見出し画像

パリーブレストーパリ出走⑤ カレ(CARHAIX)

昼食をしっかりととると、お腹いっぱいで走っている途中で眠くなるだろうから、仮眠を30分ほどとってLOUDEAC(ルデアック)を出発し、SANT-NICOLAS(サンニコラス)に向けて進路をとった。LOUDEAC(ルデアック)はリフレッシュするには素晴らしい場所で、1日中走って汗だらけになったジャージをしっかりと着替えることが出来きた。おかげで身も気持ちもすっかりとして充電されてリフレッシュが出来たので、昼下がりにとてもいい再スタートがきれたと思う(13時15分)。

■素晴らしい景色が広がる
LOUDEAC(ルデアック)の街の中を更に登って脚を回しながら少し進むと、景色がパッと開けて下り坂になった。緑の草原が近づいてきて風景が街から出ることを告げてくれた。この時、空気をきりさきながらヒューっと勢いをつけて下るのがとても爽快感があって気持ちが良かった。下りが終わると登りになりリスタート特有の脚の重さがあったが、空がとっても深い青色で、あまりにも綺麗なことに気がつき。この時フランスに来て良かったなあと改めて思ったこともあって辛さは忘れてしまった。少し登っていると緑色の畑がまわりに広がり、その間に風力発電の風車があちらこちらに見えた。小さめの雲はかざりのような雲で、この景色は上手く配置されて完成されているもののような気がした。心地がよくて、しばらくはどこかに止まって木陰でその風景を見ていたいそんな気持ちにもなってしまったが、それでも頭の中では「先に進まなければならない」と言い続けなければならなかった。それは半分も来ておらず、これから700㎞以上も走らなくてはならないからだった。

この深い青空と雲と風車に見とれて
猿岩石の「白い雲のように」が頭の中で流れていた。

夏のフランスの気候は。日本に比べて空気が乾燥しておりジメッとはしていない。パリから西に位置するブルターニュ地方は、パリに比べて涼しいと言われている。緯度は同じ高さにあるのでなんとも不思議だ。ちなみに前回のPBPはとても寒かったらしいが、今回のPBPはとても暑かった。ブルターニュ地方に入ってからはなんとなく涼しさの方が先に来ているような気がした。太陽の下青空が広がっている割には、気持ちいいぐらいで、疲れを忘れどこまでも自転車で走っていけるような気分になった。

■日本から持ってきたおみやげ
風車のある景色を抜けた後は、いつものアップダウンのある田園風景に戻っていった。坂道を登っているとお父さんと小さな娘さんがいて、自転車で通り抜ける参加者に向かって応援の声を浴びせてくれた。家の前の木陰にキャンプチェアを出してお父さんは座っていたが、小さな娘さんはずっと立って応援をしてくれた。何と言っているのかは残念ながら分からなかったが、声の音からきっと力になるいい応援だったのではと思う。元気の出るとても嬉しい気持ちになった。日本からお土産としてポケモンとマリオとサンリオのシールを入れた袋を持ってきていて、どこかで子どもと交流をすることがあったらあげようと思っていたので、走りながら「Merci!」と声をかけながら投げ届けた。お父さんと小さな娘さんからは大きな声で「Merci!」と返してくれた。止まる事はできなかったが、ちょっとした日本の人気キャラクターを喜んでくれたらいいなあ。

■食べ過ぎたからなのか体が重くて
走っていて爽快感のある景色を走り抜けたあと、段々と体が重たくなってしまった。LOUDEAC(ルデアック)ではここぞとばかりに食べたが、どうやらその分辛くなってしまった。胃にもどうやら負担がかかっていたようで、脚も重い、体も重い。ソーセージ(ハムの大きさ)4枚は食べ過ぎたかなあ。それとも卵3つか、パスタの上に魚をのせたのが大きかったかな。色々とふりかえってみたが、とにかく沢山食べた事で消化に力を使っていることが分った。でもまあ走りながら少しずつ消化してパワーがもどってくるんだろうなあ。

■突然現れたシークレットコントロール(CANIHUEL)
LUDEAC(ルデアック)からSANT-NICOLAS(サンニコラス)までは47㎞と2時間ぐらいの走行であった。食べすぎによる体の重さや脚のけだるさはあったが、出力があまりないながらも上手くはしろうと考えながら走っていた。残り10㎞ぐらいになってそろそろSANT-NICOLAS(サンニコラス)だなあと考えていたら、ボランティアスタッフに突然建物の方に誘導され「CONTROL」の文字が。これはシークレットコントロールと言って、ブルべカード(チェックポイントスタンプを押すカード)にはスタンプを貰うチェックポイントの場所の記載があるが、それとは別に往路と復路に秘密のコントロールポイントが存在し、正にここがシークレットポイントの場所であった。あとで確認してみたが〇〇という場所らしい。事前情報(噂)ではコントロール(スタンプを押す記載の場所)ではなく、何もないエイドポイントなどがシークレットコントロールになると噂されていたが、今回は全くそうではなかった。意表を突く登場に驚いたが、特に休んだり補給をとる場所でもなかったのでスタンプを頂いて「Merchi!」とお礼を言ってリスタートした(15時10分)。

■SANT-NICOLAS(サンニコラス)に到着したのは15時30分
SANT-NICOLAS(サンニコラス)はコントロールポイントでもなかったことと、エネルギーもそこまで消費しておらず、次のポイントのCARHAIX(カレ)もここから30㎞程度であまり長居しない予定だったが、体が重たかったので少し休憩することにした。食べ過ぎによるダメージが思った以上で、それにより体力を消耗し眠さも出てきてしまったからだ。暖かくて気持ちがよかったので、どこか木陰を見つけ草の上に30分程寝転がる事にした。こういう時の睡眠はとても気持ちがよかった。寝ようとした時、前のベンチのライダーのゼッケンがAから始まるゼッケンだったので、まだまだ余裕があるんだなあと思って安心して目を閉じた。

木陰でお昼寝 眠いと思った時になるべく寝るようにしていた
目の前のAのゼッケンは自分より前のスタートの方なので、見ると遅れていないと思って安心する
こうやって他の人がどんな仕様で走っているのかというのを観るだけで幸せ気分
ここでいただいたお菓子 ブースが出ていた


■こんなところで小俣さんと会うとは
起きて水を汲んでリスタートしようと思ったら、思いもよらない所で小俣雄風太さんとの再会があった。フランスに来る前に良く聴いていたArenbergの中で、PBPに同行するという話を聞いていたが、フランスの地で働いている彼とまさかここで会えるとは。普段シクロクロス会場でMC姿の彼ではなく、フランスの思いがけない場所で会えたことに驚きと嬉しさを感じた。いくつか言葉を交換した後に、安心と激励をいただき、更に目まで覚めさせてくれて、CARHAIX(カレ)へ向けて出発した(16時20分)。

小俣氏と会った時 知っている人を見るとものすごく安心する

小俣雄風太さんのPBP取材の記事はこちら(La route
自転車のプリミティブに触れたパリ〜ブレスト〜パリの3日間
1,200kmの向こう側にあるもの

■痒い・・・
SANT-NICOLAS(サンニコラス)を出発してからしばらくして、腰の一点がとても痒くなってきてしまった。どうやら草の上で寝ている時に何かの虫にさされてしまったようだ。何かシートを持って来てその上で寝た方が良かったなあと後悔。この痒みはPBPに参加している間ずっと悩まされる。腰に痺れがあったので、その分痒みは緩和されていたが、たまに強烈な痒みがありその都度腰をカキカキとしながら走り続けた。普段から何らかのシートは携帯しておきたいなあと何度も考えていた。それにしてもいった何の虫だったのだろうか。

MAEL-CARHAIXの教会16世紀に建てられたらしい
とても見事な建物だったので立ち止まって写真を撮った

■CARHAIX(カレ)
CHARHAIXに到着したのは17時30分ぐらい。時間は夕方だが、フランスでは当然ながらこの時間は日本と違い昼のように明るい。チェックポイントは学校の建物を使用している。運動場の中にはたくさんのサイクルラックがあった。すでにたくさんの参加者が自転車を停めており、みなさんここでしっかりと休憩をとっているようだった。私の方はLOUDEACで食べたものもしっかりと消化できたようで、お腹も落ち着きエネルギーを必要としていたのでパスタを食べた。食べ過ぎの影響か少し胃もたれも感じていたため、念のために胃薬を早めに飲んでおいた。大丈夫!胃薬は沢山用意している。だから早めの対応が必要だ。そう、全ては計画的に。ところがこの一包をここで飲んだことによって後で大変なことになるとは、ここでは全く予想ができなかった。

学校の建物を使用している。PBPでは公共の建物をチェックポイントにしている。
夏休みということもあって、こうやって学校を使っている。
それにしても夕方なのに明るい。
CARHAIX(カレ)の食事。消化を考え始めてきている。
バナナは嫌いなのにPBPではずいぶんと食べた。

■余談
今書かせていただいているnoteでのPBPふりかえりは、ゆっくりと街を立ち寄れなかった分、インターネット上でどんな街だったのかを調べながら書くことにしている。前回の本の街の存在など、後から分かることがあると走ってきたコースの中身が太くなってきてとても楽しい。ただ、私の検索が下手なためなのかあまり情報にたどり着かなかったり、うまくキャッチできないところもある。今回ふと思ってCARHAIX(カレ)と日本のつながりを探していたら、数年前に東京に出店したPascal Le Gacというチョコレート店のホームページが出てきた。オーナーPascal Le Gac氏はCARHAIX(カレ)出身らしい。ホームページには「フランスのショコラティエとしての技術と知識の継承者として、日々ショコラトリーとしての偉大なる伝統を守り続けています」と書かれており、商品のラインナップをみるととても立派に感じる。フランスのものはどれもオシャレなものばかり一度お店に行ってみたいなと思う。

いいなと思ったら応援しよう!