中国半導体市場のトレンドと展望

-中国における半導体内製化のボトルネックとして、エンジニアの経験が乏しいこと、独自に確立した知的財産/特許数が少ないこと、自国生産の半導体製造装置の質が大きく劣後していることが挙げられる。

-メモリー別ではNANDでは一定の成果が出ているが、DRAMについてはまだ大きな成果は表れていない。

-今後2-3年で焦点となるのは中国メモリーサプライヤーによる設備投資。YMTCやCXMTは利益を度外視した設備投資を推し進めるとみられ、2025年までに両社が損益分岐点に至る可能性は低いと考える。

-中国のメモリーメーカーが外資系メモリーメーカーにとって脅威となるには少なくとも5-10年ほど期間を有する見込みだが、中長期的には政府による支援を背景にメモリー市場で確たるプレゼンスを築くと予想される。

-YMTC:年間ウェハー投入枚数は2020年末時点で5万枚、2021年末には10万枚にまで増加する見込み(グローバルにおけるNAND向けウェハー投入キャパの5%)。

- 128層3D NANDの歩留まりは2020年下半期時点で70%にまで達しており、年末にかけて小規模だが量産を開始している。192層3D NANDの試作は2021年下半期に行われる予定。

-CXMT:年間ウェハー投入枚数は4万枚(19nmプロセス)、2021年末までには8万枚にまで増加する見込み(グローバルにおけるDRAM向けウェハー投入キャパの5%)。

-歩留りにおいては50-60%と低位に留まっている。2021年末には17nmプロセスをベースにしたDRAMの生産を開始する見込み。

-また、国内競合であるJHICC(Fujian Jinhua Integrated Circuit)と合併する可能性も考えられる。


-半導体製造装置:中国のメモリーメーカーは国内企業が製造した設備を使用するよう圧力をかけられているが、ローカルの設備メーカーのクオリティは外資系企業と比較して5-10年ほど技術面で劣後している。

-YMTCはテクノロジー面で最も先駆している日米SPEメーカー(Applied Materials、Lam Research、東京エレクトロン)から製造装置を調達している。

-同社は米中貿易摩擦が生じる前から既にTier-1の製造装置メーカーに対して調達金額の90%を前金として支払い設備を確保している。

-現在、中国国内の半導体製造装置の国産比率は5%程度だが、2025年には15%にまで達する見込み。尚、半導体部材の国産比率は現時点において15%。

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