箱の中の点❶シュ博士の診断
なるほど。”できもの”以外に、なにか症状はありますか?
寒いのに、熱い。痒いのに、どこが痒いかわからない。疲れてるのに、眠れない。お腹いっぱい、なのに食べちゃう。これらの症状が起こり始めている、と。もしや、頭の中でカンカンカンカンと踏切の警報音のようなものが、ええ、鳴っていますね。大体のことは解りました。
それでは取り急ぎ、処方箋を出しておきましょう。まず、朝晩1回ずつパフェを食べてください。なに、チョコバナナでもいいのかって?構いません。お昼に食べてもいいのかって?構いません。朝晩必ず食べるなら、お昼に食べても大丈夫。ただし、一緒にコーヒーというのは控えて欲しいところですが、そうですか、駄目と言われるとやってしまう?仕方がありませんね。たっぷりのソイミルクを入れるのであればよしとしましょう。・・・ええ、フレッシュでもいいです。手軽なのが一番な時代だ。
それと、頓服にキラキラシールを出しておきますから、いよいよまずいと思ったら、これを賃貸の壁や新品のノートに貼ってください。間違ってもマッキントッシュのリンゴの横には貼らないように。売るときに後悔しますから。ウェットティッシュでも落ちませんよ。
それとこっちのラムネの方は、何か嫌な仕事を頼まれそうなとき、錠剤さながらに水で流し込むための偽薬です。プラセボ?いえいえ、ちがいます。ノセボに近いですが、まあ細かいことはお気になさらないで。うーん、フリスクでは逆にやる気に溢れて見えかねませんから、きちんと処方薬を選んでいただきたいところ。ひとつの嘘のために、他は出来る限り本当で固めるべきなのです。まあ、ミントを摂取したいのであれば併用で。
さて、パフェもキラキラシールも、あくまで暫定的な応急処置です。根本の問題を改善しなければ、恒久対策とは言えません。ええ、とてもよくわかります。それができたらこんな所には来ていないと、そう仰られるのでしょう。わかります。少し簡単なテストをしますから、それに身を任せていれば大丈夫。自ずと答えが導かれます。まずは頭を空っぽにして、え?あ、いえいえ、振ったときにカラカラ言うようであれば、まだ空っぽではありません。ゆっくりで良いので、米粒ひとつも残さず空っぽにしてください。あ、いや、米粒は例えですよ。頭の中に米粒だなんて。こんなもの頭から全て例えに決まっているでしょう。いえ、なんでもありません。
空になりましたね。
ひとつめの質問です。想像してください。あなたはカリカリの芋けんぴを食べました。それはもう、甘味で舌先がビリビリするほど食べました。そこで貴方が次に食べたくなったのはどちらですか。
A:マシュマロ B:おせんべい
どうですか?直感でよいのですよ。A?Aですね?思考は点Ⅰ(-10,10)から点M(-10,-10)へ垂直に移動する、つまりyを軸にしている、と。
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大丈夫、こういうことに普通ってのはありませんから、安心してください。さあさあ、ふたつめの質問です。どこからが朝でどこからが夜ですか。数字で答えてください。52、即答ですね。皆さん結構悩まれるのですが、ああ、そこにある飴はご自由に召し上がってください、質問はあと一つで終わります。そうです、最後の質問です。貴方、煙草の方は1日に何本吸いますか?はい、吸うのはもう匂いで分かっておりますので。紙巻を1箱と電子を3箱。それは、十分に補えてしまっている気がしますけれども。気休めですからね。リフレッシュは大事なことです。
テストは以上です。
ちゃんと解りましたよ。間違いありません、紛れもなくこれはアクセルブレーキ症候群です。難しいものだ、お給金は増やしたいけれど優しい人間で在りたい。処方箋は様子を見ながら続けていきましょう。向かいの喫茶店かご自宅の近所にあるカフェで受け取って。それと毎月1回は、オペラを観るプログラムをご用意しますから、反動でお笑いのライブに行くようにしてください。ハンドウタイってのは凄いんです。株価が動きます。最後に1枚写真を撮らせていただきますね。フラッシュがラッシュします、シュシュで髪を纏めて、肉腫のところをこちらに向けてください。
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