8月の花・植物の俳句(季節を味わう#0073)
「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花・植物を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。
【桔梗】
秋の七草の一つキキョウは山野の日当たりの良い所に生えるキキョウ科の多年草です。
花の時期は6月中旬の梅雨の頃から9月ごろまで。俳句では秋の季語に分類されます。
花が開くと、五つの花びらの際が細く尖っていることもあり星の形のようでもあります。
花の色は紫色。園芸品種のキキョウには白色やピンク色もあります。
桔梗の根にはサポニンが多く含まれており、咳止めや炎症を抑える働きの生薬として利用されています。
私が子どもの頃、空き地にキキョウが咲いているのを見かけた記憶がありますが、野生のキキョウは近年減少傾向にあり、絶滅危惧種として環境省のレッドリストに挙げられています。
ふっくりと桔梗のつぼみ角五つ 川崎展宏
ぎゅっと小さく丸まった蕾から花を咲かせる植物もありますが、キキョウのつぼみはまさに「ふっくり」とした紙風船のよう。英語名がballoon flowerなのもわかる気がします。ただしキキョウのバルーンは丸や楕円ではなく、滑らかながら角(かど)が五つ。この句を読むと、自分がキキョウの蕾に近寄ってしげしげと観察している気分になります。
ところで、キキョウの花は独特なデザイン性から桔梗紋という紋にアレンジされています。
桔梗紋を使用していた有名人は明智光秀。
私は子どもの頃このことを知り、以来、キキョウには他の花と違った風情を感じるようになりました。色といい、形といい、個性的なキキョウは絶滅して欲しくないものです。
(2024年 8月28日)
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