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パリーブレストーパリへ出場するために⑦ 体の準備1

PBPは1200㎞もの長い距離を3日程走り続けるイベントだ。普段の生活と違い、サドルにずっと跨ってハンドルにしがみついていることがほとんどである。普段と違うことに体は簡単に悲鳴をあげてしまう。例えば慣れていないと、小さなサドルに座り続ければお尻が痛くなるのにはそんなに時間がかからない。痛ければ当然ながらパワーはロスしてしまう。スタートしてからフィニッシュを迎えるまでしっかりとパフォーマンスを出しつづけるために、体と自転車のチューニングとメンテナンスを怠ってはならない。それともう一つ問題がある。それは若くはないということだ。若さは何でも解決してくれるが、そうでなければ辛い思いを耐えなければならない。そのため事前準備はとても必要だ。今回は体と自転車のマッチングを考えて、準備をしておいたことを記してみる。

私は実はロングライドがあまり得意ではない。長く乗ってもせいぜい50㎞~100㎞程度である。時間にしたら2時間~4時間程度。三浦半島一周かヤビツ往復ぐらいである。走っているとどんどんとパワーをどこかに食われてしまっているような気分になる。それに長いのぼりが大嫌い。元々短い距離をグンっとペダルに力をかけて走るのが好きで、クリテリウムやポイントレースなどをどちらかというと好んでいる。シクロクロスは強い強度で走り、維持し耐えるのが必要な競技である。ぎゅっとやってぱっと終わるそういのが私には向いているのではと思う。しかし1200㎞を一気に走るということを決めた訳だから、向き不向きなどとは言っていられない。ロングライドと正しく付き合うためにはどうしたらよいのだろうか。まずは長距離を走っていて気になるところを探してみた。半年間で何が出来るのだろうか。

100㎞程走って、気になるところを挙げてみた。いずれも長い時間自転車に乗ると出てくるものばかりだ。
①肩がこる
②腰が痛くなる
③頭が痛くなる
④長時間走ると息が苦しくなる。空気が吸えない。
⑤左脚小指の付け根が痛くなる。内反小趾の疑い。
⑥汗が目に入ると結膜炎の症状が出る。

①〜③に関しては、ポジションと乗り方、体幹の無さがが原因と思われる。ロングライドをするとまずは肩がいたくなる。その次に腰が痛くなる。だんだんと痛さは和らぐが酷い時には痺れる。その関連でライド後は頭が痛くなる。これはレースも同様で激しい運動をして追い込んだ後、どうしようもない頭痛になり、酷い時には吐いてしまう。この感じは自転車を始めた当初から生じており、今もあまり改善がされないままである。無理して体を動かしている感が否めないため、対策を立てて見ることにした。

A.体幹というか筋トレをやってみる
今働いている事業所の利用者さんから、痩せるために筋トレをしたいという要望があり、手軽にできる筋トレを3つやりたいとのことだったので、私も便乗することにした。
・スクワット
・腹筋ローラー
・腕立て伏せ

利用者さん数人が各10回ずつ行うので、一緒に行うことにした。そうすると利用者さんの人数分のセット数が確保できる。最初は腹筋がぷるぷるとよく攣っていたが、次第に腹筋ローラーの数も増やせ、あまり疲れなくなった。半年ほど続けていたので、それなりに筋肉が付いたかもしれない。効果は良く分からなかったが、やらないよりやった方がましだなあと思ってやってみた。

B.プロのフィッティングサービスにみてもらう
長い距離を走るためには体のずれや非効率さは後々響くのではと考えて、フィッティングサービスを利用した。お世話になったのは三ツ星フィットサービス。フィッターの渡邉勇大さんにいつかはお世話になりたいと思っていたので、PBP前に伺えたのはとても良いタイミングだった。

フィットサービスの内容はホームページを見てもらえばいいとして、具体的に何をやったのかさらっと書いてみる。
自分が自転車に乗っているとき、どんな状態なのか、どんな癖があるのかとても興味があった。身体のサイズを細かく測ってもらい、体の各部にセンサーをとりつけ、カメラ撮影をしながら、フィッティングシステムで効率の良いポジションを探していく。反り腰である事、体のバランスが悪いことはすぐに見抜かれた。サドルの高さはちょうど良かったが、サドルの幅は狭いものを利用していたようだ。これだと力が逃げるらしい。そのためサドルはスペシャライズドのRominからPhenomへと変わった。他ステムも短くした方が効率がよかったとのこと。

フィッティング作業を受けていく中で指摘されたのは、点で踏むペダリングをしていた事。ドンという感じで今まで走っていたのが分かった。ドーンと力をかけて回す感じにはなっておらず、その事を修正するためのアドバイスをいただきながらペダルを回した。途中でちょっとしたボーナスなどもいただいた。フィッティングサービスで得た知識や調整力は意識して取り組むようにした。勇大さんに相談して良かった。

C.呼吸系の問題があったため医療機関を利用する
実は長時間自転車に乗ると、毎回息が大きく据えなくなる(3時間ほど経過すると、空気を吸えなくなる症状が出ていた)。ヤビツの帰りなんかになるとこの症状がでていた。もちろん大きく出ない日もあった。これは高校の部活の時から生じていたことで、光化学スモッグ、グラウンドの埃、排気ガスなどからくるものか、そんなもんなんだろうと思っていた。こういう時は家に帰ってから濡れたタオルなどで息を思いきり吸ったりしてなんとかしていたが、ひどい時は頭痛などにもつながっていたから、もしかしたらと思って調べ、SNS上で相談してみたら喘息の症状だった。フルマラソンしたらそのあと喘息が酷くて寝られなかったという話も聞いた。まさか自分が喘息もちだったとは、思ってもいなかった。そもそも喘息の症状すら知らなくてヒューヒューいうものだと思い込んでいた。医学に精通している京都の母から、ちゃんとした先生に診てもらった方がよいとアドバイスをいただいた。

そして治療をすることに
自転車仲間の木山さんに相談していい医師を紹介してもらうことになった。様々なテストを行った結果、運動性か季節のものか分からないが喘息であることは間違いないと診断された。吸入剤を処方され、運動前に吸引、辛くなった時に吸引することになった。息がきちんと吸えない苦しさは頭痛にもつながるので安心要素が増えた。気になることとして吸入剤は競技をやっている場合にはドーピングにつながるため、何らかの申請が必要になる。そのため普段や競技の際には使わずブルベの時のみ使うことにした。

D.左脚の小指が痛いのを靴でだましてみる
長時間のライドで足の小指付け根が痛くなることがよくあった。足の幅広さに比べ靴が合わないかと考えていて調べたら、どうやら内反小趾の症状であることがわかった。となると小指の付け根が擦らないような靴を考えなくてはならない。リンタマンが包み込むようなシューズをだしているという情報を聞いて、これを試してみることにした。自転車のシューズはどうも足の幅が狭いものが多いので、どうも短時間しか履くことができない。リンタマンはスリッパのように履き、後ろのダイヤルできゅっと閉めることができる。実際にテスト的に使ってみたら足の小指が靴の内部でこすれることは少なくなった。痛みはほとんど出なかったので、これを使うことにした。

E.結膜炎を防ぐ
出発直前である悩みを抱えていた。それは汗による結膜炎である。
私は汗かきである。坊主ということもあり、髪の毛に汗を吸収してもらうわけにはいかず、ヘルメットのパッドを頼りにするしかない。当然ながらある一定の量を超えると汗がしみだして顔に落ちてくる。そしていつの間にか目の中に汗が入ってしまう。すると目が痛くなったり、かゆくなる。時間が経つとだんだん目が腫れ、目やになどが多く出て視界が悪くなってしまう。PBPの資格を取る1年間これでだいぶ苦労をしていた。夜は目がぼやっとしてしまうのだ。ところが私が所属するチームFRIETIENの真夏のライドが出発1週間前に行われた時、一人の坊主仲間であるモリタロウ氏が汗をかきながらサイクルキャップをかぶっていたのを見てこれだ!と思った。そうだ帽子で汗を吸収すればよいのだ。そしてそんなことをつぶやいたら、自転車仲間の山崎氏が汗かきの悩みについて、自らの経験に基づいて使っているヘッドキャップ(HALO)を薦めてくれた。これはピタッと汗を止めてくれるらしい。出発ギリギリに間に合ってくれればいい。

体のことで心配な部分は約半年前から準備を行い、出発直前で整えることができた。これ以外にも胃腸を調整するというのもあったが、その話はまた次回にすることにしよう。




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