3月28日は「廃刀令」が発布された日
日本では150年前となる明治9年に出された廃刀令。
しかし、現代でも帯刀している国がある。それは、イエメン。日本刀より長さのない短剣ではあるが、腰にさすその姿はまさにサムライであり、われわれがイメージするところのアラビアの戦士である、のだが、なぜかスーツのジャケットを羽織っていることだけが珍妙である。
街にいる男は、子供から大人まで、みんなが帯刀しているのだが、彼らは決して刀を抜かない。あくまで「自律」のため。自分は刀を持っている力のある立場である、だからこそ逆に、いかなるときもその力を行使することがあってはならぬ。と自分を律するために帯刀しているのである。
街で悪いことをする奴がいたら、みんなで懲らしめるからな。と、自警団として牽制しあう意味もあるのだが、いたって平和なサナアではそういうことも起こらない。危険なイメージのあるイエメンだが、僕がこの目で見てきたイエメン本来の姿はそういう国だ。
「決して抜かない」と書いたばかりだが、一度だけ抜刀したシーンを見たことがある。それは田舎町での結婚式。男たちが刀を天にかかげながらコサックダンスのように踊っていた。輪になって踊るそれは「ジャンビーアダンス」と言って、勇ましいというよりはホッコリするような、みんなニコニコへんてこダンスなのである。幸福のアラビアがまさにそこにあるのだった。
平和な江戸時代のサムライも、同じような意味合いがあり、イエメンと同じような世界が広がっていたんだろうなと思う。
3月28日は「廃刀令」が発布された日