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『月刊 時事絵葉書』第三輯

 さて、まずご覧いただこう。

 一見すると、月刊雑誌の表紙に見えるが、じつは絵葉書である。
 日本葉書会は雑誌『ハガキ文学』の版元。右上部に「明治三十八年七月十五日発行(毎月二回一日十五日発行/明治三十七年九月三十日第三種郵便物認可ハガキ文学定期増刊第二巻第十一号」とある。

 雑誌『ハガキ文学』については調べているが、こうした増刊のことははじめて知った。
 ほんとうにこんな増刊が存在したのか、はたまた、遊びとして作られた虚構のデザインなのか。

 困ったときはNDL(国立国会図書館)ということで、サーチしてみると、所蔵している図書館があった。東京都立中央図書館である。
 リンクから飛んで調べてみると、絵葉書のセットであることがわかった。

 「資料詳細」を見てみると次のような記述がある。

 「ページ数 絵はがき1組(18枚) カラー/大きさ 15×10cm/出版等に関する注記 ホルダー入(23cm)」。

 「ホルダー」に収まった18枚セットの絵葉書であったことがわかる。

 図版の絵葉書は表紙としての1枚目のものであろう。多色石版である。

 おそらく、題名から、時事、世相をとらえた絵葉書であったと推定される。

 宛名面の図版をあげておこう。

 サインがあるが、わたしの知識では特定できない。

 見たことことがないものなので、紹介しておく。

【追記】
『手紙雑誌』第2巻第5号(明治38年8月10日、有楽社)の「○新刊絵葉書と封筒」欄に紹介記事が出ていたので付記する。

時事絵葉書第三輯(一部金二十五錢日本葉書会発行)
従来中村不折氏の手に成りし時事絵葉書は、今輯より都合ありて齋藤松洲氏監督の下に「はかき文学」より独立して発行する事となりたる由、台紙は前の通りなれど毎頁一度刷の模様を置き、表紙と中身の差別なく一様に絵葉書字葉書等を挿みたり。松洲氏の筆にては表紙鍵穴を始めとして漫画帰省の首途、理想の散歩(以上二葉三色版)露の干ぬ間、灯ともし等あり、外に中村不折、木村光太郎氏の筆に成るもの一葉宛及び写真版もの等賑やかなり。但し字葉書は寧ろ無くもがなの心地す。

 紹介した絵葉書は齋藤松洲の《鍵穴》である。セットには写真版や文字のみのものもあったことがわかる。

 
 


*ご一読くださりありがとうございました。


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