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モンゴルの旅(到着編)
うとうとしているうちに飛行機はモンゴルの空を飛んでいた。
徐々に高度を下げゆき雲の下に出ると一面に緑が広がる。草原だ。
道のようなものがうっすら見える。さらに高度が下がると車や馬も見えてきた。それにしても果てしない風景だ。
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遥か南の地平を眺めているうちにチンギスハーン国際空港に着陸した。
日本も建設に関わっていたらしく、新しくてきれいな空港だ。地図を見てみるとウランバートルとは山一つ隔てていてまあまあ遠い。
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今となっては信じられないが、社会主義時代にはタブーだったそうな。
スマホに関しては今回は現地の空港で物理SIMを購入せずに日本で事前にTRAVeSIMというeSIMを購入していった。はじめてのeSIMだったがモンゴルに到着してすぐに問題なく繋がった。これは便利だ。
荷物をピックアップして入国審査を終えるとすぐに現地ツアーのツォクトツアーのスタッフの方が出迎えてくれた。
ちなみに今回のツアーでは全て日本円で決済できるため1円も両替をしなかった。記念程度に少しくらいは両替しておけばよかったと後悔している。
他グループの方も一緒になり総勢20名以上の日本人がバスに乗り込む。ここからゲルのあるベースキャンプまで2時間ほどかかるようだ。
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バスに乗って出発。20時前だというのにとても明るい。途中に何度か交差点が現れるが信号はない。しかし交差点の手前には必ず減速帯の段差があり、それを乗り越えるために車は必ず徐行する仕組みになっている。
聞いてはいたがひたすらに草原だ。そして馬や羊がやたらとうろうろしている。
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少し走るとゾーンモドという小さな街に入った。ラウンドアバウトのど真ん中に馬の群れなどがうろついていておもしろい。Iさんの話では野良のようにみえる馬たちも全て所有者がいるとのことだ。日本の道端のハトくらいるような気がするが。
あと、土地は有り余っているように見えるのだが高層のマンションやアパートなどもそれなりに建っている。インフラ的にはこのほうが効率的なのだろうか。
ここからはひたすら東へ向かう。対向車線はウランバートルへ向かう道なのだが凄い渋滞だ。なんでもウランバートル市内の渋滞は世界有数の酷さらしい。ちなみにプリウスがやたらと多かったのだが、なんとなく日本で見るのと違う。なんでもオフロードも走ることが多いのでほとんどの車が地上高を上げているらしい。
ナライハの街に入るとようやく陽が落ちてきた。21時くらいだっただろうか。
スタッフの方がコンビニに寄ってくれたので寝酒などを買い出しすることにした。IさんとNさんが前回旅行時のモンゴル通貨(トゥグルグというらしい)の余りを持っていたのでそれでモンゴルビールやつまみなどを買ってもらった。
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さらに30分ほど走るとバスは幹線道路を離れて南へ向かう。
いきなりオフロードでガタガタとバスが揺れる。オフロード好きなので真っ暗なのに地面の揺れでなんだか気分が高揚する。
すぐにツォクトツアーのベースキャンプとなっているゲル村に到着した。
暗がりではあったが、ざっと20基ほどのゲルがあっただろうか。
きれいなトイレ・シャワー棟もあってIさんなどはゲルの村に水洗便所があることにとても驚いていた。
電力や温水も潤沢とはいかないまでも太陽光である程度まかなえるらしい。
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3人1組で1ゲルに泊まる。自分の寝床のゲルに荷物をほりこんで、中央の食堂棟ともいえる大きなゲルへ向かう。
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グループごとにツアー代金を日本円で精算した。ビールやジュースも日本円で購入することが出来る。
それから22時過ぎの遅い夕食だ。それぞれグループによって行程は違えど明日からの乗馬が楽しみなようで皆さんテンションが高い。
メニューはグヤーシュというハンガリー料理だった。ふとしたところで旧社会主義国のつながりが感じられておもしろい。
マイルドな牛肉の煮込みといった風でとても美味しかった。
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味もさることながら
「牛は昨日つぶしたところですよ」
と日本人スタッフの女の子が笑顔で説明してくれたのが印象に残っている。
IさんNさんMさんなどと少しの寝酒を楽しんだあと自分のゲルに帰って寝床に入った。夜風がとても涼しくて寒いくらいだ。
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ベッドで横になりながらスマホの地図を見ているとトルコ人の先祖である突厥の残したバイン・ツォクト碑文がすぐ近くにあるようだ。
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ベースキャンプから2〜3キロのところに史跡があるようだ。
明日からの乗馬ツアーで立ち寄ることが出来るのだろうか。淡い期待をしながら眠りについた。