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花・植物を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。
【曼珠沙華(まんじゅしゃげ)】
ヒガンバナ科の多年草で、彼岸ごろ地下の鱗茎から30〜50センチの花茎を伸ばし、赤い炎のような花をいくつも輪状に開きます。
花の後は、細い葉が出て、翌年の春に枯れます。
鱗茎は澱粉を多量に含んでおり、有毒ですが、晒すと食べられるため、飢饉に備える救荒食物として、畑のそばや墓地など人里に近いところに植えられました。
つきぬけて天上の紺曼珠沙華 山口誓子
この句は何が「つきぬけて」いると感じるかによって見える景色が異なるような気がします。
突き抜けるような空なのか、曼珠沙華が突き抜けているのか。
私は曼珠沙華が突き抜けているように思います。
畑で屈んでいて、ふと見上げた時に曼珠沙華ごしに見えた秋空の景色なのではないかと。
空の色が青ではなくて紺なので、朝や昼ではなく、夕方以降の空なのだとしたら、畑仕事ではなく、土手などで見た景色なのかも知れません。
いずれにせよ、曼珠沙華の炎を思わせる赤色と紺色の対比が美しい、視覚的な俳句だと思います。
(2024年 9月25日)
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